表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/60

【第二十一話『甘いお菓子とミステリー』】④


主人公:名前はリゲル。太陽双子座、月魚座。孔雀のような雰囲気を持つ少年。

    戦闘スタイルは、①しなる剣、②複数の種類の孔雀目ビット、③鋭利な大量の羽根

    戦術家だが感情に流されやすい。

    この世界の外側の異形と関わり合う職業のアバター使いを進路に志望している。

    今は、自分の目指すべき「誠」という人格態度を磨いている。

    3人目の仲間に天才サポーターのサダルが見つかった!現在チームは連勝中

 親友:現在スランプ中

    名前はハクラビ愛称はハク。太陽天秤座、月蠍座。すごく顔がいい。

    戦闘スタイルは、①軽弓、②双剣、③分身

    知らない物の値段を当てる特技がある。

    裏表のない性格、深刻な場面でも軽口を叩く。育ちが良くて挫折知らず。

 仲間:名前はサダル。太陽水瓶座、月蟹座。早生まれで少し体が小さい同じ学校同級生。

    戦闘スタイルは、①氷の双銃②魔方陣型迫撃砲③自律型bot④ガジェットの作成

    リゲルとハクのアバター戦の3人目ののチームメイト。

    万能支援をやってくれる。現在はやや二人より実力は上。 

    最低限の単位だけ取ってゲームセンターに入り浸っている。

    あまり仲のいい人がいないが、すごい才能をもっている。

    一度リゲルの誘いを拒絶した。

お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。

    主人公のライバルチームのリーダー。

    防御手段は、雷幕結界。近接すれば近接するほど相手は大ダメージ。

    長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。

    相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ

    精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。

幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。

    主人公のライバルチームのメンバー。

    アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的。

    武器は大弓、防御手段は高硬度の卵型のシェルターを使う。

    高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。

    陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。

    口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。

破天荒:ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。

    名前は、シェラ。太陽牡羊座月双子座。

    主人公のライバルチームの3人目のメンバー。

    性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。

    すさまじい運動神経を持っている。

    精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。

    通常時は、爆発ハンマーと爆発ハチェットで戦う。

    本気になると、両手持ちのリボルバーハルバードになる。

◆ 解決


 そこから先は、言ってしまえば――作業だった。

 けれど、それは決して単調でも、退屈でもなかった。


 夕方の光はさらに傾き、校舎の輪郭が細く長く地面に伸びていた。

 訓練棟のまわりには、陽が落ちる直前の、ひりつくような静けさが漂っている。

 風は止み、すべての音がいったん吸い込まれ、微かに反響してから消えた。

 遠くで誰かが窓を閉める音、草を踏む足音――どれもやけに鮮明だった。

 空気は昼間より冷えていて、肌にまとわりつく湿気がある。

 草の根のにおい、濡れたコンクリート、制服の繊維が擦れる音――

 すべてが、どこか「外」と「内」のあわいに触れていた。


「“占いは信じすぎるな、でも忘れすぎるな”……なんか、ちょっと皮肉だね」


 ライサの呟きが、案内板をなぞるように耳に残った。


 六人は星図を囲んだまま校舎の配置と照らし合わせるが、図面にはラベルがなかった。

 そこでライサが言う。


「ねえ、一度、建物の外を見てみよう? サダルが言ってた、壁の記号……惑星のマークかも」


「うん、それって、もしかして……」

「手分けして確認しよう。対応が分かれば、月の位置も――」


 サダルの声にうなずき、六人は各方向へと散っていった。


 やがて、色あせた木製のプレートに、風化した記号が見つかっていく。

 太陽、火星、水星、金星、土星、海王星……

 占星術の古いマークが、確かに残されていた。


「こっちは金星、職員棟の裏!」

「火星は図書棟の横!」

「土星は購買の隣にあったよ!」


 声が交差し、六人は再び星図のもとに集まった。


「……ここが太陽なら、月はその対角線上」

 サダルが指を滑らせ、リゲルが指さす。


「あの掲示板……」


 訓練棟の外れに立つ、古びた木の案内板。

 近づいてみると、確かに――

 消えかけた月のマークが、そこに残されていた。


 丸の下に、かすかな弧。

 風雨で剥げたペンキが、沈黙の中に意味を宿していた。


「……見て、ここ」


 ライサが指をなぞる。微かに震えたその指先に、

 六人の視線が自然と集まった。


 木板の手触り。

 ざらついた木目、指先に残る古い時間の感触。

 リゲルの指の腹に、ぬるりとした木の記憶がまとわりつく。


 その左下。

 確かに、月の記号があった。沈んだような、やさしい弧。


 短い沈黙。だが、それは空白ではなかった。

 空気の密度が変わり、背中や喉にまで、期待の温度が届いてくる。

