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第44話 第5階層

いよいよ全員が冒険者ランクBに到達したパーティ名『魔撃』ことアマンたち一行。


これで、第5階層の探索も可能となった。


念のため、冒険者ギルドで現在のステータスを確認する。



アマン  冒険者ランクB  冒険者レベル66  属性:魔闘士


サロス  冒険者ランクB  冒険者レベル64  属性:聖騎士


エイミー 冒険者ランクB  冒険者レベル48  属性:重剣士


シトリー 冒険者ランクB  冒険者レベル52  属性:精霊使い


ムラマサ 冒険者ランクB  冒険者レベル51  属性:重戦士



特訓の成果と砦攻略による経験により、皆レベルが上がっていた。


アマンとサロスは4つもレベルが上がり、しかもアマンは属性も変化していた。


エイミーは、それに加え双剣にしたのが効をそうしたのか、なんとレベルが8も上がっていた。


レベル50以上の者たちと一緒に戦に参加し、生き残ったのだ。


それだけ濃密な経験を積んだと言うことであろう。


一方で、シトリーとムラマサはレベルが1つ上がっていた。


熟練ゆえ、中々レベルが上がりにくいのはサディアスの助言通りといえた。



ステータスを確認した一行は冒険者ギルドを離れ、迷宮へと向かった。


全体的にレベルも上がり、お互いの動きもより一層理解するようになった一行。


パーティとしての成熟度が増したことで、迷宮攻略も楽になっていた。



順調に攻略は進み、昼頃には第4階層の最深部へと到着していた。


「いよいよ、第5階層だな」


サロスが意気揚々と告げる。


「本当に第5階層の探索ができるようになったわね」


シトリーが少し呆れたように言う。


「そういう約束だっただろ?」


シトリーにサロスが笑いながら答える。


「第5階層を探索するのと、魔石の部屋を攻略するのでは全然難易度が違います。


今日は第5階層の探索にとどめるとしても、気を引き締めていきましょう」


アマンがパーディ全員に注意を喚起する。



アマンの言葉に一同が引き締まった顔つきになったところで、第5階層への階段を降りていく。


第5階層は、これまでの階層よりも魔力が濃く立ち込めており、光を灯しても薄暗かった。


慎重に索敵をしながら進むアマンを先頭に、サロスとムラマサが続く。


その後ろをシトリーとエイミーが続いた。



しばらくすると、アマンが立ち止まる。


「この先に魔物の気配がします。おそらく6体。向こうもこちらの接近に気づいている様子です」


アマンの警戒の声に、皆が戦闘態勢に入る。


アマンは、サロスとムラマサ、シトリーの後ろに回った。


後衛を勤めると同時に、後ろからの襲撃に対しエイミーと共に備える。



すると、薄暗い通路の先から、魔物の姿が現れた。


先頭にいるのは、魔人兵レッサーデーモン3体である。


その後ろから、ゆっくりと魔人兵レッサーデーモン2体を引き連れた魔人将アークデーモンが現れる。



アマンがサロスの剣とムラマサの戦斧に魔力を付与すると、2人は先頭の魔人兵レッサーデーモンに突っ込む。


シトリーは、その間に土の精霊を使役し、前列の魔人兵レッサーデーモンの足を土で絡め執った。


移動を封じられた魔人兵レッサーデーモンがまごついているところをサロスとムラマサが一撃で首を刎ね飛ばす。



前衛同士の攻防が始まると、魔人将アークデーモンが呪文を詠唱し始める。


その魔人将アークデーモンを守るように、後列の魔人兵レッサーデーモンが少し前に出る。


魔人将アークデーモンが詠唱を終える前に、アマンの土の槍が超高速で発射された。


小さな土の槍は、魔人将アークデーモンを守る魔人兵レッサーデーモンの間をすり抜ける。


