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第10話:幕間・藤と桜と騒がしい女。

こんにちは、今回過去の話です。今までのより少し長めです。

まだ桜の咲いている季節だった。

昼休み…屋上ではみんなが楽しく喋りながらお弁当を食べたり、バレーボールで遊んでいる連中もいる。そんな中で僕は一人で本を読んでいた。友達が居ないわけではない。

最近、なんとなく全てのことにつまらないと感じてしまっていた。自分の好きな勉強だけしてとりあえず大学へ行き、意味のない大学生活を送るのか、そう思うと今生きている意味はないのではないかと錯覚してしまう。

ただ何となく読んでいる本にも飽きてしまった。

そんな僕に春の日差しは優しく眠りに誘った。

「…すみ中です…か、…ませ〜ん」

「…ご〜い!」

…。

「…年振りだ〜!よく咲…だね!」

夢か…しかしうるさい。

「桜だよ〜!サクラ〜!綺麗〜!」

「…うるさいな。」

どうやら寝てしまっていたらしい…時計を見ると1時間半も寝ていたらしい。

展望台ではしゃぐ女生徒の動きが止まっていた。展望台とベンチはそれほど離れていないので聞こえてしまったらしい、彼女はこちらを見て申し訳なさそうに謝ってきた。

「ご、ごめんなさい。」

「あ、いや…お構いなく…」

面と向かって謝られても逆にこっちが困る。よく見るともう僕とこの人以外に誰もいなかった。たぶん授業中なのだろう。

「…そ、そう?なら…」

「…?」

「早くさくらんぼ出来ないかなぁ〜!?」

「出来ねぇし!」

しまった。ついツッコミを…。

またこちらを振り向く彼女。


「…さくらんぼ出来ないの?」

「…あの桜からは出来ない…ですよ、たぶん。」

「なんで?」

「なんでって、そりゃあれは桜の木であってさくらんぼの木ではないから…?」

自分でもそうなのかよくわからなくなってきた。

「なぁ〜んだ、残念。いっぱい食べれるかと思ったのにぃ〜」

本当に高校生か?

「君は…何年生?」

「…去年は全部先輩達が食べちゃったんだろうから今年こそはと思ったのに…。」

人の話聞いてないし!なんなんだコイツ?むしろ言ってることもおかしいぞ?コイツはどういう人生を送ってきたんだ?まさか毎回誰かが先に食べていて自分は食べれなかったと思い込んでいたのか?

「ちくしょ〜!ずっと楽しみにしてたのに〜!!」

また展望台から叫びだした。

「お、おい君…今授業中…」

「コラァ〜誰だぁ!屋上で叫んでる奴はぁ!」

生徒指導の先生が来てしまった、可哀想に。

「お前らかぁ〜!ちょっと生徒指導室まで来い!」

「……へ?」

2人ともガシッと襟首を掴まれ引っ張られていく。

「ちょっ…先生、僕何も…」

「お前はなぜここにいる?授業をサボってる奴も同罪だ!」

「そんなぁ…酷い…」

確かに授業はあるけどさ。1回くらい休んだって成績は変わらないはずだ。

隣りではそんな僕を見て爆笑していた…。


人生で初めて反省文を書かされ、1時間も説教を受けた。おかげで夕方になってしまった。

「「失礼します。」」

と2人同時に生徒指導室から出る。

「…ハァ」

とため息しかでない。つまらない授業を受け、変な奴にからまれて、おまけに生徒指導を受けるなんて散々な1日だ。

「ハハッ怒られちゃったね!」

コイツ人の気も知らないで…。

「君さぁ…」

「ねぇ屋上行かない?」

また人の話を…。しかし駆け足で行ってしまった。

「勝手に行けばいいんだ…」

「……」

「………」

「…ってしょうがねぇ」

そんなこと出来なかった。何故なら…

「オーッス!来てくれたんだ!来ないかと思ったのに。」

屋上に着いた、彼女はまた展望台にいた。昼間とはまた違い、夕暮れにより世界が紅く染まっていた。

「これが見たかったの」

紅い世界の光により桜が更に紅くなっている、そして風に乗った花びらが桜吹雪となって天に昇っていった…。

「…最初は帰ろうかと思ったさ」

歩きながら僕は言った。

「へ?」


「でもな、なんか面白かったんだよ、君と一緒に居るとな。」

思ったことをそのまま口にした。つまらない人生と思っていたのに…まだ会って数時間の彼女とのやりとりが楽しくて仕方がなかったのだ。そのままベンチに座った、なんとなく展望台には行けなかった。

「…」

一瞬、彼女も紅くなったように見えたが逆光でうまく見えなかった。

春の風に彼女の髪がなびいた。僕は名前も知らない彼女を見つめていた…。

「…」

「…」

「……」

「……」

「や…理…」

「……ない」

「……ゃん

「………ちゃん」

「……藤ちゃん!!」

「…む?」

どうやらまた寝てしまっていたらしい。

「おお、春、元気か?」

「元気か?じゃないわよ!こんなかわいい子ほったらかして寝るなんて…最低!」

春が頬を膨らめながら腕を振って怒っている。ずいぶんと寝ていたようだ、まだ授業中のようで人はいない。どうやら屋上のベンチには僕に睡眠効果があるらしい。

「かわいい子なんてどこに居るんだ?」

辺りをキョロキョロと見回してみる。

「…コノッ!藤ちゃんのバカァァァァァァァァァ!!!」

「わ〜馬鹿!春よせっ!」

アームロックが完璧に極まる。

「小春さん、ごめんなさい、ごめんなさい!ギャァァァァァァァァァ!!」


「コラァ!誰だぁ!屋上で騒いでる奴はぁ!!?」


この後また生徒指導室で反省文と説教を受けたのは言うまでもない。

楽しんでいただけましたか?

また更新遅れそうなのでまた気長に待ってください。一週間で1〜2話ペースなんで。では失礼します。

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