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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
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新しい席

「ああ、温かいお雑煮。」


「おいしい!」


ミノリとミズキは温かい雑煮の、簡素な夜食に満面の笑みを見せた。本部トーチカのテーブルには新たに4人分のスペースが設けられ、めいめいスズナが作っておいてくれた雑煮の夜食で、作戦後の体を休めていた。少し濃い味噌に、真空パックの野菜や肉、餅を入れてよく煮込んだ雑煮は、とても温かかった。


「スズナありがとう。」


「うん、本当においしい。」


「みんなおなかすいてくると思ったから。」


スズナは少し顔を赤らめた。


「ミノリちゃん、ミズキちゃん、味はどう?」


「おいしいよ、スズナお姉ちゃん!」


「ありがとう!」


スズナはほっとした顔をした。


「でも、最近ビスケットや固形食で済ませることも多かったから、栄養のあるものを用意できてよかった。でも夜食はあまり体に良くないから、みんな食べ過ぎないでね。」


スズナはそう言って、お茶のポットをとりに台所のほうを向いた。






「ツツイ、戻りましたー。」


「アサヒ、戻りました。」


「同じく、クラモト戻りました。」


トーチカの入り口が開いて、作業服の3人が入ってきた。


「おつかれさまー。」


どこともなく声がかかる。


「おっ、夜食じゃないか。」


「用意するよー。手洗ってきて。」


コウスケの無理に明るく弾んだ声に、スズナが少しからかうように声をかけた。


「ユウキとカズマもね!」


スズナがお茶のポットをテーブルに置きながら言った。


「あっ、やっとくよ。」


リンカがそう言って、お茶をつぎはじめた。


「センカ、どう?」


「ああ、報告書ね。たぶん明日までかかるわ。それにキノスラの作戦もいろいろ変えて、コスモクラウドにあげて共有して・・・・・・。戦艦オリオンとの打ち合わせもしなきゃ。」


「そう。無理はしないでね。」


「ありがとう。もう少しだけ無理させて。」


センカはノートパソコンから顔を上げて伸びをした。


「ユウキ、ゼロの整備は済んだの?」


センカは頭をかきながら尋ねた。


「ああ。ちょっと不具合があったのを直してもらった。さすが国連宇宙防衛軍の技術屋さんだ。コウスケの技術には参ったよ。」


「いや、この2人もなかなかだぜ。辺境であそこまで整備して、ちょっと改造もしてたからな。」


箸とお椀をバランスよく持ちながら、コウスケが会話に加わってきた。


「カズマはメカニックマニアなんだ。エンジニアの父さんたちと協力して、自分たちの飛びやすいようにカスタムしてたんだ。」


「本当は、すぐに正式な1号機タイプが回ってくるはずだったんだけど、なかなか防衛軍から連絡がないし、何よりも君たちがゼロで地球を守っていると聞いて、1号機の製造が間に合っていないだろうと考えざるを得なかったんだ。だから勝手にいじったんだ。エンジンなんか、ちょっと直すだけで燃費が格段に上がるぜ。」


カズマが細かい数字をあげて話そうとしたが、コウスケがうまくさえぎった。


「とにかく、簡単な改造だから、時間を見つけてみんなのもやっておくよ。そうそう……イバーノフさんの言ってた解除コード、2人のゼロでも使えそうだ。」


「驚いたよ、あれは。」


「安全装置だったのか。ただの足場だと思っていたよ。」




「話も作業も尽きないと思うが、夜のミーティングを始めたい。あ、食べながらでいいよ。」


ショウタが時計を見ながら言った。


「はーい。」


「了解。」


みんながばらばらと席に着いた。アスの4人は、少し改まった表情をして座りなおした。


「まず、アルテミスケノンベースキャンプの運営について、主計担当のスズナ、お願いします。」


「はい。まず、今日の作戦により、アスから4人の仲間が加わりました。アサヒユウキとミノリ、クラモトカズマとミズキ。出身国は日本で、ユウキとカズマは同い年、同じゼロのパイロットです。」


