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愛の欠片は星空に舞う ~妊娠中に裏切られた私、義弟の甘い罠に落ちてしまいました~  作者: G3M


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第18話 録音

 いつのまにか、義弟の悠真が社長室にいた。いつ入ってきたのか、誰も気づいていなかった。


「話を聞いていたのか? いつからいた?」


 拓也が鋭く問う。


「『子供ができたわ』のあたりからだね」


「はじめから聞いていたのか」


「今日の会議の打ち合わせに来たんだよ。約束してただろ」


「お前は口を挟むな」


 拓也の声は、苛立っていた。


「そうはいかないよ。兄さんの負けだよ。嵌めるつもりが、完全に嵌められてるじゃないか」


「何だって?」


 拓也の顔が強張った。


「気がついてないのかい? 沙紀義姉(ねえ)さんはこうなるのを予想して準備していたんだよ」


 悠真の視線が、沙紀に向けられた。


「そうなのか?」


 拓也は沙紀の顔をまっすぐに見た。しかし沙紀は無言だった。


「どうするの?」


 沙紀が静かに切り出した。


「条件を言え」


「財産をすべていただくわ。株式も、債券も、不動産も」


「無茶苦茶だ」


 拓也の声が震えた。怒りというより、呆然としていた。


「嫌ならいいわ」


 沙紀の返事は冷ややかだった。


「山田、こんなこと、法律上許されないだろ!」


 拓也が、弁護士に食ってかかった。


「交渉次第でございます」


 山田は、事務的に答えた。


「まずは謝罪をなされてはいかがでしょうか」


「なんだと……」


 拓也の顔が怒りで赤くなった。


 雅紀がため息をついた。


「兄さん、おそらくこの会話は録音されてるよ。ひょっとすると、無線機を使って外で聞いている人がいるかもしれない」


「うそだろ?」


「うかつだよ。機密保持の基本中の基本だよ」


 悠真の口調は軽い。だが目は笑っていなかった。


「だが、沙紀がこんなことをするなんて……」


「追い詰めたのは兄さんだろう? もう、謝りなよ」


 山田も目で伝えていた。勝ち目はない。


 社長室に、重い沈黙が落ちた。


 沙紀は、かつて自分が愛した夫の顔を見た。遠い他人を見る目だった。


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