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第17話 再会

シズン村に到着すると、何日か逗留すると宿屋に伝え部屋を抑えて貰った。


エイミーを部屋に運び、もう一方の部屋に戻るとアマンはさっそく解読作業にとりかかる。


サロスは邪魔をしないように、庭で身体を動かしに向かう。



父と同様、解読作業を始めたアマンの集中は途切れない。


3日3晩にわたる不眠の解読作業を行い、解読し切るとそのまま1日死んだように眠るのであった。



アマンは深い眠りから目覚めると、早速エイミーとの隷属契約の儀式の準備にとりかかった。


手際よくエイミーの部屋に魔法陣を描いていく。



アマンは魔力を極限まで高め、集中する。


部屋に凛とした空気が張り詰める。


サロスは邪魔にならぬよう自分の部屋で待機している。



静寂を破るように、アマンが長い詠唱に入る。


魔法陣が淡く光だし、だんたんとエイミーの身体も光に包まれていく。


やがて光が収まっていき、魔法陣からも光が消えるとアマンは緊張の面持ちでエイミーに近づく。



「エイミー?」


アマンの問いかけに、エイミーがゆっくりと目を開く。


「アマン様…」


「エイミー…私が分かるですね?良かった!」



安堵のあまり、ベッドの傍の床に座り込むアマン。


「ご心配をおかけして申し訳ありません。アマン様」


「エイミー?言葉が…」


「はい。普通に会話を行うことができます。


前の主人からは、『しゃべるな』という命令を受けておりましたので」


「そうだったんですか」


アマンは、そう言って微笑む。



「アマン様。サロス様は、どうされたんですか?」


「ああ。サロスなら隣の部屋で待っていますよ。一緒に会いに行きましょう」



アマンは床から立ち上がると、エイミーの手をとってベッドから起こす。


2人は、そのままサロスの待つ隣の部屋へ向かった。



「サロス様。この度はご心配をおかけしました」


部屋に入ると、エイミーがサロスに声をかける。


「おお!無事、動けるようになったんだな。良かった!


…エイミー、お前しゃべれたのか!?」


「はい。以前は『しゃべるな』という命令を受けておりましたが、今はその制約がありませんので」


「そうか。やっぱりしゃべれる方がいいな!」


そう言って、サロスは精悍に笑う。


エイミーもアマンのほうに顔を向けて微笑んだ。


アマンは、顔を真っ赤にしてしまう。



「なんだ、笑うこともできるじゃないか!それも制約だったのか?」


「はい。『人形らしく感情を出すな』と言われていたものですから」


「なんて、ひどい…」


アマンの顔に怒りの表情が浮かぶ。


「私が命令に従ったまでです。アマン様、そんなお顔はなさらないでください」


エイミーに微笑まれ、アマンはばつが悪そうに微笑んだ。



「もともと人間だと思っていたせいもあるが…


こうして表情を見てしゃべっていると、とても魔力人形マジックドールとは思えないな」


「はい。私を造って下さった魔道師は、私に自我と感情を与えてくれました。


彼は、失ってしまった娘の代わりとして私を造ったからです。


ですから、魔力人形マジックドールとして、私は特異な存在だといえます」



「本来の魔力人形マジックドールは、自我を与えられないということですか?」


「ええ。古代魔法王国ではメイドとして魔力人形マジックドールが使用されていました。


そのため、自我や感情というものをわざわざ与えることはありません」



「そうなのですか…」


「私を造った方は独自で研究と開発をされ、相当苦労なされたようです」


「確かに神の領域に近づくような研究だな」


「ですが、そのおかげでエイミーがいるわけですから、今はその方に感謝したい気持ちでいっぱいです」


「ありがとうございます。アマン様」


そう言ってエイミーが微笑みかけると、またアマンは顔を真っ赤にしてしまう。



照れてしまったアマンを笑いながら、サロスは質問する。


「前の主人とやらの制約は、もうないのか?」


「はい。隷属契約を解除されましたので、その時点ですべての制約も解除されております」


「アマンが新しい主人ってことだよな?


じゃあ、アマンが嫁になれと命令すれば、嫁になるのか?」


「はい。もちろんです」



アマンは慌ててサロスに抗議する。


「私は、そんな命令はしません!」


「…してくださらないのですか?」


エイミーの思わぬ返しに、アマンは再び顔を真っ赤にする。



「…命令としては、絶対にしません…」


そんなアマンの言葉に満足したのか、満開の笑顔を作るエイミー。



そんなやりとりをニヤニヤしながら見ていたサロスが声をかける。


「まあ、まだ聞きたいこともあるが、まずは食堂で乾杯だな!」


「それには賛成です」



まだ昼過ぎの早い時間であることもあり、食堂は空いていた。


しかし、中には昼から酒を飲んでいる者もいた。



サロスは頼んだエールが3つ配られると、声をあげた。


「おかえり、エイミー!」


アマンもそれに続く。


「おかえりなさい、エイミー」



2人の言葉に、エイミーが嬉しそうに微笑んだ。

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