第24話 森の妖精
アマンたち3人は、イボスの冒険者ギルドにいた。
そして、パーティーメンバーの募集が張られている掲示板の前でため息をついていた。
「ソロからパーティーに入ろうという人はあまりいないのですね」
「むしろ、ソロで冒険者をするやつが少ないんじゃないか?」
なぜ、3人が募集の掲示板を見てため息をついているのかというと…
「サリードという人物の組織は、思っている以上に大きいようです。
しかも各拠点の戦力は山賊とは比べ物にならないものです。
軍隊が常駐している砦を攻めるつもりでかからないと」
小さな拠点を盗賊ギルドの精鋭と共に攻めて、大きな被害を出した。
アマンはサリードの組織を大きく警戒するようになっていた。
そのため、エイミーがいたという拠点に3人で向かうことを中止したのであった。
かといって、王都に応援を頼むには情報が不足している。
そこでメンバーを集め、自分たちのパーティーの戦力を上げようと考えたのであった。
しかし、想定している敵は軍隊レベルである。
中途半端なメンバーでは、足手まといになるのも分かっていた。
だからといって、そうそう都合よく即戦力の冒険者がメンバーを求めているわけでもなかった。
募集掲示板から離れると、サロスがアマンに言う。
「まずはエイミーのレベルを上げることから始めないか?
それだけでも大分違うと思うぞ」
「サロスの言うとおりですね。まずは現有戦力の底上げから行いましょう」
「とりあえず、いまのステータスを確認しよう」
サロスの言葉に従い、3人でアーリンの下へ向かう。
「すみません。いまのステータスを確認したいのですが、よろしいですか?」
「かしこまりました。ただいま準備いたしますので、少々お待ちください」
ほどなくして、判定の水晶球が用意される。
3人はギルドカードを渡し、それぞれ水晶に手をかざす。
「サロス様の判定が出ました。
属性に変化はないようですね。あ、でもレベルが上がってますよ」
アーリンの言葉を受けて、ギルドカードを確認するサロス。
「おお、レベルが2つも上がってる!山賊は相当強かったからな」
「サロス様はレベル57になってましたね。
また冒険者ランクとの隔たりが…
ああ…アマン様も同じですね…」
そういって渡されたギルドカードを確認するアマン。
「私も2つ上がってますね。レベル59ですか…
これでは、まだまだ力不足ですね…」
「アマン様たちは、何と戦おうとしてるんですか…
これで冒険者ランクDですからね…
しかもアマン様、属性に変化がありましたよ」
「魔術師と忍者ですね」
「…あっさりとした感想ですね…
忍者なんて大陸中を探してもそうそういないですよ!?」
「エイミーは、どうだった?」
アーリンのうんざり顔を他所に、サロスが尋ねる。
「エイミー様も…レベルが5つも上がってますね…
お2人に比べればましですが、レベル33ってCランクの冒険者の中堅どころですよ…
エイミー様まで規格外になっていく…」
窓口に突っ伏してしまったアーリンを置いて、3人は冒険者ギルドを後にする。
「やはりレベルが高くても冒険者ランクが低いと仲間も集めにくいのかもしれませんね」
「そうなのかもしれないな。エイミーのレベルを上げながら、ランクも上げていくか」
「それが1番の近道かもしれませんね」
「俺たちもようやく第三層に潜れるようになったんだ。
さっさとCランクの昇格課題をこなしちまおうぜ」
「エイミーもそれでいいですか?」
アマンが傍らのエイミーに声をかけると、笑顔で頷いた。
「じゃあ、決まりだな」
「エイミーの実力なら第3層で間違いは起こらないでしょう。
レベル上げのために、エイミー1人で討伐してもらいましょう。
念のため、私たちも備えていますので安心してください」
エイミーが大きく頷く。
上層では3人で魔物を討伐していったのもあり、昼前には第3層に到着した。
「いよいよ第3層です。エイミー、あまり無理をせずにお願いしますよ」
「はい、アマン様」
エイミーが笑顔で答える。
予想通り、第3層の魔物はエイミー1人で軽々と討伐していった。
最初に遭遇したリザードマンの群れをなんなく全滅させるエイミー。
その後に遭遇したコカトリスやサラマンダーも、少し時間はかかったが余力をもって倒す。
キラービーの群れだけは1人で戦うのは難しいので、アマンの火球で一気に燃やした。
ランク昇格用となる3人分の討伐部位も集まり、そろそろ戻ろうという話をしていた3人。
たまたま、第4層への階段に突き当たった。
「ここから先は、明日だな」
笑いながらサロスがそう言う。
しかし、なにかを感じたアマンが2人を止める。
アマンの様子に、黙って戦闘態勢を取る2人。
「負傷者?」
アマンの言葉通り、しばらくすると階段から血まみれの女性が出てきた。
「サロス。冒険者のようです。回復魔法をお願いします」
「わかった。任せろ」
サロスの回復魔法を受け怪我は治癒したようだが、魔力を使い果たしたのか動けない様子である。
このまま放っておくわけにもいかないので、3人は冒険者ギルドへ一緒につれて帰ることにした。
サロスが女性の華奢な身体を抱えると長い金色の髪が垂れ下がり、特徴的な長く尖った耳が現れる。
「迷宮でエルフに会うとは珍しいな」
「とにかく安全な場所へ早く連れて行ってあげましょう」
3人は珍しい冒険者を回収しながら、迷宮を後にするのであった。