音もなく額を貫かれた魔人将アークデーモンが仰向けに倒れていく。



急に倒れた魔人将アークデーモンに驚き、動きを止める後列の魔人兵レッサーデーモン


その間に、3体目の魔人兵レッサーデーモンの頭をムラマサが切り飛ばし、サロスは後列の魔人兵レッサーデーモンに迫る。


サロスは一瞬で、魔人兵レッサーデーモン2体の首を跳ね飛ばした。



背後からの襲撃がないことを確認すると一行は討伐部位を集め、一息ついた。


その瞬間、前方から赤色の何かが一行を通過した。


ムラマサが腹を切り裂かれ、シトリーも腕を切り裂かれた。


アマンが後ろを振り返り、旋回してくる魔物を確認した。


「ガルーダです。またこちらに向かってきます」



ガルーダは、人の体に鷲の頭と赤い翼を持つ魔物である。


その爪とくちばしによる攻撃が、ムラマサとシトリーを襲った。



サロスは、慌ててムラマサに治癒魔法をかけている。


最後尾にいたエイミーが双剣を構え、ガルーダに向かい合う。


シトリーが膝を地面につきながらも、風の精霊を使役する。


再び飛行を開始したガルーダの周りの風が乱れ、壁に激突する。


その隙にアマンは土の槍を数発、ガルーダに放った。


狙いすまされた土の槍は見事的中し、ガルーダの赤い翼をズタズタにした。



飛ぶことを諦めたガルーダは、地面を蹴ってエイミーに迫る。


爪を振るい、くちばしで突いてくるガルーダの攻撃を双剣を上手く操り踊るように受け流すエイミー。


そのエイミーの双剣にアマンが魔力を付与する。


すると、受け流しながらもガルーダの爪やくちばしに傷を負わせ始める。


サロスは、その間にシトリーにも治癒魔法をかける。


傷の癒えたムラマサは、ガルーダと反対方向からの襲撃を警戒する。



案の定、ムラマサの前方に単眼巨人サイクロプスが現れた。


「こっちからも敵がきよったぞ」


パーティが離れ離れにならぬように、敢えて単眼巨人サイクロプスを引き付けるムラマサ。


ムラマサが無闇に突っ込まなかったおかげで、サロスが治癒魔法をかけ終え前線に戻ることができた。



単眼巨人サイクロプスは攻撃の間合いに入ると、持っていた巨大な棍棒をムラマサに振り下ろした。


ムラマサは避けようとはせず、真正面から戦斧で打ち合う。


だが、身長差があるせいでムラマサが重力を味方にすることはできない。


棍棒を受け止めたものの、ムラマサの足元が衝撃でひび割れる。



その頃アマンは、エイミーとガルーダが接近戦をしているため、魔法を打ち込めない状況を変えようとしていた。


そこで、傷の癒えたシトリーと交代し、自分は単眼巨人サイクロプスへと向かうことにする。


シトリーはアマンと交代すると同時に、土の精霊を使役しガルーダの足を地面に縫い付ける。


すでに手数で押していたエイミーだったが、ガルーダが身動きをとれなくなったことで致命傷を与え始めた。


しばらくすると体中を切り刻まれ、ガルーダが事切れた。



一方、ムラマサと力比べをしている単眼巨人サイクロプスに、アマンの放った巨大な火の球が炸裂する。


数歩、後ろによろめいた単眼巨人サイクロプスの隙を逃さず、サロスが首を一撃で刎ねた。



静かになった通路であるが、アマンは前後ともに追撃がないか慎重に索敵した。


「しばらくは大丈夫そうです」


アマンの言葉に、エイミーとシトリーが地面に座り込む。


サロスは、両足にダメージを負ったうえ、少し火傷もしているムラマサを再び治療する。


ムラマサは、「熱かったぞい」と少しむくれている。



「第5階層は、気を抜くと一瞬で窮地に陥るわね」


シトリーが苦々しく言う。


「今日は初見ですし、このくらいにしておきましょう」


アマンの言葉に全員が頷いたのであった。

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