 誰かが動くたび、空気がさざめく。


 その看板を留めていたのは、錆びたプラスネジだった。


「これ……外せば、何か出てくるかも」


 だが、誰もすぐには手を出さなかった。

 その沈黙には、神聖な“間”があった。


「でも、勝手に外すわけにはいかないよね……」


 アレッタの不安そうな声に、ライサが小さく頷き、小走りで訓練棟を離れた。

 数分後、戻ってきた彼女の手には工具箱と申請書。

 胸ポケットには、教員のサイン。


「交渉成立。調査目的なら、って」


 リゲルが工具箱を受け取った。


 湿ったコンクリートに膝をつき、ドライバーを構える。

 だが、最初のネジは空回りした。


「……あれ?」

「緊張してる?」

「……少しだけ」


 角度を変えて――ウィーン。

 ねじが、音を立てて回る。


 その音は、不思議なほど耳に残った。

 二つ目。三つ目。

 そのたびに、誰もが呼吸を忘れる。


 四つ目のネジが抜けた。


 ――カクン。


 看板の右下が、わずかに浮いた。

 誰かの心臓が、跳ねた気がした。


 リゲルがそっと板を持ち上げる。


 軋む音はなかった。ただ、静かに――開いた。


 その内側には、銀色の鍵があった。

 くぼみにぴたりと嵌まり、まるで眠っているように。

 磨かれた金属は、光を反射せず、沈んだ月のように、静かにそこにあった。


「……やっぱり、本物だ」

 アレッタが呟いた。


 リゲルが、それをそっと摘みあげた。

 冷たい金属の感触が、掌を緊張で包む。


「鍵は見つけた。でも……」

「……鍵穴は、どこだ?」


 全員の視線が、再び星図に集まる。

 月は保管場所だった。

 ならば、開くのは――


「天王星……」


 ライサの指が止まり、視線が吸い寄せられる。

 六人の誰もが知る建物の名だった。


「訓練棟……」

 サダルが言う。


 誰かが息を吸ったが、言葉にはならなかった。


「……結局、またあそこに戻るんだね」


 ライサが言い、微かに笑った。

 その笑みに、諦めと敬意が、かすかに滲んでいた。


「外に出たと思ってたのに、ずっと内側を回ってただけだったなんて……」

 アレッタが、ぽそっとこぼす。


「でも、それが“軌道”ってやつかもな」


 サダルのひと言に、なぜか六人全員の顔に、同時に笑みが浮かんだ。


◆開錠


 訓練棟の廊下を曲がり、さらにその奥――使われていないエリアの突き当たりまで来ると、空気の色がわずかに変わった。


 照明はまだ生きていたが、明るさは弱く、壁際には古い掲示物の剥がれた跡が残っていた。


「……こっちって、普段ぜんぜん使ってないよね」


 アレッタが声を落として言う。


「うん。このあたり、誰も掃除当番とか回ってこないんだよな」


 ハクが言いながら、立ち止まる。


「……あれだ。あの倉庫。前に一回だけ入ったことある」


 指差されたのは、鉄製の重たい扉。かつて物資を保管していた名残か、横には擦れかけたプレートで「予備備品室」とだけ書かれていた。


「でもな……確かにこの外見のわりに、中が妙に狭かったんだよ。広そうに見えるのに、棚がすぐ目の前にあってさ。

 その時は気にしなかったけど、今考えたら……何か隠されてる感じがする」


「……じゃあ、あの扉の向こうか」


 リゲルが静かに銀色の鍵を取り出す。


 倉庫の隣の壁には、目立たないドアがあった。


 一見すると非常口のようにも見えるが、ノブはなく、鍵穴だけがぽつんと中央に開いている。


 まるで「ここを見つけた人だけが、先へ行け」とでも言わんばかりの佇まいだった。


 リゲルが鍵を差し込む。


 ぴたり、と吸い込まれるように鍵がはまり、カチリと軽やかな音が鳴る。


 ――扉が、開いた。


 ぎい、と静かに軋む音のあと、現れたのは、予想以上に整った空間だった。


「……これって……部屋?」


 アレッタが呟く。


 奥行きはおよそ十二畳ほど。広くはないが、生活空間としては十分な広さだ。


 中には、落ち着いた色のローテーブルと、その周囲を囲むように配置された布張りのソファーが三つ。


 小さな書棚、手のひらサイズのティーセット、壁には過去の行事ポスターが一枚だけ斜めに貼られたまま残っている。


 一歩入った瞬間、鼻先にふっと広がる、乾いた紙と古い紅茶のような香り。


 それは清潔とも不快とも違う、“誰かが長くいた空間”に特有の、柔らかく沈んだ匂いだった。


 耳をすませば、誰かの気配がまだ部屋の空気に残っているような、そんな錯覚すらあった。


「これ……状態保護の魔法がかかってる」


 ライサが周囲を見回して言う。


「でも……完全じゃない。劣化防止は働いてるけど、経年劣化は少しずつ進んでる。十年……いや、それ以上かも」


 ソファの角には色褪せがあり、ポスターの端はめくれ、テーブルの足元には薄い埃の線がうっすらと見えた。


 それでも、どこか不思議な温度が部屋の中央に漂っていた。


 記憶でも空想でもない、「ここに誰かがいた」ことの実感。


「ここ……誰かの隠れ家だったのかな」


 シェラがソファのひとつに手を添えながら言う。


 起毛した布地の感触が、今でも人を迎え入れるような柔らかさを保っている。


「壁の魔法刻印……多分、保護用と結界系が組み合わされてる。かなり高度だね」


 サダルが慎重に指先でなぞりながら確認する。


 アレッタはそっとティーカップを持ち上げる。


 すこし曇っていたが、それでも光を受けて、小さく煌めくように反射した。


 まるで、もう何年も前に注がれた紅茶の記憶までもが、まだそこに残っているかのようだった。


「……こういう場所が、あるんだね」


 ぽつりと、アレッタが呟く。


「なんか……本当に、ちょっとだけ世界が広がった気がする」


 その言葉に、すぐ返事をする者はいなかった。


 けれど、その静けさは、誰かの思索や余韻で満ちていた。


 六人は、各々の足でそっと一歩を踏み入れる。


 まだ誰にも「使っていい」とは言われていない。


 けれどその空間は、ひとまず彼らを、拒まなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