表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/74

第21話 盗賊ギルド

ここから先は、口外できない話である。


そう言うアマンの確認に、笑顔で応じるジェイド。


「構わないよ。情報を口外しないのはギルドの掟だ」


「現在、イボスの迷宮では、ある異変が起きています。


結界を越えて、下層の魔物が第1層に現れているのです」


「なんだって?」


「その原因をたまたま突き止めたのですが…


どうやらサリードという方の組織が人為的に行っているようなのです。


おそらく、最終的には大陸中に魔物を放つための実験だと思います」


アマンの言葉に、少し考え込むジェイド。



「なるほど。確かに、それは国家の基盤を揺るがす事件だな。


しかし、まだ危険が顕在化していない。


下手に王都が動くと、国民の不安をあおるだけ…


それも計算に入っているかもしれないな。


かと言って情報の機密性の高さから、冒険者に依頼をすることもできない…


しかし、君たちは王都が動くわけでもなく、機密情報に対しても漏洩の心配がない。


うってつけの仕事というわけか」



アマンは、すぐさまそこまで分析するジェイドに驚いた。


しかし、情報とその分析にかけては、盗賊ギルドが最も得意とするものだ。


長年そのギルドの長をしてきたジェイドにとって、この程度の分析は簡単なものである。



「話はわかった。サリードという人物とその組織について調べることにしよう」


「ありがとうございます」


「調査には、しばらく時間がかかる。これからアマンくんたちは、どうするんだい?」


「イボスで実験を行っている魔道師の居場所はわかっています。


討伐を前提に可能なら捕縛し、情報を得られればと考えております」


「わかった。何か分かったら、こちらにも知らせてくれ。


その後はイボスにいるのかな?」


「ええ。情報がそこまでしかないので、新たな情報がなければイボスに一旦戻ります」


「では、何か分かればイボスへ使いを向かわせる。


イボスから移動するなら移動先を連絡してくれ」


「わかりました。よろしくお願いします」



「今夜は、ここでゆっくりと休んでいくといい。


ついでに君たち自身の話も聞いてみたいしな」


ジェイドは、そう言って麗しい笑顔を見せるのであった。



一旦、ジェイドの部屋を退出すると、メイドが今夜の部屋へと3人を案内する。


ジェイドは、1人に1部屋を用意してくれていた。



夕食は、食堂とは別の広間でジェイドとともに取ることとなった。


「実は、アマンくんたちがエインの町で盗賊団…


我々は山賊と呼んでいるだが、エインの山賊を討伐をした話は聞いているんだ」


「そんな小さな案件まで!さすが盗賊ギルドだな」


サロスが素直に感心する。



「王国がこの大陸を統一して平和が訪れた。


皮肉なもので、平和になったら我々の仕事は激減してね。


それなりの需要はあるものの、国同士の争いがなくなり諜報活動の価値が落ちたんだ。


王国の経済政策も上手くいっていて貧困も少なくなり、ギルド員は減る一方で増えない。


これまで盗賊ギルドが抑えていた山賊や山賊もどきが増えた。


なるべく我々の縄張りを荒らさぬよう目を光らせているんだが…


だから、君たちの活躍も情報として入ってきていたんだよ」



「そうだったんですか…」


「私は、まだこの大陸に盗賊ギルドの存在価値はあると信じている。


だから新人の育成にも力を入れているんだが…


なかなか時間がかかる問題でね」



サロスがジェイドの言葉に同調する。


「騎士団も同じような悩みを抱えていると聞いている。


志願者は減り、戦闘経験のない者が増えているそうだ」



「騎士たちもそうだろうな。


しかし、平和であることは私も望んでいる。


だから、我々も諜報活動に絞って収益を上げようとしているんだ。


ただその反面、山賊たちを抑える抑止力になりえなくなっていてね」



「そこは騎士団の仕事だと思うがな」


サロスの言葉に、微笑で返すジェイド。



「分かってはいるが、かつての姿を知っているだけに情けなくてね。


恥のついでに、君たちにお願いしたいことがあるんだが、良いかな?」


「なんでしょうか?」


「サイオンの辺りでも山賊が拠点を作ったようで、被害が続いていると聞く。


君たちの情報収集の依頼の代わりに、その山賊を討伐してくれないだろうか」


「そんなことか。お安い御用だ。


かなり大掛かりな情報収集を頼んだのに、無償では居心地が悪かったんだ。


それが対価となるなら、喜んで引き受ける」



サロスの言葉にアマンも頷く。


「そうか。それは助かる。


拠点の場所は特定してあるから、後で配下の者に説明させよう」



アマンたちは説明を受けるため、ジェイドの部屋を出る。


すると、受付係りの男が笑顔で待っていた。



「先ほどは、大変失礼致しました」


「いいえ、突然尋ねたのです。警戒されて当然です」


「そう言っていただけると、助かります。


私の名は、ヨハンといいます。山賊討伐を長から仰せつかっております。


さっそくですが、別室でお話をさせてください」


「そうでしたか。よろしくお願いします」



ヨハンを加えた4人は盗賊ギルドの別室へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