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【第二十三話『女子キャンプ』】③ ※微エロ注意

お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。

    主人公のライバルチームのリーダー。

戦闘スタイルは①鞭②雷結界③詠唱魔法

    基本的に動かない中距離サポーター。

    長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。

    相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ

    精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。

幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。

    主人公のライバルチームのメンバー。

    戦闘スタイルは①大弓②卵の殻シェルター③位置置換分身

    アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的な遠距離型。

    高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。

    陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。

    口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。

破天荒:名前はシェラ。太陽牡羊座月双子座。

    戦闘スタイルは①爆発ハチェット②爆発ハンマー③リボルバーハルバード

    火薬魔法を手と足の噴射口から出してでたらめな動きで戦う近接型。

    主人公のライバルチームの3人目のメンバー。

    ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。

    性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。

    すさまじい運動神経を持っている。

    精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。


◆第七節:語られなかったこと(土曜18:00〜)


 炭の香りがほのかに残る空気の中、焼きそばの皿を片付けた三人は、それぞれのペースで小休止を取っていた。 太陽は林の向こうにゆっくりと傾き、地面の木陰が少しずつ長くなっていく。 まだ食後の余韻が残る時間帯。


◆アレッタ離脱後:ライサとシェラ 最初に立ち上がったのはアレッタだった。「ちょっと、トイレ行ってくる〜。てか、さっき焼きそば食べすぎた気がする」 軽やかな声とともに、水場の裏手にぴょんと跳ねるように姿を消す。


 キャンプ地の奥、木々の間を縫うように踏み分けられた細道の先に、簡易トイレが設けられている。 まだ陽は残り、木漏れ日が静かに揺れていた。鳥のさえずりが、空間の静けさを縫うように漂っている。


 火のはぜる音だけが、再び残された二人のそばで穏やかに続いていた。 シェラは、細く吐いた息とともに手元の枝を火にくべ、灰の混じる橙を見つめていた。


「……アレッタって、ほんと強運よね」 ライサがふと漏らした声は、焚き火の音とともにかき消えそうなほど静かだった。


「うん。でも、それだけじゃないと思う」 シェラは枝を火にくべたまま、焚き火を見つめて答える。「失敗しても笑えるし、無理やりでも空気を明るくできる。巻き込まれるこっちは大変だけど……ちょっと羨ましくもある」


「……私は、昔、魔力制御を間違えて、友達を傷つけたことがあるの」 ライサの声は、思い出の奥底から拾い上げるような硬さと柔らかさを併せ持っていた。


「それ以来、雷の制御に自信が持てなくなって……いつかまた、大事な人に当ててしまうかもって思うと、全力を出せなくなるの。自分で自分を信じきれなくて」 焚き火の光が、彼女の瞳の奥に影をつくっていた。


 シェラは隣に座るライサの横顔を見つめる。言葉にはせずとも、その瞳には理解の色が宿っていた。


 ライサは微笑みの気配を唇の端に浮かべ、少しだけ肩をすくめる。「でもね、アレッタは絶対に私の雷に当たらないの。あの子はいつも、なんとなく間一髪で避ける。何度も何度も試してるのに、ほんとに一度も……」


 ライサはふっと笑った。「ただの偶然かもしれない。でも、その偶然にすがりたくなるくらい、彼女といると安心できるのよ。不思議なことに」


 シェラは小さく頷いた。「偶然でも、信じられるって、大事だよね」


「……うん。そうだね」


 しばし沈黙が落ちたあと、シェラがぽつりと呟いた。「……アレッタって、ほんと、すごいよ」


「え?」とライサが目を向けると、シェラは焚き火の揺らめく火を見つめたまま、言葉を継いだ。


「自分が目立っても、恥かいても、ぜんぶ気にしないで前に進むでしょ? あたしなら、あんなふうに全部さらけ出すなんて、無理」「でも、あの子って、ただ明るいだけじゃないんだよね。場の空気を変える力があるっていうか、こっちの気分まで引っ張ってくれる」


 焚き火がぱちりと音を立てた。


「……それに、たぶん私、性格的にきつい方だからさ。気が強くて、すぐ言い返すし。 だからアレッタみたいな子がそばにいると、ちょうどいいバランスになる気がするんだよね。あの陽気さに、なんか守られてるみたいな」


