↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛の欠片は星空に舞う ~妊娠中に裏切られた私、義弟の甘い罠に落ちてしまいました~  作者: G3M


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/20

第12話 入れ知恵

 敏明が、少しくだけた口調になって話をつづけた。


「ぼくだって驚いたよ。だけど仕方がない。ぼくか弟の勝也が相続すれば、必ず揉める」


「敏明と勝也は仲が悪いのよ」


 久美子が補足した。


「会社は、私が社長として、今までの路線を引き継ぐ予定だ」


 敏明は声を潜め、沙紀の顔を見た。


「沙紀ちゃんも知っているとは思うが、小泉商事の経営は芳しくない、と言われている」


 沙紀は力なく頷いた。


「実はうちの経営は健全なんだ。ただ、一時的に資金繰りが詰っているだけだ」


 敏明は沙紀をまっすぐに見つめた。


「それで、お願いがある。拓也君から受け取る慰謝料を、うちの会社に投資してくれないか?」


 沙紀は呆然とした。


「もちろん、君にはうちの役員になって、経営に参加してもらう」


「いいでしょ? どうせ使い道のないお金なのよ」


 母親の久美子が、当然のように言い添えた。


「私が経営に?」


 沙紀の声は虚ろだった。祖父はまだ息をしている。それなのに慰謝料と遺産と会社の将来が、淡々と計算されている。


 敏明は、声を落として続けた。


「うちは商社だが、現在の収益の柱は貿易ではない。海外でのインフラ投資だ。グローバリゼーションのおかげで、産業構造が大きく変わっている。それは、麗奈ちゃんの家の斎藤不動産も同じだ。今は海外の不動産投資で儲けている。だが、最近、競合する大きな案件が出てきた」


 敏明は沙紀の顔を見つめながら言葉を継いだ。


「旧財閥の西宮グループが入札している東南アジアの案件で、駆け引きが続いている。西宮グループの判断次第で、わが社の方針も決まる」


 久美子が口を挟んだ。


「それで、斎藤不動産の経営陣は、帰国させた麗奈をたきつけて、拓也を取り返そうとしているのよ」


「うそ……!」


 沙紀の声が、かすかに震えた。


「もう一度、拓也と麗奈に会いたいわ」


 久美子はすぐに答えた。


「明日、西宮の本社に行って慰謝料の交渉をしてきなさい。子供ができたこともちゃんと使って、できるだけ多くふんだくるのよ」


「だけど、私、もう離婚届にサインしたわ」


「役所に届けを出していないわ。それに拓也が自分で役所に行くわけないでしょ。弁護士が明日の朝、書類を預かるはずよ。そこで差し止められるわ」


 久美子は力強く沙紀の顔を見た。


「離婚調停に持ち込むのよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。