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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
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おかえりなさい

動けるようになると、チームゼロの、コウスケ、リンカ、スズナ、タケルの4人は捜索や戦後処理に携わった。コウスケとタケルは毎日地球圏を飛び回った。リンカとスズナは、戦死者のデータを書き直したり、情報公開やら何やらに悩殺された。

当初、A作戦に関わった地球圏の者で、生き残ったのがチームゼロとスーマー・ヤオだけであることに、人々は怒り狂った。幼い子供たちを犠牲にして、自分たちだけ助かった……と。

だが、作戦の詳細が公開され、戦いの記録が公開されると、人々は言葉を失った。K作戦はともかく、A作戦も危険な任務にはすべてチームゼロか部隊長クラスの訓練生があたっていることが明白だったからである。専門家たちは様々な視点から作戦を解説し、チームゼロが奇跡的な確率で生き延びていることを指摘した。

何よりも、彼らが全員15歳の子供であることに、人々は黙り込んでしまった。地上に大きな被害が出なかったのは、あの流れ星になった子供たちのおかげであると思い知らされたのだ。

K作戦については、特攻直前にエリーゼ・フェシカがまとめた報告書と記録映像や通信記録で詳細が判明した。それに基づいた戦後処理が始まっていたが、この作戦に参加し、生き延びたはずのチームゼロの4人がいまだ行方不明であった。

冥王星を守った2人のゼロパイロットも賞賛された。しかし彼らは、傷がいえる間もなく、捜索や調査に出かけているという。しかし仲間は未だに見つかっていなかった。

破壊したワープウェイは、修復作業が進められているが、まだ時間がかかるようだ。











アルテミスケノン。


かつてのベースキャンプに、ようやく4人はたどり着いた。


「まさかこんなに早く帰ってくるとは……。」

ショウタが苦笑いをする。空調と重力システムも無事だった。シールドを抜け、懐かしい横穴にボロボロの機体を無理やり着陸させる。

「基地の扉のカギは、確か……。」

ハルカがそっとドアノブに手をかける。

「あいてる……。」


中はあの時のまま、最終決戦に向けて飛び出した時のままだった。


綺麗にしようと思って結局ごちゃごちゃしたままのテーブル、直前で入れ替えた荷物、などなど。そういえば結局全員忙しく、撤収作業はスズナとタケルに任せきりだったのを4人は思い出した。


「早く、傷の手当てをしなきゃ。ショウタ、座って!」

ハルカが叫ぶ。

「ああ、済まない。」

包帯で簡単に止血しただけの腕。いつけがをしたのかもわからないほどの激戦を思い出した。

「やっぱり膿んでる。ちょっと待ってて。確かここに……。」

ハルカが医療キットをあさり始めた。

「トウキ、食べ物を準備してくれ。センカ、通信機を頼む。」

「はーい。」

「了解。」

トウキはふらつきながら台所に向かった。あんなにあわただしい朝だったのに、と感心していると、目の前にティーポットがあった。


「この基地へ来た人へ

 お帰りなさい。

 まずは紅茶を一杯飲んでくださいね。

 元気が出ますよ。          」


見覚えのあるスズナの字。そこだけ日本語で書かれたお帰りなさいの文字に、思わず涙がこぼれそうになった。

「スズナが紅茶セット残してくれてる。今からお湯沸かすよ。」

「ありがとうトウキ。」

ハルカが医療キットを探りながら笑った。

「昔みたい。」

「本当だな。トウキ、そこの戸棚にビスケットがあるはずだ。」

「なんでわかるの?」

「司令官をなめるなよ。だいたいのものは把握していた。」

「通信機起動します。」

センカが笑いながら言った。

「よかった、無事だったみたい!」



だが、4人の顔は凍り付いた。


通信機には「ERROR 通信相手が存在しません」の表示が点滅していた。


センカは周波数やら番号やらを確認する。間違いない。最後に通信機を使ったときのまま、戦艦オリオンにつないだ時のままだった。


センカは涙を一粒落とした。しばらく肩を震わせていた。誰も動けなかった。ハルカの手にあった医療キットがばらばらと床に落ちた。



やがてセンカは、何か覚悟を決めたように通信機に向かった。直接、テラポルトスにつなぐ。









「は……こちら……ポルト……す。こちらテラポルトス通信センター。」

戸惑ったような女性オペレーターの声がした。

「こちらアルテミスケノンベースキャンプ、アルテミスケノンベースキャンプです。」

「もしかして、チームゼロの……?」

通信機のむこうの空気がざわめくのを、4人は感じた。


「はい、戦艦オリオン……。」


センカは息をのんだ。もうあの母艦は存在しない。それでも彼女は続けた。それがあのひとたちの望みだった。


「戦艦オリオン戦略長代理および……。」


テレーゼ・フェシカ隊長や、航空隊の面々の顔が浮かぶ。最後の言葉が耳に響いてくる。そしてエリーゼ・フェシカの顔も思い出した。彼女が残したものは大きい。


「……航空隊補佐のウエキセンカです。ハシモト、オオノ、ニイムラと共にアルテミスケノンに帰投しました。」


これで、高校生編、太陽系辺境防衛戦争編を終わりにします。

もしかしたら、サブエピソードがあるかもしれませんが……。

読んでいただき、ありがとうございました。


チームゼロの物語はこれからも続きます。楽しみにしていてくださいね!

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