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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
43/235

最期の戦い

「全員、残弾には気を付けろ!」

「フェシカ隊長もですよ!」

「くそっ。」

「隊長、何機おとしました?」

「もう数えてない!」

「うそだぁ。」

航空隊らしいのんきな会話が続いていたが、まさに激戦だった。敵の総母艦からは次々と小型戦闘機が降りかかってくる。

「こちら戦艦オリオン、航空隊先鋒班、先鋒班。」

「……はぁ、はぁ。こちらフェシカ。どうした?」

「第2次攻撃を始めてください。」

「待ってました……始めるぞ!」

「おおおおおおっ!」

「隊長につづけーっ!」


キッドは艦橋で頭を抱えた。

「あいつら、楽しそうだな……。」




テレーゼ・フェシカたちは敵を追いかけるのをやめて、執拗に敵の総母艦を狙った。レーザーに追いかけまわされたが、総母艦に近づいたことで逆に敵の小型戦闘機に狙われにくくなった。

敵の総母艦をたたいてどれだけの時間がったったのだろうか。テレーゼは通信機に向かって叫んだ。

「戦艦オリオン!」

「いよいよ本戦だ!航空隊は戦艦オリオン防空隊と合流して!」

キッドの声が響き渡ってきた。

「よっしお前ら、いったん離脱だ。」

だが次の瞬間悲鳴が聞こえてきた。

「チェンバレン機撃墜!」

「くそっ!」

テレーゼは歯を食いしばった。総母艦から離れたところを狙われたのだろう。

「離脱だ!」






メカ総母艦の前に、戦艦オリオンはゆっくり姿を現した。すぐに敵の小型戦闘機が戦艦オリオンに群がる。


「チームゼロ、発進します。」

待機していたショウタが叫んだ。ハッチが開き、ゼロが4機飛び出した。小型戦闘機を蹴散らす。



レーザーが飛び交い、あちこちで爆発が起きていた。センカはゼロで飛び回っていた。もう何機おとしたか、何機味方が落とされたかわからない。地獄のような時間だった。


戦艦オリオンの放ったレーザー砲が、ついにメカの中枢部に近いところに当たった。激しく火を噴く。すると、メカの総母艦が形を変え始めた。


「あれが……?」

「そうだ、あれがだ!」

体制を立て直しながら、ショウタが通信機越しに叫んできた。

「やつらの最終兵器、巨大ミサイルだ。」


ミサイルというより、巨大な金属の塊のようだった。だがそれが一直線に地球に向かうと……。センカは歯を食いしばった。こちらの攻撃もむなしく、巨大な塊は火を噴いて彼方へと消え去った。









「計画通り……。」

エリーゼは呻いた。









「テラポルトス、こちら戦艦オリオン艦長のタカハシだ。聞こえるか?」

「はい、聞こえます。」

コウスケが格納庫から返事をした。

「すべては計画通りだ。」

「わかりました……。」

「頼むな。」

通信は切れた。トニイはもう一度全宇宙に通信をつなぐ。

「関係各所へ。こちら戦艦オリオン、艦長のタカハシハヤトだ。メカ巨大ミサイルが地球に向けて放たれた。これを作戦通り全力で阻止してくれ。そして戦艦オリオンはメカ総母艦をたたく。」








