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帰路に就き、楪はふうと息をつく。
所詮、彼も離れてゆく。俺なんかと一緒にいるよりも、かわいい女子と一緒にいたほうが楽しいに決まっている。
そんなことはわかっていたけれど、やっぱりモヤモヤとする。
早足で歩いて、駅までたどり着く。
最近は、ずっと夏澄と一緒に駅まで歩いていた。彼と一緒の帰り道は、あっという間に時間が過ぎてゆく。けれども、こうして一人の帰り道は、長く感じた。不思議なものだ。
駅について、改札をくぐって。ちょっと前のように、一人で電車に乗る。珍しく車内は混んでいて、椅子には座れなかった。
「……あ」
ぴんぽーん。
音がなって、電車のドアが閉まる。
そのとき、見慣れた人影が。
電車に向かって走ってくる夏澄が見えた。
「夏澄……」
――なぜ?
女子と一緒に帰ったんじゃなかったのか。
問うことはできない。
電車のドアが閉まると同時に、夏澄が「楪っ……!」と声をあげたのが聞こえた。
なぜ、彼はここにいるのだろう。
それはわからないまま、電車は走り出してしまった。




