第31話 護衛依頼
あけましておめでとうございます。
本年もご愛顧いただきますよう
よろしくお願い申し上げます。
迷宮から冒険者ギルドに戻り、アーリンに討伐の確認を行ってもらう。
「相変わらず無茶苦茶な討伐数ですね…
パーティーを組んでから、余計酷くなりましたね…
まあ、パーティーが順調そうで何よりですが…」
いつも通り、うんざりした顔のアーリンが苦笑しながら手続きを進める。
「アマン様、サロス様、エイミー様は、これでランクBへの討伐課題も達成ですね」
「問題はギルドの依頼の方だよな」
サロスが困り顔でつぶやく。
「高ランクの依頼は少ないですからね…。
それに最近、高ランクの冒険者に召集がかかったみたいで、その人たちが依頼を受けてますから」
アーリンの言葉に納得するアマン。
そんな一同とは別に、最初から掲示板を見に行っていたシトリーが戻ってきた。
「ねえ、1件だけ課題に該当する依頼があったわよ」
「おお、でかしたシトリー」
サロスが破顔する。
しかし、依頼書の内容を見て困り顔に変わっていく。
その様子を見て、アマンも依頼書に目を通す。
「これは…どうします?」
アマンも困った顔をしてサロスを見やる。
そんな2人を不思議そうに見て、シトリーが言い放つ。
「あんたたちが躊躇するなんて珍しいわね。
「まあ、そうなんだけどな…」
歯切れの悪いサロス。
「大丈夫よ。あんたたち、冒険者の割りには品は良いんだし、貴族の護衛なんてピッタリじゃない。
まあ、私も好きな依頼内容ではないけど、やるしかないでしょ?」
シトリーがダメ押しするかのように言う。
「これしかないんですもんね…」
アマンは諦めたようだ。
サロスはまだ苦虫をつぶしたような顔をしていたが、シトリーがさっさと手続きしてしまう。
「アーリン、この依頼を受けるわ。手続きしてちょうだい」
「かしこまりました」
「ほらほら、あんたたちらしくないわね?
このサディアスっていう貴族の視察に護衛として付いていくだけでしょ?
危険も少ないし、ラッキーじゃない!」
「サディアスに護衛なんて必要あるのか?」
サロスが聞こえないように、つぶやいた。
「シトリーの言う通りじゃ。お前さんらにしては珍しいの?
悪い依頼ではないとワシも思うんだが?
もしかして、知り合いか?」
意外と鋭い指摘をするムラマサ。
「まあ、知り合いというか…」
口ごもるサロスの肩に手を置くアマン。
「諦めて、この依頼を受けましょう」
アマンを一瞬見たサロスであったが、決心したのか頷いた。
「よし!さっさと終わらせて、さっさと帰ってこよう」
そんな2人を不思議そうに見るシトリーとムラマサであった。
翌日、冒険者ギルドから有料で馬車を借りた一行は、イボスを出発した。
目的地はエンフィニア領の中心地トラネスという街である。
居住地であるトラネスと迷宮都市サイラスを往復する道中の護衛が今回の依頼である。
「で、このサディアスって貴族は何者なの?」
シトリーの問いにムラマサが突っ込む。
「依頼書を良く読んでから依頼を受けろ、うつけ。
大陸北東部を占める公爵領の領主様じゃぞ」
「うるさいわね。細かいところは馬車で読もうと思ったのよ。
要は、貴族が領地内にある迷宮都市を視察に行くから護衛を付けるってことでしょ?」
「いや、わかっとらん。この大陸は、6つの領地に分かれておるじゃろ?
その1つがサディアス公爵領じゃ。大陸統一前の時代であれば、国王に当たる大物じゃぞ」
「…もしかしてエルフの女王と同格ってこと?」
「正式にいえば、いまでは女王ではないがな。そういうことじゃ」
「なんで、そんな大物がイボスの冒険者なんかに依頼を出すのよ!?」
「知らんわい。それに依頼書を持ってきたのは、お主じゃろうが」
イボスからトラネスまで、かなりの長旅となった。
しかし、常にこのドワーフとエルフの口喧嘩が止むことはなかった。




