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かいわ

「んんん?んんんん!?」

言葉が全く通じないことを、お互い理解はしたようだ。

「んー。」

「あーえーと。これから私の星に行く、大丈夫!」

センカは自分と足元の地球を交互に指さした。女の子は地球を興味深げに眺めると、急に不安そうな顔をして窓の外とセンカを見比べた。

「ああ、大丈夫よ。」

どうやら大気圏への突入が不安らしい。

(ということは、大気のある星出身なのかな。というかここで息をしているなら、地球でもなんとなかるはず。)

センカは操舵槓から手を離し(オートパイロット機能があるので安心だ。)、ゆったり座って鼻歌を歌って笑って見せた。渾身の安心アピールだ。女の子の表情も幾分かやわらいだ。

「あっ、えーと。」

センカは紙とペンをがさごそ取り出した。簡単に、メカらしき機体の絵と、ゼロの機体を描く。

「これがあなたの。こっちがわたしの。」

指さして説明する。それから女の子に似たショートヘアの子をゼロの中に書き入れた。なんとなく自分っぽい絵も書き加える。

「いま、ここに乗ってる。あなたの機体は……。」

牽引ワイヤーを書き込む。

「んんー。」

どうやら理解したらしい。

「あと、ケガしてる。」

センカは女の子の腕を指さした。青く染まった包帯に少し驚いたようだ。

「んん?んんんー。」

「でね……。」

センカは戦闘服の金具で、素早く自分の指に切り傷を入れた。赤い血が流れる。

「ん!?」

どうやら違う種族であることを理解したらしい。相当驚いたらしく、物珍しげに血を眺めていた。








着陸し、格納庫にゼロを入れると、すぐに隅のほうに連れ込んで、中に積んでいたフライトジャケットとか帽子とかでとにかく目立たないようにして、そっと格納庫を出た。途中でコウスケと合流した。

「信頼できる部下に訳を話して、倉庫に保管してもらった。」

「ありがとう。」

「てか、その子目を覚ましたんだ。」

「うん、なんか仲良くなった。」

センカはそういって笑い、親指を突き出した。女の子も少し笑って指を突き出した。

「センカケガした?」

「自分でやったの。」












「つまりこの子は、異星人ってこと?」

「いまのところ、そうだね。」

リンカが集めた情報を整理しながら言った。

センカによるお絵かきとハルカによるいろいろな検査、あとはメカの写真を見せたりして、血の色は違うがそれ以外は地球人とほとんど変わらない、でも文化や言葉が違う、メカと関わりのある同い年くらいの女の子である、ということが分かった。特に彼女は、メカに興味のある様子だった。

「メカとかかわりがあるのか……。ユウキたちには知らせないほうがいいかもな。」

ショウタが呟く。

「おい!」

コウスケとトウキが、何か箱を持ってきた。

「これ……。メカっぽいやつの中に……。」

「たぶん私物かなぁと思って。」

「えーと、名前はなんだっけ?」

「メイル…かな?」

センカが少し自信なさげに言う。自分のことをメイルと呼んでいたが、それが種族名なのか名前のことなのかはあいまいだ。

「メイル、これ。」

箱の中をみたメイルは、少し嬉しそうな顔で荷物を探った。ショウタが、こっそり銃に手をかけているのを、センカはよく見ていたが、止めたりはしなかった。

「ん!」

何か通信機に似たものを見つけると、彼女はそれを耳の下につけ、スイッチを入れた。

「んん!んんんんんんんんん!」

嬉しそうに口を動かす。

「えーと、ごめんなさい。何を言っているかわからない。」

センカは盛大に分からない顔をする。どうやら言葉が通じると思ったらしい。

「待って!」

リンカがそう言って、自分の翻訳機を見せた。宇宙時代になって、英語が人類の共通語になりつつあったが、それでも翻訳機は欠かせない。リンカは翻訳機を自分に着けて、話すジェスチャーをした。メイルはそれをしばらく見つめていたが、やがてこくりとうなずいた。

「翻訳機さえあれば……。」

「待って、データがあれば……。ちょっと待って!」

そういうとリンカが飛び出していく。

「いったい何なのかしら……。」




とりあえず、他の持ち物を見せてもらった。

「これは櫛そっくりね。」

「んんん!」

メイルが櫛で髪をとかした。

「櫛だこれ。」

スズナが自分の櫛を見せて髪をとかした。

「んん!」

「ね!同じだね!」


「んん!」

今度はメイルが何か袋を出した。中からブロック状の何かを出して、それを口に入れた。

「食べ物?」

「ん!」

メイルがセンカに差し出す。

「ああ、食べ物だ。」

「ほかのどんな食べ物があるんだろう。」

スズナがそう言って、自分のスマートフォンで食べ物の写真をいくつか見せた。

「んんー。」

メイルも荷物をあさり、コンピューターのようなものを取り出した。

「んー。」

「充電きれてるみたい……。」

「んーんー。」

メイルはまた荷物をあさっていたが、不意に手を止め、写真のようなものを見せてきた。男と女、男の子が映っている。

「家族写真かな?」

センカはのぞき込む。

「んーんー。」

何か一生懸命説明しようとしていたようだが、不意に泣き出した。









「なんだよ。パーティって。」

ショウタがあきれ返って言う。

「それくらいしなきゃ。メイルの歓迎パーティ。」

センカは持ち込んだお菓子をポリポリ食べながら言った。

「んん、んんん。」

「なるほど。」

「こっち完成したよ。」

メイルとコウスケとリンカは、翻訳機を完成させるべく、パソコンに向かって奮闘していた。どうやらメイルは理系らしい。そして技術者同士、何かしらの意思疎通があるようだ。

「メイル!」

「んん?せんか?」

メイルもいくつか単語を覚え始めた。

「お菓子!」

「おかし?すき?」

メイルは戸惑いながらお菓子を食べ、嬉しそうな顔をする。

「お前ら、よくわかんねぇ。」

ショウタが頭を抱えるのを見て、メイルはけらけら笑った。









数日後。


コウスケ、リンカのマッドサイエンティストコンビが、夜も寝ないで研究に励んだ結果、全員分の翻訳機が完成した。ちなみに2人は、高校も合法的にサボっている。


「原理が一緒だったし。」

「メイルが的確なアドバイスしてくれたしね。」

「んん?こうすけ?りんか?」

「さあ、みんなつけて。」




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