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犬が転生したら飼い主と同級生になった件  作者: さく
第四章

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4

 楪の部屋に行っても二人がやることは変わらない。夏澄が一方的に喋って、楪が相づちをうって。楪が「何でわざわざうちにくるの」と尋ねてみれば、「楪と一緒にいたいから!」とカラッと笑って返してきた。いつもいつも、意味がわからない。


 ふと、夏澄が部屋に飾ってある写真をのぞき込む。


 楪、父、母。三人が映った写真だ。



「この楪、今より幼い感じで可愛いね。いつの写真?」


「中学」


「中学生の楪か~! えっと、一緒に映っているのはお母さんとお父さん?」


「……うん」



 あれ、と夏澄も思っただろう。


 夏澄は何度かこの家に来ているが、一度たりとも楪の親に会っていない。が、夏澄も踏み込まないほうがいいと感じたのか、それ以上言及してこなかった。


 楪はその配慮に居心地悪く感じてしまう。



「中学生のとき、父さんと母さんが死んだんだ」



 だから、自分から切り出した。



「交通事故で……俺だけ生き残った」


「――……、ごめん、辛い話をさせて」


「いや、べつにいいんだけど。もう大丈夫だから」



 変わらず、夏澄は気を遣った様子で、あれだけマシンガントークをしていたのに黙り込んでしまった。おまえ配慮できたんだな、と思ってしまったのは場にそぐわないだろうか。



「……楪」



 ふ、と夏澄が楪の手を握る。



「――……きみは、また」


「え、なに?」



 夏澄が楪の手に、自らの額を押しつけるようにして。まるで祈っているかのような彼の仕草に、楪は困惑する。


 「また」ってなんだよ。


 楪が言葉を失っていると、ぱ、と夏澄が手を解放する。



「ううん! なんでもない! 僕、きみのこと大事にするからね」


「は? 何脈絡のないこと言ってんの?」



 相変わらず意味の分からないやつ。


 夏澄はカラッ笑って、またどうでもいいことをペラペラと話し始めた。変に気を遣われるよりも気が楽だったので、さらっと流してくれて助かる。


 けれども、夏澄の様子がおかしかったことだけが、どうしてもひっかかってしまった。



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