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放課後がやってくる。
帰りのホームルームが終わると、教室には帰宅部の生徒が残ってわいわいと話を始めた。またもや夏澄は囲まれて、その包囲網を抜け出せなくなってしまう。
「部活は入るの?」
「前の学校では何部だった?」
「帰るなら、一緒にマックいこうよ」
わーっと話しかけられて、夏澄は苦笑い。囲う生徒たちの隙間から、ちらりと楪の姿が見える。夏澄はビッと勢いよく手をあげて「楪!」と叫んだ。
楪は気付いたようで、ちらっと夏澄のほうを見る。しかし、立ち止まってはくれない。すたすたとまっすぐに教室の出口に向かっていった。
夏澄は今度こそ女子たちの壁を突破して、あわてて楪に駆け寄る。女子たちは「あ~、いっちゃった」と残念そう。夏澄は心の中で「ごめんね」と女子たちに謝って、なんとか楪のもとへたどり着いた。
「楪っ……! 一緒に帰ろう」
「……俺、駅にいくけど」
「じゃあ、僕も駅までいく!」
「おまえも駅に行くんだ?」
「いや、駅に用事はないんだけど! 楪と一緒にいたいから!」
「はあ……」
楪は怪訝な顔をして夏澄を見つめる。
当然だ。帰る方向が一緒でないのに、ただ「楪と一緒にいたいから」という理由で駅までついてくる、特に仲良くもない転校生。楪からすれば、意味の分からないやつだろう。
「勝手にすれば」
「じゃあ、勝手にする!」
けれども、楪は夏澄を突き放しはしなかった。
それだけでも嬉しくて、夏澄は楪についていく。
取り残された女子生徒たちは、ただただ意味がわからず首をかしげるのだった。




