↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日から使える異世界ライフハック  作者: 白生荼汰


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/69

カレーは飲み物

 カレーは飲み物である。


 この言葉をキャッチコピー的にでなく実感することがあるとは思わなかった。

 クラッカーでとろみをつけ塩で味を調えたカレーは、チャーシューのタレと隠し味のお好みソースのおかげか、どことなく和風で我ながら美味しく仕上がった。

 炊きあがったつやつやの白いご飯にたっぷりとカレーをかけて、サイドには甘酸っぱいコールスローの布陣。カレーにはつきものの福神漬けやラッキョウがないのは残念だけど、コールスローがしっかり代役の箸休めを果たしてくれる。ドレッシングはフレンチドレッシングベース。コールスローのドレッシングは甘めの方が美味しいと思う。みじん切りにしたキャベツと人参と玉ねぎの食感の違いが楽しい。

「……は、もうなくなった」

「お代わりいる?」

「あぁ、貰いたい」

 そう、カレーを飲み物にしているのは、わたしではない。ブレッドだ。

 カレーライスを出されたブレッドは、一口目は恐る恐るだったのに、口にしてしまえばあとはもう流し込むように一皿目を食べきった。

 日常からお粥を飲み物的に食べてるだけに、ちゃんと噛んでいるか聞きたくなったが、口を挟む暇もなく2皿目も食べているのだから、どうしようもない。

 スプーン一本で口に放り込めるだけに、勢いはあの時よりもすごいけど角煮の時もこんな感じではあったよね。

 ブレッドの口に消えていくカレーはまさに飲み物だ。

 カレーの時はわたしも一合くらいは食べちゃうし、炊いたご飯が余ったら焼きおむすびでもチャーハンでもなんとでもなるか、とダッチオーブンで五合炊いたのだけど、まさかの足りない勢いですよ。

 いっそダッチオーブンをフルで活用して一升炊くべきだったかもしれない。

「これでもうごはんがないよ。足りなかった?」

「いや、そんなことはない。……が」

 チラチラと名残惜しげに皿を眺めている。

 本当に足りないなら、備蓄用のアルファ米を戻してもいい。でも待ってる間におなかいっぱいになりそうだし、肝心のカレーがあとわたしの一食分くらいしかないからなー。

 流石にわたしの残りは口付けてるからやらんよ。

「今回のカレーを作った香辛料が結構な量あるんだけど、オウデルハインダー家ならいくらで買うか聞いてきてくれない?」

 未開封の缶と開封済みの缶を並べ、さらに紙に乗せた粉を見せる。

「様々な香辛料を手軽に使えるように粉末状にして調合したもので、カレーみたいに汁物に加えたり、肉や魚や野菜にまぶしたり、色々と使えると思う。こっちのまだ開けてない缶は差し上げるので、買うならいくらになるか教えてほしい。買っていただけるなら、この5倍の中身が入ったものと25倍の中身が入ったものをお譲りできると伝えてほしいの」

 使いかけはこうして封ができて、こうやって開けるのよ、ってなところを実演してみせる。

 蓋の狭い隙間に固いものを差し込んでひねって開けるの、ちょっと楽しい。

 開ける時にいつも思うけど、この密封具合もすごい技術だ。

「こんなにカレー粉があっても、わたし一人じゃ使い切れないしね」

 今回使うのに開けた400g缶ひとつでも、多分一年ぐらい持つ。流石に最後の方は香りが飛んじゃいそうだ。

「領主様に売りつけなくても、リサがカレー屋をやればいいんじゃないか?」

 不思議そうな顔をされてしまった。

「香辛料って安くないじゃない。そんな高価なものが売るほどあると思われたら、悪い奴に目をつけられそう。仕入れルートがあるとか思われても面倒なことになりそうだし」

「あー」

「その点、領主様ならこれ以上仕入れようがないってわかってるだろうし、香辛料ぐらい持ってても不思議はないでしょ? コレを研究してこっちで手に入るもので似たようなものを作れるかもしれないし」

 プロの料理人が研究してこっち産のカレー粉が手軽に手に入るようになれば、もし向こうに帰れないなんて事態になっても、少し心強い。

 向こうに帰れるって信じてやっていくつもりではあるけど、それはそれとしてこっちになじみつつ、自分が過ごしやすいように周りを変えることも考えておかないとね。

「持っていく缶とぺっとぼとるはどうなってる?」

「一応こっちでまとめておいたけど……重さはともかくすごくかさばるけど大丈夫?」

 米やパスタを入れるのに流用してるから、今回2ℓと1ℓの空きボトルはない。

 持って行ってもらうのは、500mℓのペットボトルと空き缶だ。

 ゴミ袋に詰めたペットボトルは完全に資源ごみなんだよなぁ。ラベルを分別しておこうかと思ったけど、こっちの人が何に芸術性を感じるのはわからないからそのままにしている。

「おぉ、この水袋は大きいな」

「この小さいボトル40本分入るよ。水の出し入れはこの取っ手を捻るの」

「へ―便利だな」

「運ぶ時はこの箱に入れて、使う時は注ぎ口をこの穴から出すの」

「なるほど」

 ペットボトルもバックインボックスも向こうの世界ではワンウェイだけど、多分こっちの世界の革袋よりはずっと安全だと思う。少なくとも匂い移りはしないし。

「ビールの缶は潰さない方がいいっていうから入っていた段ボールに入れてある。かさばるけど大丈夫?」

 物置から持ってきたビールの空き缶は、24本ケースにして6箱。あと、ロング缶もあったおしゃれパッケージのクラフトビールは元入っていた箱に戻してある。

 いやあ、我ながら飲みすぎな気はする。

 多少はこっちに来る以前からの残りや、ブレッドと飲んだ分もあるけど、一日あたり350ml缶を約5本飲んでる。

 缶ビールでも、IPAとかクラフトビールは賞味期限が短めだから早めに飲まざるをえなかったっていうのはある。うっかりしていたけど、後から要冷蔵だったって気が付いたヤツとかもあるしね。いくら季節的に涼しいって言っても、気になるから焦って飲むことになったのはしょうがない、しょうがない。賞味期限が30日程度のものは飲み切ったから、今後はもっとゆっくりなペースに……なるかなぁ。

いつも読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや★★★★★、レビュー等で応援してもらえると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。