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夏祭りは恐ろしいほどに込んでいた。まっすぐに歩くのも難しいくらい。どの屋台も行列ができている。
「やっば! 混みすぎでしょ」
「混むのは想像していたけれど、ここまでなんて……」
気を抜けば離ればなれになってしまうくらいの人の波。
花火が上がるまではまだ時間があったので、各々食べ物を買って、あとで合流することになった。
「夏澄、ほら!」
「え、え~……」
女子がぐいっと夏澄の背を押し出す。「深見くんと一緒に!」と耳打ちをしながら。
楪は男子と行動を共にするつもりなのか、夏澄には視線も向けない。しかし、ここまでお膳立てされておいて何もできないのでは、彼女たちに報いることもできない。なにより、ちゃんと楪と話がしたい。
夏澄は意を決して「楪!」と彼の名前を呼ぶ。
「……!」
ぴく、と楪の肩が震える。楪は男子たちに「ほら、行ってきなって」と軽く背中を押されていた。
楪は男子にぐいぐいと押されるようにして、気まずそうに楪のもとにやってきた。ここでへこたれている場合ではない。夏澄は「一緒にいこ!」と楪に声をかける。
「……うん」
楪も「断るのは空気が読めていない」と思っているのかいないのか、視線をゆらゆらと泳がせながらも夏澄の誘いにのってくれた。
夏澄はホッと安堵する。仲直りの第一歩だ。
ほかのメンバーたちと「またあとで」と言って別れる。そして、夏澄と楪は行動を共にすることになったのだった。