「聞いたか?」

「ああ。」

ユウキとカズマは、冥王星宙域でにやりと笑った。

「作戦通りらしいぜ。」

「ああ、らしいな。」

2人はすぐに顔を引き締めた。

「ポイオーティア防衛隊はどうしたんだ?」

「これは、突破されたとしか言えないだろう。」

「そもそも作戦自体が無謀すぎる。あの人数で抑えられるわけがない。」

2人は唇をかみしめた。

「戦艦オリオン航空隊、ポイオーティア防衛班に敬意を。」

ユウキが呟く。

「そして冥王星は、俺たちが守る。」

カズマが呟く。

「戦艦オリオン、戦艦オリオン。こちら冥王星のアサヒです。レーダーに感あり。敵戦闘機多数。ポイオーティアが突破されたようです。」

通信機越しに、戦艦オリオンの悲しい雰囲気が伝わってくるようだった。

「われわれが全力で守ります。」

「頼む。」

明らかにトニイのものと分かる低い声が聞こえてきた。ユウキとカズマは顔を見合わせた。

「行くぞっ!」

ゼロは敵に向かって飛び出した。








コウスケは地球を飛び立った。宇宙で飛び立つのと違う、懐かしい重力に思わずハッとさせられた。

「全員、配置を確認してくれ!もう一度だ!」

さっきから通信機に叫んでばかりだ。自分も一番危険な配置につく。

「コウスケ!巨大ミサイルは海王星・天王星を通過。誘導には成功した模様。」

リンカから通信が入ってきた。

「了解。」

「引き続き通信を担当します。」

リンカはすこし高い声で言った。








「くそっ。数が多すぎる。」

「このまんまじゃ堂々巡りだ!」

ユウキとカズマは声を荒げた。敵戦闘機との戦闘は造作なかったが、数が多すぎた。何度も囲まれ、疲れが操縦に現れた。この2機が突破されたら冥王星がアスのようになってしまう……。その想いだけで動かしているような気分になった。

「あれ……やるか?」

「しかし……。」

「いや、やるしかない。」

カズマが叫んだ。

「ユウキ、やるぞっ!」








「ハルカ、トウキ、無事だったか?」

「ああ。無事だ。」

「センカとショウタも……。よかった!」

戦場でチームゼロは少しだけ巡り合った。4人とも息が荒い。

「航空隊も、随分数が減ったな。」

ショウタが呟いた。

「戦艦オリオンも随分やられてる……。俺たちもだ。」

「なぁ、あれ、覚えているか?」

「ショウタ……?」

センカが不安げな顔をした。

「でも、やるしかないだろう?」

「ああ、そうだな。」

「ちょっとトウキ!」

「ハルカ、お前なら大丈夫だ。」

「でも……わかってるけど……。」

4人は複雑そうな顔を見合わせた。

「やるしかない。」

「行くぞっ!」

「うわあああああ!」

ゼロは再びレーザーの中へ飛び出す。







「安全装置解除!」

冥王星宙域で、ユウキとカズマが叫んだ。






「解除コード、コハル!」

戦場でセンカたちも叫んだ。





とたんに機体が大きく揺れた。








「フェシカ隊長、無事でしたか!?」

「ああ。お前もな。」

テレーゼはにやりと笑う。そして部下と別れる。先ほどからこれの繰り返しだ。

「あれ、あれは?」

テレーゼは突然目の前に降りてきた白い機体の動きは見て、叫んだ。

「コハル……っ! まさか安全装置を……!」

テレーゼはあの事故のことを思い出した。

「くそっ!」

自分の不甲斐なさを糧に、テレーゼは再び敵戦闘機を追い回した。





「巨大ミサイル、木星プラント通過。木星に被害なし。誘導は成功。」

「リンカありがとう。」

コウスケはつぶやく。

「建設担当意見具申。ゼロのあの機能、確認しといてくれ。」

「タケル……。」

スズナの声が寂しく通信機から響く。






ヤオはそれを聞いて、思わず操舵槓を握りしめた。

「ヤオ?」

通信機が鳴る。

「チュンミン?」

「個人通信です。すみません。」

「いや……。すまないなチュンミン。君の配置場所はかなり危険だ。」

「ヤオの場所のが危険でしょう?」

チュンミンの声がヤオを包み込むようだった。

「しかし……。」

「ヤオ、この作戦が終わったら、久しぶりに休暇が欲しいの?」

「休暇?君が休暇を申請するなんて珍しいね。」

「久しぶりに、家族に会いたくて。」

「そうか。いいよ。君は働きすぎだ。」

「あなたもよヤオ。少しは休んで。」

チュンミンと普通の会話をするのは久しぶりだ。ふと昔を思い出す。中国人と台湾人は、同じ班にもかかわらず仲が良くなかった。チュンミンもはじめは、ヤオを敵視していたものだった。思わず笑いがこみあげてくる。

