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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 体験ミニストーリー(星レベル10~

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【もう一度、すくうから】

※挿絵はAIイラストを使用しています

「いらっしゃいませー! 当店自慢のアイス、ひんやり冷たいですよー!」


 うだるような暑さの中、キララの声が元気に響いた。


 今日の体験は『アイスクリーム屋さんの店員』。

 朝から気温はぐんぐん上がって、お店の前には長い行列ができている。

 

 ショーケースには、色とりどりのアイスが並んでいた。

 ミント、いちご、チョコ、バニラ、レモン、ぶどう――数えきれないほどのフレーバー。


「わあ、どれもおいしそう……! あとで味見していいって、ほんとですか、店長さん!?」


「休憩のときね」


「やったー! がんばりますっ!」


 キララは張り切って、アイスをすくうディッシャーを握った。

 すくうのは、思ったより力がいる。

 固いアイスに、手首をくるんと使って、まあるく。

 最初はいびつだった玉が、だんだん、きれいな丸になっていく。


「はい、チョコのダブルです! 暑いので、溶ける前にどうぞ!」


「ありがとう、お姉ちゃん元気だね」


「元気だけが取り柄ですっ!」


 お客さんが笑ってくれるたび、暑さも少しだけ忘れられた。


_________________


 行列がひと段落したころだった。


 列のうしろのほうで、小さな女の子が、ぽとりとアイスを落とした。

 すくいたてのバニラが、地面にぽたっと崩れる。


「……あ」


 女の子の顔が、みるみるうちにくしゃっとゆがんだ。

 そして、わあっと泣き出した。

 キララは、カウンターから飛び出していた。

 女の子の前にしゃがんで、目線を合わせる。


「大丈夫、大丈夫。びっくりしたね」


「だって……アイス……」


「うん。落ちちゃったね。悲しいね」


 キララは、女の子の頭をそっと撫でた。

 それから、ぱっと立ち上がって、店長のほうを振り向いた。


「店長さん、あの……」


 言いかけたキララに、店長は、うなずいて笑った。


「いいのよ。こういう暑い日は、そういうこともあるから」


 キララは、ぱあっと顔を輝かせて、新しいバニラをすくった。

 さっきよりも、ちょっとだけ大きな玉を。


「はい、どうぞ! 今度は、しっかり持っててね」


挿絵(By みてみん)


 女の子は、涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、それでも、こくんとうなずいて受け取った。

 ひとくち舐めて――ふにゃっと、笑った。


「……おいしい」


「よかった!」


 その笑顔を見た瞬間、キララは、すくってあげてよかった、と心から思った。

 汗も、暑さも、腕の疲れも、どこかへ飛んでいってしまうくらいに。


_________________


 夕方、店じまいのころ。


 キララは、くたくたになってカウンターにもたれていた。

 腕はぱんぱん、髪は汗でぺったり。

 それでも、心はなんだか、ふわふわと軽かった。


「今日はよく頑張ったね」


 店長が、冷たいレモンアイスを差し出してくれた。


「わあ、いいんですか!? いただきますっ!」


 ひとくち食べると、酸っぱさと甘さが、じんわり体にしみた。

 一日中すくっていたアイスを、こうして自分で食べると、また格別だ。


「あの子ね、帰りにもう一回、お姉ちゃんにバイバイしてったのよ」


「ほんとですか!? うれしい……!」


 キララは、レモンアイスを見つめて、ふと思った。

 

 アイスって、不思議だ。

 冷たくて、すぐ溶けて、あっという間になくなってしまうのに。

 食べた人は、みんな、笑顔になる。


「アイスって、いいですね」


「あら、どうして?」


「食べると、みんな笑うから。……さっき泣いてた子も、笑ったから」


 店長は、少し驚いたように瞬きをして、それからやさしく笑った。


「あなた、向いてるわ。この仕事」


「えへへ、ありがとうございます!」


 夕暮れの空が、アイスみたいにいろんな色に溶けていた。

セルフリクエスト:キララでアイスクリーム屋さん


お読みくださりありがとうございます!

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