8人から拍手が上がった。


「なお、食料などは十分にあるので、心配しないでください。4人は当分、ベースキャンプに滞在してもらいます。ミノリちゃんとミズキちゃんは、基本的にアルテミスケノンベースキャンプにいてもらいます。暇をつぶせるものはあまりないけれど、戦艦オリオンを通じて、通信教育や電子書籍のデータを取り寄せるので、それまではのんびりしていてね。」


「ありがとう!」


ミズキが目を輝かせた。


「でも、私たちも何かお兄ちゃんお姉ちゃんたちの手伝いをしたい!」


ミノリがほっぺたを膨らませた。


「そうね・・・・・じゃあ、このベースキャンプ、できたばかりの上に、お兄ちゃんお姉ちゃんたちが荒っぽく使うから、すぐ汚くなっちゃうの。お掃除を手伝ってほしいな。それが終わったら、一緒にクッキー焼いてみようか。」


「わあああ!」


ミノリとミズキの顔が明るくなった。


「話を戻すね。ユウキとカズマは、一応民間人ではあるけれど、アスやキノスラ、この近辺の宙域に詳しいパイロットです。今後の作戦にも協力してもらおうと思うのですが。」


「ああ、かまわないよ。」


カズマが手を鳴らした。


「僕も構わない。しかし妹たちは関係ない。なるべく早く、安全な星に連れて行ってほしい。」


「ええ。戦艦オリオン側とも相談します。」


「ありがとう。」




「じゃあ、次はタケル。」


「ほいほい。今日の作戦中に、一通りの機材のチェックをした。システムに問題は見られなかった。今日の引き継ぎ事項はまとめてマニュアルにするので、今後ベースキャンプに待機するメンバーは確認しておいてくれ。」




「他に何か報告がある人は?」


ショウタがみんなを見渡した。


「じゃあ、本日の作戦の報告および今後の予定について、戦略担当ウエキ。」


「はい。本日はおつかれさまでした。」


センカは軽く頭を下げた。


「移民星アスにおいて確認された生存者は4人、死者行方不明者併せて232人。メカによる攻撃と空調システムの破壊、および市街地の破壊が確認されました。生存者4人はベースキャンプに収容、回収できた私物とゼロ2機もです。発見された遺体は、メインコンピューターセンターに集めました。埋葬のめどはたっていませんが、ほかの移民星の調査が済み次第、随時始めるつもりです。詳しい報告は、ハルカからお願いします。」


「はい。」


ハルカが息をのんだ。


「アスは市街地や農地を含めた、活動領域すべてに攻撃を受けていました。直接メカの攻撃で亡くなった方もいれば、メカによって破壊された空調システムによる酸欠で亡くなった方もいます。また、崩れた市街地の下敷きになって亡くなった方もいると思われます。現在、アスの酸素濃度は生存が厳しい濃度をかろうじて維持できている状態ですが、そのおかげで遺体の損傷が少なく済んでいます。しかしなるべく早く、埋葬をするべきだと思います。」


「ハルカありがとう。今後はキノスラの調査を始めたいと思います。そのためにも、ユウキとカズマからこの宙域の詳しい話を聞きたい。協力お願いします。それから、各自コスモクラウドに上がっている報告書を確認して、つけたしがあればコメントしてくれ。簡単な報告はすでに戦艦オリオンにしてあるけれど、詳しい打ち合わせを明朝する予定です。その後、作戦の変更を共有します。各自、次の作戦までにできることをお願いします。」


「センカありがとう。」


ショウタは、またみんなを見渡した。


「今日はこれでお開きにしよう。各自残って作業するものも、あまり遅くならないように。今日はいろいろあったから、早めに休むようにな。そうだ、忘れてた。」


ショウタはにやっと笑った。


「スズナが作ってくれた夜食がある。各自食べておくこと。なかなかうまい。」


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