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犬が転生したら飼い主と同級生になった件  作者: さく
第四章

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29/43

3

 待ち合わせは、色鮮やか。浴衣を着た女子達が、にこにこと夏澄を迎え入れてくれた。男子たちは浴衣姿の女子たちにテンションが上がったのか、いつも以上に騒がしい。


 まだ、楪は来ていないみたい。


 ホッとする気持ちと、待ち遠しい気持ちが絡まりあう。



「あ、深見くーん!」



 一人の女子が声をあげた。


 夏澄はギクリとしながら視線を遣る。


 そこには、じとっした様子の楪。夏祭りだというのにローテンションなのは、いつもどおり。夏澄を見た瞬間に「う」と気まずそうに顔を逸らしたので、夏澄はグサッと胸をフォークで抉られたようにショックを受ける。


 夏澄と楪、二人で目を逸らし合っていると、見かねた女子がドンッと夏澄の背中を押す。「いけ!夏澄!」と小声の声援つきで。



「うわっ」



 ふらりと夏澄が倒れかかり、楪が慌てて夏澄を受け止める。


 バチ、と目が合って、流石に無言でいるわけにもいかない。



「ゆ、楪! えーと、今日は最後までいるの?」


「……まあ」


「じゃあ、花火見るよね! 楽しみだね!」


「……そう」



 いや~~~~~~~!


 楪の塩対応は元からだが、今日のはさらに塩。塩辛い。


 楪の態度に夏澄が心が折れそうになっていると、あわあわと女子が間に入ってくる。



「じゃーさっそく行こうー! ねっ! 夏澄! 深見くん!」


 

 が、と男子が楪の肩を抱き寄せる。


 もういっそそのまま楪のことを捕まえていてほしい。あまりの塩対応に心が痛い。


 夏澄がしゅんとしていると、女子が両脇について「さあさあ」と気まずそうに声をかけてくれる。気を遣ってくれた彼女たちにも悪いので夏澄が「いこっか!」と元気に返事をすれば、彼女たちは嬉しそうに笑った。


 その様子を、ちら、と楪が横目で見る。


 どこか、その表情はムッとしていた。

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