夜のミーティング
「ということが、2ヶ月前にあったんだって。」
リンカがタブレット端末を操作しながら、バイルシュミット隊長が戦死した日の話を、チームゼロの仲間に話した。
「その後、バイルシュミット隊長の後を、テレーゼ・フェシカ隊長が引き継いだのだけれど、自分の指示を絶対だとして、なかなか厳しくしたらしいわ。自分が最前線で戦いながら、全体を見れるのは、フェシカ隊長だからこそだけど。」
「しかし航空隊はどちらかというと、個々の意識が強い部隊だ。下手に全体で動くのは、どうなんだろうか…。」
コウスケが呟いた。
「まぁまぁ、話を始めようよ。」
センカがコウスケをやんわり制止した。
「ベースキャンプ設営に向けての作業はどういう状況なのか、報告してちょうだい。」
「じゃあ、戦術から。戦艦オリオン側の先輩たちと話して、持っていく武器を選んだ。詳細はコスモクラウドの軍籍用アカウントから、チームゼロのフォルダを確認してくれ。」
「残りの作業は?」
「武器の運搬方法確認。動作チェック。俺たちの訓練。あとはタケルとベースキャンプの防衛体制をまとめたい。」
ショウタとタケルは目くばせしあった。
「わかった。次は戦略。みんなの作業次第だけど、予定通り4日後には出発よ。スケジュールは現段階のものをコスモクラウドに上げてる。ベースキャンプ設営後の計画もいくつか上げているから、意見がほしい。」
「あとは俺たち次第ってわけか。」
「じゃあ次は情報ね。必要な情報データの収集はほぼ完了したわ。あとは、アルテミスケノン周辺の移民星のデータを分かりやすくまとめておきたいわね。何か依頼があれば手伝うわ。」
「技術は戦術と建設の補佐に回る。戦略についても技術班としての意見をしたい。」
リンカとコウスケはさらさらとタブレット端末を操作しながら言った。この2人は何かに熱くなっている時ですら、ほかのことを同時にやれるくらい、不気味な落ち着きや器用さを時々垣間見せた。だからこそ、地球の技術開発や情報管理をずっと預かる番人となりえたのだが。
「動作チェックや何かで協力してもらいたいな。」
「ショウタ了解。」
「次は医務ね。基本のメディカルキットはそろえたわ。あとは医療面でのみんなの訓練、それから主計班と共同でみんなの健康管理に当たります。」
ハルカはそう言って、スズナと目を合わせて笑った。
「航空だな。航路の候補をいくつかあげた。リンカ、後でデータを一緒にチェックしてほしい。ショウタとセンカも、戦術戦略面から意見をくれ。」
「トウキ、わかったわ。あとでデータを確認しましょう。」
「じゃああとは大箱よ。主計から。必要な備品のリストを作ったわ。必要なものが出たら随時コスモクラウドに書いてほしい。こちらで吟味、備品のチェックをした後、輸送コンテナ兼簡易倉庫に積み込みます。コスモクラウドへの書き込みは明日の昼までとします。それ以降に追加で備品があったら私まで連絡して。」
「人手が必要ね。」
「戦艦オリオン側にも手伝ってもらってるけれど、私ひとりじゃ無理。個人の作業が終わり次第、手伝いにきてほしい。」
「任せろ!」
トウキが笑った。
「俺もやることまだ残ってるけどな!」
「最後は建築か。これも大箱だぞ。トーチカの組み立てキットは積み込んだが、中で使う機材のチェックと改良はまだまだだ。こちらもなるべく人手がほしい。実際に言ってみないとわからないが、アルテミスケノン全体の防衛体制も作らなければ。」
「タケル、了解。そうね……。」
センカは少し考えた。
「トウキ、アルテミスケノンの地形データは?」
「あるよ。でも不明確なところもあって、なんとも言えない。」
「ベースキャンプ設営に必要な情報をまずは今夜中に共有したい。ショウタとタケルが現時点で考えている基地全体の設計図を見せて。それが実現可能かどうか、コウスケは技術面から、スズナは生活面からチェックをいれて。そこで必要な備品を各自で洗い出してスズナに報告。具体的な準備は明日に回そう。基地全体の情報を共有し終わり次第、リンカ、トウキ、わたしでベースキャンプ設営後の計画を確認したい。ショウタ、タケル、コウスケはベースキャンプ設営までの流れの更新をお願い。スズナとハルカは、備品の吟味をお願いします。」
センカはみんなを見渡した。
「このミーティングは1時間で終わらせましょう。じゃあショウタ、タケルに任せるわ。」
「了解。」
「ちょっと待っててくれ。」
「あ、じゃあ俺ちょっとトイレ!」
「わたし、飲み物持ってくる。みんなは?」
「ありがとう。なんでもいいわ。」
「私手伝うよ!」




