防空戦
「チームゼロ、チームゼロ。こちらニイムラ。先ほど送ったデータの通りに、ポイオーティアのバリアを抜ける。メカの死角を突くぞ。後に続いてくれ。」
「こちらハシモト。トウキ了解した。バリアを抜けたらすぐに隊列を組みなおす。」
「ショウタ、順番は?」
ゼロはポイオーティアをぐるりと回った。
「いつも通りだ。まずハシモト・ウエキ両名が出る。」
「ショウタ、そろそろ出口だ。行くよ!」
「いつもどおり命は預けた、センカ!」
バリアと呼ばれ、ポイオーティアに停泊する戦艦オリオンをメカの目を惑わすために作られたシールドを8機のゼロが飛びぬけていった。2機ずつ4つの塊になって飛び出す。
ショウタは大きく息を吸っては吐き出す。ささいなミスが命取りになる、と何度も言い聞かせるように。
「敵機発見、2時の方向!」
「了解。」
「ウエキ機はこのまま右から回り込む。」
「俺は左だな。」
ショウタの頭上をセンカのゼロが右に曲がりながら飛び去って行った。ショウタも右手のハンドルを押し出した。機体が大きく左へ曲がった。ふと右側に目を向けると、敵に追われている防衛軍の機体が見えた。
「うちの1号機か。」
ショウタはハンドルを器用に動かした。
「ロックオ……くそっ。」
メカの戦闘機は素早い。ショウタはもう一度体制を立て直そうとしたが、不意にアラーム音が聞こえてきた。
「ショウタ!後ろ!」
「わかってる!おい、邪魔だお前!」
ショウタはくるりと宙返りした。不意を突かれた敵機が爆発する。
「センカ、サンキュー。よくその距離で当てたな。」
「まあね。」
「行くぞ!」
「りょーかい!」
ショウタはそのまま、さっきまで狙っていた敵に飛び込んだ。センカも向かう。
「あれは、フェシカ航空隊長の1号機か。」
「敵機は改良版だわ。最近確認された新タイプ!」
「隊長ですら!」
「もう一機確認。やっかい!」
センカが叫んだ。
「シールドパターン変更中。あと20分ほどで全変更完了。」
「ポイオーティアの防御システム確認完了。異常はありません。」
第一艦橋はオペレーターの声でいっぱいだった。
「敵機4機殲滅。すべてチームゼロによるものです。」
「ポイオーティア南半球のシールドパターン変更完了、続いて北半球の変更に移ります。」
「戦闘データ解析中、敵機の中に新しい機体を発見。改良版と思われる。」
「うちの航空隊は?」
「3機帰投しました。残りはキム機とフェシカ機。交戦中です。」
キッドは通信機に怒鳴り込んだ。
「テレーゼ!戻ってきて!」
「フェシカ・キム両名。今すぐ帰投せよ。繰り返す、航空隊はオリオンに帰投せよ。」
通信士の声がむなしく響いた。
「ヨンミン!戻って!こいつはわたしが片づける!」
「隊長こそ! 隊長をここで失うわけにはいきません!バイルシュミット隊長のためにも!」
「いや!やめて!わたしにやらせて!」
2機の1号機はメカに追い回されながら、それでも反撃の機会をうかがっていた。
「ロックオン!発射!」
キム・ヨンミンがなんとかレーザー弾を撃ち込んだが、それはさらりとかわされた。
「攻撃がさっきからパターンがみられる。しかしそれはこちらも同じか。」
テレーゼはつぶやいた。
「ゼロだったら、予想外の動きで仕留めるのでしょうがね。フェシカ隊長、ここはひとまず、戻ってください。」
「無理よ!あなたこそ戻りなさい!」
「もう1度やってみます。」
ヨンミンは再び態勢を整えようとした。
「あ!危ない!」
テレーゼが叫んだ。ヨンミンがふと見ると、背後に狙っていたはずの敵が迫っていた。
「回避します!」
ヨンミンは叫びながら舵をとる。しかしもはや手遅れであることを実感していた。が、ほぼ同時に自分の戦闘機の真横を、見慣れない戦闘機がすり抜けていった。すり抜けると同時にレーザー弾が発射される。背後の敵が爆発した。再びアラーム音が鳴る。右側から敵機が迫っていたが、こちらもきれいに爆発した。
「ゼロか・・・・・・。」
ヨンミンは信じられないと自分に言い聞かせながら、オリオンの方角に飛んで行った。
敵はすべて鉄くずとなった。




