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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
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移民星アス調査救助作戦

6機のゼロがアルテミスケノンを飛び立って2時間。目の前に黄土色の星が見えた。


「移民星アスだ。」


「あれが、アス……。」


遠くから見ると黄土色だったが、近づくとところどころに緑や青が見えた。


「確か移民星アスは、まず星の半分を重力制御システムと空調システムで管理した後、地下にあった水脈や水素の塊を使って各地にオアシスを作り、そこを中心に農場や街を作っていった星だ。それ以外の土地は砂漠まではいかないが、乾燥した荒地だそうよ。住民のほとんどは東アジアや中央アジアの人々で、東洋の文化が色濃く残った移民団だった。だから、古い言葉で東を表す、アスという名前になった……と聞いているわ。」


リンカが解説を続けた。


「アス移民団の団長は日本人のエンジニアのアサヒ、副団長も日本人のクラモト。貧しい中国人や遊牧民の子孫たちが、新しい未来を求めて移住したそうよ。日本人が一番知識を持っていたから、自然と彼らがリーダー格になったみたい。とはいえ、よく協力している、とてもいい雰囲気の移民団だった。特に日本人のアサヒユウキと、クラモトカズマは、アスやキノスラの自警団の優秀なパイロットだったそうよ。私たち以外の、唯一のゼロのね。」


センカがそれに返事をする。


「だが、そのアスからの通信が3週間ほど前から途絶えた。何かあったことは明白だ。ただの通信障害ならいいが……。」


センカはおおきく息を吸い込んだ。


「これより、作戦行動に移る。」


「了解!」


と、あちこちから声が聞こえた。




チームゼロのリーダーは、戦術担当のショウタだったが、基本的にそれぞれの作戦や行動の責任者は、立案者である各担当のメンバーであった。今回の「移民星アス調査救助作戦」の責任者は、戦略担当として戦艦オリオンにいるころから作戦を練っていたセンカであった。そのため細かな指示はセンカから、大きな決断や不測の事態にはリーダーのショウタが関与するということになっていた。


不測の事態で考えられることの1つは、敵からの攻撃だ。だがこういった場合の適任者は、戦術担当のショウタだ。この体制は一見複雑そうだが、実は合理的であった。




「ツツイ、シイナ両名、ゼロを滑走路に着陸。カモフラージュ後、重力制御システムおよび空調システムの確認、復旧に当たります。」


コウスケから通信が入ってきた。


「ウエキ了解。地表の空気はどう?」


「重力は・・・・・・月ほどしかありません。空気も薄くなっていて、従来の大気に戻りつつあります。気圧は問題ないですが、酸素濃度が大幅に低下していますね。」


「了解。」


「こちらニイムラ、オオノです。こちらも着陸しました。カモフラージュ後、生存者の捜索に入ります、が・・・・・・。」


ハルカが口を閉ざした。


「とにかく、捜索に入ります。」


トウキが続きを報告した。


「了解。気を付けてね。ハシモト、ウエキはこれより、アス周辺の警戒にあたります。」


「こちらポイオーティア、みんながまいた小型通信衛星のおかげで、こちらからレーダーを使った索敵および調査が可能です。何かあれば連絡します。」


「了解。ありがとう。ポイオーティアは変わりない?」


「ああ、変わりあるよ。リーダーさん。前よりずっと快適だ。昨日誰かさんが書類をぐちゃぐちゃに入れたのをきれいに整頓したからな!」


「うっせ!」










2機のゼロは、砂にまみれた農場の上空を飛んでいた。


「ひどいな。ここは農場のはずだ。」


「大気が荒れている。空調システムでいままで管理していたのが・・・・・・。これじゃあ、作物は全部・・・・・。」


「生存者も、正直絶望的だ。」


「そんなことない!絶対に・・・・・・。」


「ああ。責任者が最後まで粘ってくれよ。」


「わかった。」


ショウタとセンカはあたりを見渡す。そのとき、アラートが鳴り響いた。


「あ、あれ!」


「メカか。くそっ!」


ショウタとセンカは目くばせしあった。


「俺が右から。」


「私が左からね。」


「ああ、そうだ。」


2機のゼロは両側から回り込んだ。


「ロックオン!」


同時にレーザー光線が飛び交う。


「どう?」


「まだとどめはさせていない。」


センカが叫んだ。


「俺が上から回る。お前も上に退避!」


「了解!」


ショウタのゼロが一瞬高く舞い上がって、一気に急降下を始めた。センカも上に舞い上がり、レーザーから身をかわす。アスの上空で大きな爆発音が鳴り響いた。


「よし、やったぞ!」


「チームゼロ、こちらウエキ。アス市街地東方農場上空で、メカの戦闘機一機と交戦。ハシモトにより撃破。各自引き続き注意せよ。」


「おい、あれを見ろ!生存者だ!」


センカは、ショウタの声に思わず通信機の操作を間違えそうになった。


「生存者?」


「あそこ、農場の中の丘みたいになっているところ!」


「あ、あ!」


「あそこに防空壕があったんだろう。救助に向かうぞ!」


そこに、またけたたましいアラートが鳴り響いた。


「メカよ!低空飛行してる……。あの人が危ないわ!」


「くそっ。行くぞ!」




宇宙服を着た人影がとっさに身をかがめたのが確認できた。その上を、戦闘体制のメカの戦闘機が今まさにとびぬけようとしていた。


「うわあああああ!」


ショウタが突っ込んでいく。レーザー光線が飛び交う。その横を、センカは着陸寸前の低さでとびぬけた。


「ばか!墜落するぞ!」


「かまわないわ!上からだと、あの人を撃ってしまう!」


センカのゼロは飛びぬけたかと思うと、そのまま荒々しく着地した。すれ違いざまに攻撃を受けたメカの戦闘機はセンカのゼロとは向きが違うが、それでもずっと後ろまで吹き飛ばされ、火を噴いた。




「こちらハシモト。生存者発見!生存者発見!」


ショウタも着陸態勢に入りながら、通信機に向かって叫んだ。


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