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夏も本格的になってくるころ、とうとう夏休みが始まった。夏休みといっても夏課外があるため、学校に行かなければいけないのだが。もはや夏休みなんて名前だけだろうと、生徒たちはぼやいている。
夏休み初日、夏澄も渋々ながら登校した。前に行っていた学校では夏課外なんてなかったのに……と納得いかない面持ちである。
夏澄はぼーっとしながら授業が始まるのを待っていた。ちらりと横目に楪を見つめながら。
結局、楪とは上手く話せていない。話しかけようと思っても猫のように逃げてしまうし、強引に一緒に行動してみてもろくに会話できない。嫌われてしまったのかな……と気分は曇り空だ。
がっくりとしていると、ふわ、と甘い匂いがした。女子がつけているコロンの匂いだ。夏澄がパッと顔をあげれば、男女のグループが夏澄を取り囲むように立っている。
「夏澄! 夏祭りいかない? みんなで!」
「夏祭り……?」
女子の一人がスマートフォンで夏祭りの画像を見せてくれた。もうひとりの女子が、「いこーよいこーよ」とぐずるように夏澄に言ってくる。
……夏祭りか。
楽しそうだとは思うが、どうにも気分が乗らない。楪のことで頭がいっぱいな今、夏祭りを本気で楽しめる気がしなかったのだ。
うーん、と夏澄が悩んでいると、こそっと女子が夏澄に耳打ちしてくる。
「私たちで深見くんを誘うからさ」
「えっ!?」
思わず、夏澄が大声をあげてしまう。
「喧嘩しているんでしょ? 仲直りしようよ」
「えっ、えっ?」
「仲直り大作戦!」といいながら、彼らは笑う。
喧嘩をしているわけではないが、明らかに仲違いをしている夏澄と楪。ほかの生徒も気になっていたようだ。夏澄があまりにも気落ちしているため、気を利かせてくれたようである。
「行く……夏祭り行く。がんばって仲直りするよ、ありがとう」
ぎゅ、と女子の手を握れば、彼女がかあっと顔を赤らめた。
「決まりだね!」と笑う彼らに、夏澄が笑いかける。




