最終話
まさか・・・!
まさか!!
月から撃ったのか!!
38万キロ先から!?無茶だ!有り得ない!不可能だ!
怒りに支配されまともに考えることもなくなった脳裏にあの日の事が稲妻の様に浮かんだ。
向かい合ったのはヌシと呼ぶにふさわしい超大型の熊。
強大な体、殺気と怒気に満ちた瞳、命を奪おうとする突撃。
だが、何も怖くない。
アマテラスを少しだけ動かす。
射線を通す為に。
そしてヌシにこう告げた。
「俺の弟に」
木の幹が破裂した。
何があったのか、死ぬまで、いや、死んでも理解できないだろう。
着弾。
2000m先からのこの狙撃。宵一は天才だ。
「撃ち抜けないものはない」
恒星は我に返った。
月からの狙撃は恒星の心臓のど真ん中を撃ち抜いている。
笑うしかない。俺以上に無茶苦茶だ。余りの無茶さに、華がいなくなってから初めて笑った。
「ヨイチ。やっぱお前最高だぜ。流石、俺の自慢の弟だ・・・・」
左目に焼きついた映像が
鏡の様に亀裂をたてて割れた。
苦痛も苦悩もない。
解放され、安堵した笑み。
赤子が安心感に包まれ眠る様に。
恒星はその人生に幕を下ろした。
ー終末プログラムを起動しますー
そして。
世界が終わる。
エピローグ
「兄ちゃんー」
緑豊かな荒野の中、夜の天空を彩る
美しい輪のかかる月を見上げる兄弟。
「なんで月には輪がかかってるのー?」
「あれかー。」
兄ちゃん、と呼ばれた少年が月を見上げる。
「昔、怒った太陽の神様が隠れちゃって、世界が闇に閉ざされたんだって。
それでその弟の月の神様が、あそこから太陽の神様を助けたんだってさ。
あれはその時の証拠って母さんが言ってた。
天岩戸伝説って言ってたかなー?」
「兄ちゃーん」
「なんだよ」
「もし兄ちゃんがそうなったら、僕が助けるからね。」
「・・・お前に助けられるなんてヘマ、おれはしねぇよ」
空の月を見て、人々は神話を語る。
かつて我々人類がそうした様に。
月のhalo〜兄ちゃんが闇堕ちしたので月の輪から勢いつけてブッとばす〜 完




