第33話 毒耐性の検証
昨日、ポイズンフロッグの肉を食べた結果【毒耐性】という新しい特性を手に入れた。
これまで〖検索〗で植物を調べるたびに、何度かこんな表示を見たことを思い出す。
――《食用不可》
――《毒性あり》
――《摂取すると中毒症状を引き起こす》
「……植物にも毒があるんだよね」
今までは、毒があると分かった時点で全部避けていたが、【毒耐性】がある今なら食べられるかもしれない。
もちろん、いきなり大量に食べるつもりはない。
「試してみよう」
葵は森へ向かった。
⸻
しばらく歩くと、見覚えのあるキノコを見つけた。
赤い傘に白い斑点。
以前〖検索〗したことがある。
――《レッドポイズンマッシュ》
強い毒性を持つキノコ。
食用不可。
葵はキノコを少しだけ採取した。
〖検索〗
――毒性:有
――少量摂取時:吐き気、軽度のめまい。
火を通してから、ほんの少しだけ口に入れる。
「……」
味は苦い。
「うっ……苦っ」
でも。
しばらく待っても――
「……何ともない?」
吐き気もない。
めまいもない。
「食べられる……!」
思わず目を輝かせる。
今まで毒のせいで食べられなかったものが、食べられる。
これは大きい。
食料の選択肢が一気に増える。
「他にも探してみよう」
⸻
少し歩くと、今度は木に紫色の実がなっていた。
〖検索〗。
――《ヴェノムベリー》
毒性を持つ木の実。
食用不可。
大量に摂取すると神経系に異常を起こす。
「これも毒……」
一粒だけ採取し、口に入れる。
「……甘い」
意外だった。
ほんのり甘く、後味に少し苦みがある。
「これも大丈夫」
毒による症状は出ない。
さらに探してみる。
今度は地面に生えている草。
「これは……薬草?」
〖検索〗。
――《ナイトリーフ》
毒性を持つ薬草。
食用不可。
ただし、微量の毒成分には鎮痛作用がある。
「毒があるけど薬にもなるんだ」
葵は少量を採取する。
「これも食べられるかな?」
ほんの少しだけ口に入れる。
「……うん」
やっぱり大丈夫。
「【毒耐性】、便利すぎる……」
今までなら捨てていたものまで、食料や素材として利用できる。
「これはかなり大きいな」
葵は次々と採取していく。
ふと、どこまでなら耐えられるのか気になった葵は、周囲を探す。
すると。
黒い斑点の入った赤いキノコを見つけた。
〖検索〗。
――《デッドリーマッシュ》
極めて強い毒性を持つ。
少量でも強い中毒症状を引き起こす。
葵は思わずキノコから距離を取る。
ここまで書かれていたら、さすがに怖い。
でも。
「……どれくらい違うんだろう」
〖検索〗
――現在の毒耐性では、対象の毒性を無効化できません。
「……やっぱり」
「今のレベルの【毒耐性】では、強い毒には効果が無いんだ」
葵はデッドリーマッシュを〖保存〗する。
食べるためじゃない。
毒そのものも、素材として何かに利用できるかもしれない。
葵は立ち上がる。
もっと強い毒耐性が欲しいなら、もっと強い毒を持つ魔物を食べる必要がある。
そう考えたところで、私は首を横に振った。
「……いや、今はいいや」
自分から猛毒を探しに行くなんて、さすがに危険すぎる。
まずは今の力を活かすこと。
それが一番だ。
葵は毒キノコや毒草、木の実を〖保存〗しながら家へ戻った。
「……食べられるもの、増えたなぁ」
そう呟きながら、葵は家へ戻る。