 少し照れたように笑ってから、シェラは言った。「ほんとは、私のほうが助けられてるのかもしれないな。……あいつ、マジで底なしにポジティブだからさ」


 ライサはその言葉にゆっくりと頷いた。「……うん。そうかも」


 焚き火の橙が、ふたりの横顔を淡く照らしていた。


 そこへ、後ろから枯れ葉を踏む音が戻ってきた。ぱたぱたと小走りの足音。


「――いや〜、めっちゃ出た! てか、ちょっと感動したかも」 アレッタだった。満面の笑みで両手を広げながら、堂々とした足取りで焚き火の輪に戻ってくる。


顔はつやつや、髪の毛の先にほのかに湿り気が残っている。火に照らされた頬がほんのりと赤く、体全体がどこかほかほかと熱を帯びているようだった。


「すごくない? なんかもう、すっごい色してて、あたし水分摂りすぎだったかも〜」 悪びれる様子もなく、全力の開放感で語るその調子に、ライサは思わず噴き出す。


「報告、そこまで詳しくなくていいのに……」「でもスッキリしたから良し! 今なら空も飛べそう」 と、アレッタは地面にぺたりと座り、にんまりと笑った。


 その姿を見て、シェラもまた肩の力を抜いたように微笑む。「うん、アレッタって、やっぱり自由だね」


 言葉が消え、風がそっと枝を揺らした。 焚き火の橙が、三人の間にやわらかく揺れていた。


 ◆ライサ離脱後:アレッタとシェラ


 次に立ち上がったのはライサだった。「ごめん、私も少し……。たぶん水分取りすぎちゃったみたい。」 林の奥へと向かうその背中に、アレッタが「がんばって〜」と軽口を投げた。


 その頃、アレッタとシェラは木陰で腰を下ろしていた。 焚き火の炎が小さく揺れ、二人の影を静かに伸ばしていた。


「ねえ、シェラってさ、前の学校ではどうだったの?」


「……うーん、あんまり馴染めなかった」 シェラの声は、普段よりわずかに低かった。「正しいことを言ってるはずなのに、空気壊すって言われてさ。最初は“でも正しいでしょ”って思ってたけど……そのうち、“言い方が悪かったのか?”とか、“私がおかしいのかな?”って。わかんなくなってきて……」


「……そっか」 アレッタは少し真面目な表情で頷いた。「でもさ、こっち来て、あたしとライサと組んで、少しは楽になった?」


「うん。ほんとに。……ありがとう」


 しばし沈黙が落ちる。


「前の学校だとさ、思ったことをそのまま言うのって、すっごく勇気いったんだよ。どこまでなら怒られないかとか、いつも気にしてて……」 シェラは小石を指先でつまみながら、ぽつりぽつりと語る。「でもここじゃ、アレッタはちゃんと聞いてくれるし、ライサは黙って見てくれてる。言葉にしなくても、何となく安心できる」


「うん。それ、あたしも思ってた」 アレッタは柔らかく頷いた。「ライサってさ、見た目とか喋り方とか、めっちゃ“気が強そう”に見えるじゃん? でも本当は、すっごい繊細だし、たぶん、周りの人が最初から怖がっちゃうせいで、気づかれないまま無理してること多いと思う」


「そうそう。……それなのに、いざってときには一番安心できるっていうか。かっこよくて堂々としてるから、こっちが焦ってても落ち着くっていうか」


「うちのチームってさ、何だかんだでバランス取れてるよね。あたしはのーてんきで楽しいのが一番だし、シェラはストレートで正義感あるし、ライサは静かに見守ってくれるお姉さんって感じ」


 シェラは少しだけ照れくさそうに笑った。「……あたしさ、普段けっこう攻撃的だって言われるんだけど、ライサと一緒にいると、ちょっと守られてる感じするんだよね。あの人の“外側”が強いから、安心してぶつかっていける」


「あとさ、あたしがにわとりのこと語り出すと、みんなちょっと引くのに……ライサは一回も馬鹿にしないの。ぬいぐるみの話しても、エサの話しても、ちゃんと聞いてくれるし。あたしの“大事”を笑わずに受け止めてくれるんだよね」


「うん。なんか、あたしたちの一番変な部分とか、見過ごさないで受け止めてくれるんだよね」


「そう。だから……好きなんだと思う」


「わかるよ、それ」


 ふたりは焚き火の残り火を見つめたまま、静かに頷き合った。


 その時、風が少し強くなり、アレッタの髪がさらりとほどけて肩に流れた。「わ、やだ……ちょっと、ほどけちゃった」 彼女が笑いながら指で髪を整えると、シェラは何気なくその横顔を見て、すぐに視線をそらした。 焚き火の橙が頬に映り、二人の間に柔らかな気配が漂った。


 アレッタが仰向けになって星空を仰ぐ。「……やっぱ、こういうのっていいよね」 毛布がわずかに滑って、お腹がちらりと覗いたが、本人はまったく気づいていない。「こら、ベタベタ汗で汚れるってば」 シェラが笑ってアレッタの額を軽く突いた。「えへへ、ありがと」


 ふと、林の奥から足音が聞こえてきた。 ライサが戻ってきた。 顔にはすっきりした気配と、ほんのりとした熱が残っている。額の髪が一筋、頬に貼りついていた。


 手には小さなポーチが握られていた。「……終わった後紙なかったことに気付いて、一旦荷物のとこまで戻っちゃった」 そう言って、ポーチをひらりと掲げる。「準備、大事よ。ほんとに」


