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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】太陽系辺境防衛戦争
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アルテミスケノン・ベースキャンプ

重力制御システムと空調システムを起動しただけではベースキャンプにはならない。引き続き、設営作業が始まった。




このベースキャンプは、3つの居住スペース(通称:トーチカ)と1つのシャワー・トイレボックス、それから移動時のコンテナを活用した倉庫、重力制御システムと空調システムの機械本体、そして広い滑走路から成り立っていた。




滑走路はただの広い空洞で、外界とは空調システムによって作られたシールドで仕切られていた。このシールドは青く光っており、オーロラのようにゆらゆら揺れていた。滑走路は中心を開けておき、左右のスペースにゼロを並べた簡単なものだ。ちなみに滑走路となる平らなスペースはシールドの外から続いており、長さは十分確保されている。




滑走路の奥に広がる洞窟を利用して、トーチカが3棟立っている。手前は「アルテミスケノンベースキャンプ本部」である。のちに本部トーチカと呼ばれるようになった。中には重力制御システムなどのコントローラー、この星の対空防御システムのコントローラーや、レーダー、コンピューターなどの電子機器が所狭しと並んでいる。さらに膨大な紙資料。筆記用具や印刷用紙などの文房具。台所や食器、ストーブなども備えてあった。これらをきれいに整理して出しやすいようにおいておかなけばならない。


真ん中には大きなテーブルと椅子が3つの塊を作っている。そのうち2つは、チームゼロの面々それぞれが座る席だ。引き出しやコンセントも備え付けてある。このテーブルでは、作業はもちろん、食事もすることになっていた。残り1つのテーブルは作業用としてあけてあったが、すでにたくさんの荷物が積み上げられていた。




入口から反対側の扉は廊下につながっている。廊下と行っても、いびつな形のスペースになっていた。正面が中で男女にわかれたトイレとシャワールームになっている。左が女子部屋、右が男子部屋だ。就寝部屋はあまり広くない。入るとただっぴろいスペースがあり、半分くらいがロフトに覆われていた。結局ロフトにマットを敷いて寝ることになった。個人の荷物や作業スペースは下の段が使われた。廊下から外に出る裏口があり、ここから倉庫のほうに抜けることができた。もちろん外からも回ることができた。




空洞の隙間を利用した対空防御システムも万全だ。本部トーチカの屋根のスペースを利用して、対空用のレーダーとレーザー機関銃を設置した。普段はここで見張りをしつつ、戦闘時はここから援護射撃をすることができる。ほかにも何か所か、自動操縦あるいは遠隔操作をするタイプのレーザー機関銃を設置していた。また、対空監視のための設備も設置した。




2日かけて、ようやくある程度の設営が済んだ。戦艦オリオンへの報告も無事に済ませた。戦艦オリオンからは、最近の戦況と、近いうちにチームゼロの昇進があるかもしれないことが告げられた。






「お疲れ様。」


誰ともなしにそんな言葉がこぼれる。めいめい、自分のコップにお茶やコーヒーを入れて飲み始めた。センカも熱いお茶にため息をついた。


「なんか、キャンプみたいだね。」


「本当だね。」


そんなたわいもない会話が始まる。


「今日は早めに休みたいな。」


ショウタがみんなの顔を見渡す。


これまでも、一番年上(4月生まれ)のショウタがみんなのリーダーであったが、今回正式にハシモトショウタがチームゼロのリーダーとして、アルテミスケノンの代表となることになった。もちろん今までもそうであったが、明言されたとなると、また意識も変わるものであった。


「やらなきゃいけない作業を洗い出して、明日からの作戦の確認をして、早めに休もう。」


ショウタは、一番クリアボードに近いセンカにマーカーを投げた。


「書いてくれ。」


「はいよー。」


センカはマーカーをもって、わざと身構えた。


「よし、何か作業や連絡がある人?」


「主計班から。パーフェクトリサイクルマシーンもあるけれど、小型だからあまり性能はよくない。水や食料は大切に使ってちょうだい。」


「建築からも。まだ倉庫が荒れたままだ。時間に余裕があるときに整理をしてくれ。」


「他は大丈夫か?じゃあ、戦略から、明日の確認を始めてくれ。」


「了解。明日の12:00から、移民星アスの調査に向かいます。作戦は前と変わっていません。移民星アスと移民星キノスラは3週間ほど前から連絡が途絶えており、おそらくメカの襲撃を受けたものと思われます。もしかすると、通信システムが途絶しただけかもしれないし、生存者がシェルター等に避難している可能性もある。わたしたちの役割は、周辺のメカの排除と、調査救出だ。作戦にかかわるものは全員、医療キットと最低限の食料、救出キットをもっていってほしい。」


「メンバーは?」


「まず、タケルとスズナ。2人はベースキャンプの設営関連の作業が残っているため、残留とする。設備の確認などをしつつ、バックアップに回ってほしい。」


「了解。」


「わかったわ。」


センカはみんなを見渡す。


「ショウタと私は、メカの排除を最優先とする。先発隊として向かい、メカをたたき、かつメカが近づかないように見張りをする。そのすきにトウキ、ハルカはアスの市街地の調査・救出にあたってほしい。コウスケとリンカは、まず重力制御システムと空調システムを確認してから、市街地の調査に合流してほしい。」


4人がうなずいた。


「基本的にペアで行動すること。詳しい動きはコスモクラウドにもあるから確認してほしい。質問は?」


「俺たち4人は、ゼロをどこにとめればいい?」


トウキが質問した。


「市街地近くに空港がある。そこの滑走路を使おう。格納庫も近くにあるから、そこでカムフラージュできるはずだ。」


「了解。」


「他は大丈夫かな?」


「よし、確認はこれで大丈夫だろう。詳しい備品の確認は明日の朝やろう。今日はこれでお開きだ。」


「おつかれさま!」


みんながまたざわざわしだした。




不思議な共同生活が始まった。


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