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帰りのホームルーム。
教師が、暑いので水分補給を忘れずに。遊んでばかりいないで勉強もちゃんとするように。などいろいろと話していたが、生徒たちの意識はそこにない。放課後に何をするのかで頭がいっぱいだ。
ホームルームが終わった瞬間に、ガタガタッと生徒たちが立ち上がる音がする。教師は慣れているのか、何食わぬ顔で書類をまとめていた。
放課後を楽しみにしていたのは、夏澄も同じだ。夏澄はホームルームが終わった瞬間に楪のもとへ飛んでくる。
「ゆっずりはー! いこ! いこ! 一緒に帰ろー!」
ばっ、と机に手をついて、体ごと楪に顔を近づけてくる。楪は馬を鎮めるようにどうどうと夏澄をなだめたが、彼のハイテンションは収まらない。
早いところ、彼を教室から連れ出したほうがよいだろうと楪も急いで帰り支度を始めた。そのとき、ぽん、と夏澄の肩を叩く者が。
「夏澄! 深見くん! これから帰るの?」
クラスの女子だ。三人組の仲良しの女子たち。
彼女たちに声をかけられて、夏澄は笑顔をそのままに振り返る。
「うん。これから一緒にスタバいくよ」
「えっ、スタバ~? いいなあ。一緒に行こうよ」
「……えっと、楪。どうしよ?」
どうしよ、って俺にふるな。
楪はイラッとしてしまう。
「いいんじゃない? 俺は先に行くから、夏澄、一緒にいったら?」
「えっ。楪も一緒に行こうよ」
「俺はいいよ。どっちにしても、今日は用事があったんだ」
「……、そ、か」
用事がないなんてことは、夏澄もよくわかっていることだ。
夏澄は釈然としない様子。楪は彼女たちの空気を崩さないように、作り笑いをしながら「ばいばい」とした。
楪が立ち上がって教室から出て行く。女子たちは「深見くんも一緒がよかったなー」と言っていた。夏澄はむすっとしながら、楪が出て行った扉を見つめるのだった。




