↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛の欠片は星空に舞う ~妊娠中に裏切られた私、義弟の甘い罠に落ちてしまいました~  作者: G3M


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/20

第19話 謝罪

「沙紀、今回のことはすまなかった。心から謝罪する」


 拓也は深々と頭を下げた。その動作は丁寧だった。だが芝居のようにも見えた。


「だが、少し俺の言い分も聞いて欲しい」


 真剣な目を、沙紀に向けた。


「はじめに言っておくが、俺はお前のことを妻として愛している。そして三年間、尽くしてくれたことにも感謝している。だが、麗奈のことは別だ」


 麗奈は拓也に体を寄せて抱きついた。


「お前も知っている通り、麗奈とはお前と結婚する前から付き合っていた。もちろん将来の約束もしていた。だが、小泉商事との提携に伴ってお前との縁談が持ち上がった。今思えば、断るべきだった。ビジネスと結婚は別だと」


 拓也は一呼吸置き、続けた。


「沙紀、このまま結婚を続けてくれないか?」


 沙紀は耳を疑った。


「俺がお前を愛しているのは本当だ。信じてくれ。結婚を続けてくれれば、言い分はすべて聞く。財産はお前のものでもある。不都合はないはずだ。それでいいだろう?」


 沙紀の心が、わずかに揺らいだ。心の底から拓也が嫌いだったわけではない。むしろ、好きだったからこそ三年間、結婚生活を続けられた。


 一方で、昨夜の母・久美子の言葉が頭をよぎった。あの計画通りに進めることが、自分と腹の子にとって最善なのではないか。


「そんなの嫌よ。それに、麗奈はどうするの?」


「麗奈は、愛人のままだ。それは認めてほしい」


「自分勝手すぎるわ」


 沈黙が落ちた。


「あなたは、拓也のことが何もわかってないわ」


 麗奈が鋭く言った。


「西宮グループを率いる拓也がどれだけのプレッシャーを背負っているのか、気がついてないの? 父親が早く亡くなって、拓也は御曹司として経営者の座に就いた。若造とかボンボンとか言われながら、一人で耐えてきたのよ」


 麗奈は沙紀を睨みつけながら続けた。


「そしてあなたは、何も知らないくせにご婦人気取りで取り澄ましていた。拓也がかわいそうよ!」


 彼女は拓也の腕を優しく握りしめた。


「私はただ、彼の傍にいてあげたかっただけ……」


「私たちが離婚してから、あなたが拓也と結婚すればいいでしょ?」


 沙紀が、つぶやいた。


「俺はこの会社を守らなければならない。だから財産を失うわけにはいかない」


「そんなこと知らないわ」


 沙紀が冷たく言った。


「兄貴、どうするつもりなんだ?」


 悠真が、口を挟んだ。


「もう覚悟は決まっている」


 麗奈が、強く拓也に抱きついた。


「俺は麗奈と、生死を共にすると誓っている」


「どういう意味?」


 沙紀が驚いた顔をした。


「俺は麗奈と死ぬ。今すぐにでも構わない。それで離婚はちゃらだ」


 沙紀は茫然とした。


 拓也と麗奈は抱き合ったまま、キスをした。


 本気にも見えた。芝居にも見えた。


「すでに遺言は書いてある。あとは悠真に頼む」


 社長室に、冷たい静けさが広がった。


 沙紀はただ、呆然とその光景を見つめていた。


 愛なのか、打算なのか、脅しなのか。何が本当で何が虚飾なのか、沙紀にはもう分らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。