「巨大ミサイル、アステロイドベルト付近まで到達!」

通信が入ってきた。








ブンタは操舵槓を右へ左へ動かしながら、敵総母艦の攻撃を巧みによけていた。

「こちらフェシカ。ゼロが安全装置を外した模様。危険だ、なるべく早くZ作戦を発動させてくれ。」

いきなり入った通信にブンタは叫び返した。

「コハルの2ノ舞にはさせるかっ!」

「ばかっ。」

キッドも叫ぶ。

「主砲、まだなの?」

「はい、修理完了しました。撃てます。」

「撃てーっ!」

荒ぶる戦術長を見ながら横で口を真一文字に閉じているトメグを、ダブはながめた。

「戦略長、A作戦は?」

「順調みたいね。」

「Z作戦は?」

「いつでも。」

「わかった。」

ダブはトニイに告げた。

「技術長意見具申。戦艦オリオンはもう限界だ。」

「わかってる。もう少し待ってくれ。」

トニイはそういって微笑んだ。

「もう少しだ。」










「あと何機だ?」

「もう少しだ。」

「気を引きしめろ!」

「お前もな!」

ユウキとカズマは叫びあう。

「お前は左を!」

「了解!」

安全装置を解除したゼロの動きは美しかった。メカをあっというまに手玉に取った。








「もうすぐ巨大ミサイルがくる!気を引き締めろ!」

火星宙域で、ダイマスが叫んだ。

「いいか、火星で殺すくらいの勢いでやれよ!あの子たちを守るんだ。いいな。」

鬨の声が響き渡った。




「もう一度、配置をかくにんしろ!」

「正確さが命だ!」

月防衛隊も駆け回っていた。








もう何機落としたのだろう。なぜ自分は生きているのだろう。

センカは放心状態で、飛び回っていた。安全装置を解除したおかげで格段に動きはよくなり、敵を倒しまくった。

「あと何機……。」

味方も敵も見当たらない。

「みんなは……?」

すると遠くに、テレーゼ・フェシカ隊長のものらしい機体が見えた。

「援護します!」

センカは叫ぶ。が、通信が入ってきた。




「チームゼロ、チームゼロ。これから最後の攻撃を始める。」

トニイの声が聞こえてきた。

「後を……Z作戦を頼む。元気でな。」





「いやああああああ!」

ハルカは叫んでいた。自分でも少し驚いていた。

「戦艦オリオン、最終攻撃準備せよ。」

「目標、敵総母艦!」

通信機越しに声がする。

「いやっ、いやっ。」

ハルカは叫びながら、敵を倒そうとする。上から別のゼロが飛んできた。トウキだ。

「ハルカ!いくぞっ!」

「いやっ!」

「見殺しになんかできないわよ!」

センカの涙声が聞こえてきた。

「くそっ!」

ショウタの叫び声が聞こえてきた。

「お役目、ご苦労。」

突然、落ち着いた声が聞こえてきた。

「こちら戦艦オリオン航空隊長、テレーゼ・フェシカだ。君たちのような優秀なパイロットを航空隊に迎えることができて光栄だった。ありがとう。他のみんなにも伝えてくれ。」

「隊長?」

「さあ、行けっ!」

突然どこからか、レーザーが飛んできた。地球のものだった。なんなくかわした4人は、その反動で戦場から大きく外れた。

「チームゼロ、戦線を離脱します! これよりゲートの破壊を行います! 母艦オリオンの良い旅をお祈りしていますっ!」

ショウタは泣きながら叫んだ。

「行くぞっ!」










「巨大ミサイル、アステロイドベルト通過。」

リンカの声が緊迫した雰囲気をさらに高めた。

「総員、戦闘態勢!」

コウスケが叫んだ。

「来るぞっ!」



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