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犬が転生したら飼い主と同級生になった件  作者: さく
第四章

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2

 夏祭りは夏課外のない休日だった。部活動をしている子もいるからということで、集合は夕方から。日中は特に用事がないため、夏澄は自宅で準備をしていた。しかし、夏澄は朝から落ち着かない様子だ。



「はあ……僕、楪と仲直りできるかなあ……」


「シャキッとしろよ。バカみたいに明るいことだけがおまえの取り柄だろ」


「僕だって落ち込むときくらいあるよ……」



 シンクがはあ~っとこれ見よがしにため息をつく。


 夏澄はぐでっとベッドの上で寝転がって動かない。


 夏祭りのことを考えると憂鬱だ。楪は話してくれるだろうか。こっちを見てくれるだろうか。楪のことを考えるだけで、胸が痛くなる。



「花火大会のときに手を繋ぐくらいの男気見せろよ、だはは!」


「なんで手を繋ぐ必要があるのさ……」


「いいじゃん。犬と飼い主なんだから繋いどこうぜ」


「今は人間と人間ですぅ!」



 ――手を繋ぐ、か。


 人間として生まれた今世では、ろくに楪に触れることはできていない。気まぐれに楪が頭をポンポンとしてきたときくらい。それ以外は、彼に触れる機会などなかった。


 犬だったころは、よく触れあったものだ。手をぎゅっと握られたこともあったし、顔をぺろぺろ舐めてあげたりもした。……どちらも、人間になってからではできないようなことではあるが、それでも、楪ともっと触れあいたい。ごくたまにあるポンポンだけでは物足りない。


 手を繋いでみたいな。


 そんなことを思って、夏澄は天井に向かって手を伸ばす。



「シンク……手を繋ぐって、どんな感じ?」


「お? そりゃあ……」



 シンクがどすどすとベッドに近づいてきて、夏澄の手をぎゅっと掴む。指を絡め合わせるようにして。


 夏澄が思い切り顔をしかめれば、シンクが「こんな感じ」とにたっと笑った。



「ああ……僕のファースト手つなぎが……イジワル天使に奪われた……」


「だはは! おまえがちんたらしてるからだろ! 楪と繋いで確かめてこいよ!」


「ううー……シンクのイジワル……」



 夏澄はぺいっとシンクの手を払って、ごろんと彼に背を向ける。


 手をぐーぱーぐーぱーと開いて閉じてを繰り返し、夜の花火大会を想った。


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