 アレッタとシェラは顔を見合わせて、くすっと笑い合った。


「え、なに? なになに? やっぱ、ライサもすごかった? ライサ、めっちゃすっきりした顔してるよ? もしかして、ていうか、あたしより上だったりする?」 アレッタがいたずらっぽく無邪気に笑いながら目を細めて首をかしげると、ライサはわずかに眉を上げた。


「当然よ。色も匂いも、貴方よりすごいに決まってるわ!」 ライサは冗談めかしつつも、赤面しながらも、さらりと、どこか子供っぽくムキになったような声音で返した。アレッタは「ふへえ〜、負けたかも〜」と笑い、地面にぺたりと座り込む。 シェラが思わず吹き出しそうになるのをこらえながら、「何の勝負……」と小声で呟いた。 空の上では、夜の帳がゆっくりと降りてきていた。


◆シェラ離脱後:ライサとアレッタ


 焚き火の前で三人がゆったりと座っていると、シェラがどこかそわそわと身をよじらせ始めた。 足を組み替えたり、無意味に枝を火にくべたりと、落ち着かない様子が明らかに表れていた。


 ライサがすぐに気づいて、やさしく微笑む。「遠慮せずに行ってきたら? あっち、まだ明るいし」


 アレッタもくすくす笑いながら、片目をつぶって言った。「やっぱり行きたかったんじゃん、素直じゃないな〜」


 シェラはむっとしながらも、頬を少し赤くして反論する。「……べ、別にそんなに我慢してたわけじゃないし。ただ、タイミング見てただけ」


 そう言いながら立ち上がると、少し顔をそらして早足に林の奥へと歩き出した。「ちょっとだけ、行ってくるから」


 木漏れ日が揺れる小道の先に、彼女の背中が吸い込まれていく。


 数分後、焚き火の前には、再びアレッタとライサの二人だけが残されていた。


「……ふふ、シェラって可愛いよね」 アレッタが火を見つめながらつぶやいた。


「うん。あの子って、強気なふりして、意外と気を遣うところあるものね」 ライサも頷く。


「しかも、すごい気合入ってるし。なんでも全力でぶつかるタイプ。自分にウソつかないとこ、ホントに尊敬する」


「たしかに。ちょっと怖いときもあるけど……ああいうストレートさって、なかなか真似できないよね」


「それに、めっちゃ面倒見いいよ? いつも誰かのこと見てるし。いざってとき、絶対に逃げない」


「うん。あと、なんだかんだで責任感すごいよね。前に私が失敗しかけたときも、めっちゃ叱ってくれてさ」


「そうそう! 私が熱出して寝込んだときも、ずーっと世話してくれた。果物とかむいてくれたのに、口では『バッッッカじゃないの!? 戦闘中だったら一発退場よ!?』って怒っててさ」


 二人で顔を見合わせ、同時に笑いがこぼれた。


「でも、そういうとこがシェラだよね。怖がらせてるようで、実はちゃんと見てくれてる」


「ほんとそれ。なんかこう、背中を預けられるっていうか……そばにいてくれると、安心する」


「うん。強いし、優しいし、真っ直ぐだし……シェラのこと、すっごく頼りにしてる」


 焚き火の橙が、ふたりの輪郭を優しくなぞっていた。


 しばらくして、落ち葉を踏む音が小さく戻ってきた。 ややぶっきらぼうな足音。シェラが、わずかに顔を赤らめながら戻ってくる。


「……ちょっと、いろいろ想定外だったわ」


 アレッタがすかさず首を傾げる。「ん? なんかあった?」


「最初ちょっと出が悪くて……腹筋に力入れたら、勢いつきすぎてさ。変な方向に飛んで……、ちょっとはみ出した」


 ライサが口元を抑えて吹き出す。「もう、それって報告じゃないから!」


「だって! 一応、言っとかないと納得いかないし!」


 アレッタも笑いながら頷いた。「うん、うん。でも、ちゃんと戻ってこれてよかったじゃん」


 シェラは火の前に腰を下ろし、照れ隠しのように枝を火にくべる。「……ほんと、あんたたちといると調子狂うわ。そこもいいんだけどね。」


 風がそっと木の葉を揺らす。 焚き火の橙が、三人の間にやわらかく灯っていた。


 そこで、アレッタが急に手を叩いて宣言するように言った。「はいっ! 今日のコンテスト、決まりました!」


 ライサが首を傾げる。「コンテスト……?」


「濃さ部門はライサ! 勢い部門はシェラ! 量部門は、堂々アレッタの優勝〜!」


「はっ!?」「ちょっと!」


 二人が同時に素っ頓狂な声を上げ、真っ赤になって顔を見合わせた。


 ライサは慌てて焚き火に向き直り、「……もう、男の子がいる前じゃ絶対に言えないからね、そういうの……!」


 シェラも口元を押さえて俯きながら、「ちょっと……アンタ、それ思いついてたの!? どんだけ腹黒いのよ……!」


 アレッタはけろっとした顔で笑う。「えへへ〜、たまには、こういう女子トークもいいでしょ?」


 三人の笑い声が、風に揺れて夜空へと溶けていった。

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