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鉄の星

「え、通じてる?」

「通じてる……通じてるよ!」

チームゼロは歓声を上げた。

「改めてよろしくね。」

センカはそういって手を差し出した。

「よろしく。」

メイルがはにかむ。

「改めて自己紹介させて。私の名前はウエキセンカ。15歳……じゃなくて16歳です。」

メイルが少し戸惑った顔をした。

「あっ、私たちの星にはいろいろな人が住んでいるの。わたしたちが生まれたのは日本って島国で、そこの人は名字が先なの。名前はセンカ。」

「センカ、ね。」

全員順繰りにメイルに自己紹介をする。呼び名は知っていたが、フルネームは知らなかったので、メイルにとって新鮮だった。

「私はメイル・ノトメイア。16歳です。」

「メイル・ノトメイア……。」

「あなたたちに、何度もメカのことを聞かれました。」

メイルは真剣な顔で尋ねた。

「わたしはあれを探しているんです。知っていることを教えてください。」







メイルが語った物語はこうだった。


彼女は、ヒルタという星に生まれた。この星はのちに他の星の人々から「鉄の星」と呼ばれることになる。自然は少ないが、高度に発展した都市と、豊かな地下鉱物資源のある星だった。

メイルには両親と弟のスタワードがいた。彼女の父、ノトメイア博士は鉄の星の優秀な技術者で、妻であり助手であるノトメイア夫人とともに、あるシステムを開発した。それは「自動防衛システム」と呼ばれていた。つまり星の防衛を、すべて機械で行おうというものだった。鉄の星は、ヒルタと4つの大きな衛星で成り立っている。早くから宇宙進出が始まり、かつては衛星同士が争うこともあったらしい。翻訳機は衛星同士で方言に差が生まれ、意思の疎通が難しくなったから生まれたそうだ。

また、鉄の星は「宇宙の裂け目」と呼ばれる異次元の空間を利用した長距離ワープの技術も開発していた。これによって異星人とのコンタクトの可能性が生まれたのである。

こうして、巨大な自衛システムが完成した。

ところが、機械の一部が暴走し、宇宙の裂け目を通じてどこかに行ってしまったのである。政府は「我々に危害が起きなければどうでもいい」と無視したのだという。しかしノトメイア博士は、自身のシステムに責任を感じ、電源を停止させるべく航海に出ようとした。心配させないよう、子供たちには黙っていたが、研究者としての教育を受けていた2人は、とっくにそのことに気付いていた。


「両親がこっそり船出してすぐ、私たちも小型宇宙船……もっともあれは戦闘機なのですが……で追いました。ところが宇宙の裂け目で両親の痕跡を見失ってしまい、しかたなく微かに残っていた自衛システムの痕跡を追っていたのですが、途中で弟ともはぐれ、気が付いたときには知らない宇宙に投げ出されていました。そして赤い星に墜落したんです。」


メイルは8人の顔を見渡した。


「やはり……父は自衛システムの誤作動で戦争が起きることを危惧していました。」

「そうですか……。」

ショウタはため息をついた。なんと、メカ開発者の娘を拾ってしまったのだ。

「メイルは今回の辺境戦争とは、何も関係ないわ。」

センカは、少し戸惑いながらつづけた。

「メイル、ということは、宇宙の裂け目がこの近くにあるのね?」

「ええ、航路を調べてもらえればわかるかも。」

「わかったわ……。」

センカは大きく息を吸い込む。

「メイルを鉄の星に返すのが、わたしたちの最大の目的。」

センカはコウスケをちらりと見る。

「コウスケ、新しい戦艦の建造計画、どうなってる?」

「本体を作り始めようかなってところ。」

「宇宙の割れ目通過を想定した作りにして。急ピッチで建造して。」

「了解。タケル、お前も智恵かしてくれ。」

「わかったよ。」

2人は笑う。

「トウキ、宇宙の裂け目について全力で調べて。解析中のメカのデータも使って全力で。」

「はいはい。」

「ハルカ、リンカと一緒に、鉄の星について調べ上げて。メイル、データの提供とかお願い。」

「いいよ。」

「了解。」

「はい。」

「スズナ、私と一緒に、この計画をどう進めるか検討させて。」

「うん。」

「それからショウタ……。」

「わかってる。鉄の星との戦力比較および戦術研究、だろ。」

ショウタはメイルと向き合った。

「安全な航海のためだ。協力してくれるかい?」

「本当の軍事機密は教えられないよ?」

メイルはいたずらっぽく返す。

「じゃあ、えーと、そうね。メイルの実家に遊びに行く計画……通称M計画を始めます!」



チームゼロの面々の顔が、すこし明るくなったことに、メイルは気が付いた。


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