【花吹雪の中で】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「これが“桜”……。」
見上げた空に、淡い桃色が舞っていた。
枝いっぱいに咲く花は、風に揺れるたびに、星屑みたいな花びらを散らしていく。
「この時期しか見れない貴重な光景なんだな……。」
ピカルは小さく呟き、掌をそっと広げた。
そこに落ちた一枚の花びらは、まるで夜空の欠片を閉じ込めた宝石みたいで、彼は思わず息を呑んだ。
(ひとひらに、星空みたいな光が詰まっている……。アルフィオスにも、いつかこんな景色を、みんなに……)
胸の奥に、言葉にならない願いが生まれる。
花びらよ、淡い風に乗りて遥かな宙を渡り荒れた故郷の大地へ降りそそげ。
眠れる星に桃色の息吹を夜空の欠片を散らすように
希望の春を呼び戻して。
そっと目を閉じ、ピカルは風に揺れる音を聴いた。
やがて静かにメモ帳に言葉を落とす。
その時、端末が震える。
キララからの着信だ。
「お兄ちゃん、どう?桜って。沢山咲いているとこ見に行ったんでしょ?」
「あぁ。……風に舞う花びらが、星の光みたいだった。あんなに儚くて美しい景色を、この目で見る日が来るとは思わなかったよ。情報で見るより、実物が何倍も美しい。」
「へぇ、いいなぁ……わたしも見たかった。」
通信越しに、キララの声が弾む。
「ねぇお兄ちゃん。アルフィオスにも、いつか咲かせられるかな?きらきらした景色。みんなにも見せてあげたい。」
ピカルは一瞬、花びらを握りしめた。
そして、迷いのない声で答える。
「ああ。きっと咲かせられるよ。」
風が、彼の髪をそっと撫でた。
「今日見た、この桜を……ちゃんと覚えておく。いつか、故郷のみんなで見る未来のために。」
その言葉が、花吹雪の中に静かに溶けていった。
セルフリクエスト:ピカルでお花見
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