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夏澄と楪の帰路は、それはそれは静かなものだった。
夏澄が「もともといた学校では、購買のチョコチップメロンパンが人気でたまに暴動がおきた」「モデルの仕事をしているときに、キリッとした表情がどうしてもできなくて怒られた」と延々と喋って、それにたいして楪が「うん」「へえ」と返すだけ……といった流れの繰り返し。
それでも夏澄はすごく楽しく感じて、この時間が永遠に続けばいいのにと思ったくらいだ。
駅につくと、ガクッと気持ちが落ち込んだ。楪ともっと話していたかったから。
楪はそんな夏澄の気持ちもわからないのか、あえて知らんぷりしているのか、表情ひとつ変えずに改札に向かっていく。
たまらず、夏澄は「待って!」と声をあげてしまった。
「あのっ……楪の家、行ってみたいな……」
初対面にしてはぐいぐいといきすぎだろうか。
夏澄は言ったあとで後悔したが、楪はこれまでの調子となんら変わりなく。
「いいよ。ついてくれば」
と淡々と返事をしたのだった。
夏澄は天にも昇る心地で、飛び上がる。
「ほ、ほんと!? いいの? 楪の家にいっていいの!?」
わあい! わあい! と子どものように夏澄ははしゃぐ。
そのとき、楪は初めて笑った。
「なんかおまえ、犬みたい」と。




