表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
45/235

戦いの跡

一晩中生存者を探して飛び回っていた4機のゼロは、翌日の見事な朝焼けの中、テラポルトスに降り立った。

滑走路にはマスコミが詰めかけていた。警備員や作業員が必至で押さえつける。だが、ゼロの機体が破壊され、飛んでいるのが奇跡であるほどだと理解したマスコミたちは、騒ぐのをやめた。


「どいてくれ!」

イバーノフが人混みをかき分けてゼロに近づいた。

「まさか、まさかあれを……!」


コックピットが開いて、コウスケが何かを引きずりおろそうとした。作業員が駆けつける。

「スーマー・ヤオ アジア部隊長だ……。すぐに手当てを……してくれ……。」

作業員たちがヤオを抱きかかえた。

「急げ!」

「担架を持ってきたぞ!」

作業員がわめく。

「みんなを……早く……。」

コウスケが上の空でつぶやく。他のゼロのコックピットを開けようと近づく。

レポーターの1人がたまらなくなって飛び出したのと、コウスケが倒れたのはほぼ同時だった。

「なぜ……なぜ……?」

レポーターは泣いた。息子とほとんど変わらない歳だ。レポーターは泣きながらコウスケを抱き起そうとした。












「こちら、戦場跡のアサヒです。」

「こちら冥王星、生存者は?」

「やはりいないようです。」

「そうか……。ゼロの4人は?」

「見当たりません。」

「しかしゼロの4人は確かに離脱したはずです。」

カズマが通信に加わる。冥王星を守った2人は、ゲートウェイが壊されて、戦場に近づけない防衛軍の代わりに、あたりを調べていた。大きな目的は、消息を絶ったチームゼロの4人の捜索だった。

「通信も入っていたし、ゲートウェイも壊されている。巻き込まれたはずはない。」

カズマは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

「ゼロの破片は見つけていませんし……。捜索範囲を広げてみます。」

「そうだな……。いや、いったん戻ってこい。」

冥王星側のオペレーターが呼び戻してきた。

「君たちも長時間宇宙にいるわけにはいかないだろう。」

2人もかなりのけがをしていた。ゼロも体も応急処置のままだ。

「いったん、帰投します……。」

ユウキは通信を切ると、通信機を投げつけて叫んだ。カズマはそんな親友に声をかけられなかった。













「ここは……?」

タケルは目を覚まして、白い空間に戸惑った。

「タケル……?」

聞き覚えのある声がする。

「スズナ……?」

顔を横に向けると、隣のベッドにスズナが寝かされていた。

「向こうにコウスケとリンカもいるみたい。」

「ここはどこ……?」

「病院だよ……テラポルトスの。」

「地球か……。」

タケルは目をぱちくりさせた。

「おい、あれから……あれから何日たった!?」

「5日だ。」

反対側のベッドから声がした。

「コウスケ……。」

「俺は昨日目が覚めた。リンカとスズナはおとといだ。」

「他のみんなは……?」

「行方不明らしい。」

「行方不明……?行方不明って……?」

「K作戦の4人は、ワープウェイ破壊後、冥王星に戻るはずだったはずなの。でも戻ってこない。問題の宙域をユウキたちが探しているけれど……。」

「ワープウェイを破壊しちまったから、救助部隊がなかなか送り込めないんだ……。」

「A作戦のメンバーは?俺たち以外の?」

「死んだ。」

コウスケがそっけなく言い放った。

「うそだろ……全員か?」

「いや、スーマー・ヤオは助かった。重症だけど生きてはいる……。」

リンカがそっと言った。

「あとは死体ばかり。機体の破片しか見つかっていない子もいるし、何も見つかっていない子もいるわ。」

「あの日、流れ星がすごくきれいだったんだって。離脱しそびれて、大気圏に落ちてしまったり、デブリにぶつかったり、乱射したレーザーに当たったりして……。」

スズナが目を背けた。重苦しい雰囲気が広がった。

「Z作戦は……?」

タケルが呟く。

「作戦通りだ。A作戦とK作戦、および戦艦オリオンのすべてのデータを公開した。リンカとスズナのおかげだ。ただしZ作戦関連のものはまだ公開はしていない。」

「そろっていないからか……。」

「そうだ。」

「かなりの人が気づいてはいる。私たちが作戦直前に中尉に昇格し、チームジパングの役職を代理という形で受け継いでいる。ポイオーティアが防衛軍……いえ太陽系の未来を私たちに託しているという陰謀めいた話で、マスコミは盛り上がっているわ。」

病院にも関わらず、タブレットを持ちながらリンカは寂しげに笑った。

「あったっているようなあたっていないような。」















「うっ……。」

ショウタは目を覚ました。

「ここは……?」

「今……調べてる……。」

「トウキ?」

「ああ、トウキだ……。」

通信機越しにうめき声が聞こえた。

「センカが今、ハルカを引っ張ってきてる。」

「どういう……ことだ?」

「吹っ飛ばされたんだ。爆発の衝撃波に……。」

ショウタは記憶を呼び戻す。確か、冥王星へ帰投しようとした矢先に、大爆発が起き、爆風でふっとばされて……。

「宇宙空間だから、とんでもないところまで飛ばされた……みたい。」

苦しそうにトウキが調べた。

「データ、送るね。」

「ああ。ここは……?」

「人類未踏の地だよ。太陽系外縁部の辺境の辺境……ってかんじかな?」

「冥王星は……?遠すぎるか……。」

「うん。遠すぎて、あと壊れてて……通信機が使えない。」

「どこかのワープウェイは?」

「壊したばかりだろ?」

ショウタは頭を抱えた。まだ頭がぼやぼやする。

「燃料が残りわずか……。」

「そうなんだよね……。食料残りわずかだし、酸素も無駄にはできないよ……。」

「あれから何日たった……?」

「酸素の残量を見ると……うーん……。3日くらいかなぁ。」

「そのあいだ宇宙を漂っていたのか……。」

「とっさにワイヤーをひっかけあってよかった。おかげでバラバラにならずに済んだから……。」

「はーい、お待たせ!」

「センカが戻ってきた!」

ハルカの機体が後に続いているのが見えた。

「よかった、ハルカも無事だったんだ!」

トウキは嬉しそうだ。ショウタも少しほっとした。




「つまり、燃料も食べ物も酸素も残り僅かなのに、遭難しちゃったってことね。」

「ざっくりいうと、そう」

トウキが言う。

「計算してみたんだけど、一つだけ方法がある。」

「なんだ……?」

ショウタが聞く。

「燃料ギリギリだし、未知の航路だけど……アルテミスケノンが一番近いんだ。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