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夕食を食べて、自分の部屋に戻って。
まだ、楪は夏澄のキスを引きずっていた。
夕食を食べている最中も「なにぼさっとしとるんだ」と祖父に言われたくらいだ。ぼーっとしては夏澄のことを思いだして、よりぼーっとする。また夏澄を思いだして、ぼーっと。
……ほっぺにキスって男同士でやるものなのだろうか。
楪は友達付き合いを避けてきたので、最近の高校生の「普通」がよくわかっていない。なんとなくスマートフォンで「男 友達 キス」と検索してしまったが、「男友達とキスをしてしまいました」だの「男友達とキスをしても友情は成り立つの?」など、男友達にキスをされた女性視点の記事しかでてこない。
――いや、普通はしないだろ!
――じゃあ、どうして?
考えても考えてもわからない。
いや、考えないほうがいいのかもしれない。
なにせ、転校してくるやいなや「ご主人さま!」と言い放ったやつだ。考えたところで埒が明かない。
――犬ってさー……結構嫉妬深いんだよ。知ってた?
……あいつ、自分のこと犬だと思っているのかな。
はは、と自然と笑えてきてしまう。
夏澄のことは考えても考えてもわからない。
……こんなに彼のことばかり考えるようになって、彼との別れがやってきたときに耐えられるだろうか。どうしても、こんなことを考えてしまう。
それでも。
どこか、浮かれている自分がいた。




