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【第二十一話『甘いお菓子とミステリー』】③


主人公:名前はリゲル。太陽双子座、月魚座。孔雀のような雰囲気を持つ少年。

    戦闘スタイルは、①しなる剣、②複数の種類の孔雀目ビット、③鋭利な大量の羽根

    戦術家だが感情に流されやすい。

    この世界の外側の異形と関わり合う職業のアバター使いを進路に志望している。

    今は、自分の目指すべき「誠」という人格態度を磨いている。

    現在3人目のチームメンバーを探している。

 親友:現在スランプ中

    名前はハクラビ愛称はハク。太陽天秤座、月蠍座。すごく顔がいい。

    戦闘スタイルは、①軽弓、②双剣、③分身

    知らない物の値段を当てる特技がある。

    裏表のない性格、深刻な場面でも軽口を叩く。育ちが良くて挫折知らず。

 仲間:名前はサダル。太陽水瓶座、月蟹座。早生まれで少し体が小さい同じ学校同級生。

    戦闘スタイルは、①氷の双銃②魔方陣型迫撃砲③自律型bot④ガジェットの作成

    リゲルとハクのアバター戦の3人目ののチームメイト。

    万能支援をやってくれる。現在はやや二人より実力は上。 

    最低限の単位だけ取ってゲームセンターに入り浸っている。

    あまり仲のいい人がいないが、すごい才能をもっている。

    一度リゲルの誘いを拒絶した。

お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。

    主人公のライバルチームのリーダー。

    防御手段は、雷幕結界。近接すれば近接するほど相手は大ダメージ。

    長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。

    相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ

    精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。

幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。

    主人公のライバルチームのメンバー。

    アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的。

    武器は大弓、防御手段は高硬度の卵型のシェルターを使う。

    高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。

    陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。

    口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。

破天荒:ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。

    名前は、シェラ。太陽牡羊座月双子座。

    主人公のライバルチームの3人目のメンバー。

    性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。

    すさまじい運動神経を持っている。

    精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。

    通常時は、爆発ハンマーと爆発ハチェットで戦う。

    本気になると、両手持ちのリボルバーハルバードになる。

◆天文室


天文室の扉を開けた瞬間、全員の足が自然と止まった。


広々とした空間。


高い天井からは、透明な球体に似たプラネタリウムの投影装置が吊り下げられ、

室内の壁面には、星座写真と天体望遠鏡の部品が整然と並べられていた。


薄暗い照明の中、天井には夜空のパノラマが緩やかに投影され、淡い星々が静かに瞬いている。


アレッタは、ふわっと目を見開いたまま、ひとつ息をのんだ。


「……なにこれ、ほんとに学校?」


その声には驚きだけじゃなく、どこか胸をくすぐられるような感動がにじんでいた。


星の光が揺らめくように反射するガラスケースに顔を近づけ、

彼女はまるで宝石を見つけたかのように銀河写真を見つめる。


「……すっごく、きれい」


静かにつぶやくその声に、ライサが頷く。


「うん……夜の図書館、みたい」


壁際の写真に目を留めながら、ライサは足音も立てずに歩みを進める。

並んだ銀塩写真の中には、百年前のオリオン星雲や、丁寧な手書きの観測記録が添えられた一枚もあった。


「紙の色まで、夜みたい……全部、時間が染みこんでる」


空気はやや乾いていて、どこか凛とした冷たさがあった。


古い紙とフィルム、精密機器用の潤滑油が混ざったような、無機質な匂い。


そこに、望遠鏡の筒に溜まった埃や、壁の星図の布が放つ繊維の香りが重なり、

この場所特有の“静けさの匂い”を形づくっていた。


その空間の中で、二人の少女はまるで言葉を交わすように、目に映る光景をそれぞれの感性で受け止めていた。


一方、シェラは退屈そうに天井を見上げていた。


「ふーん、きれいだけど……やっぱ動きがないのはつまんないねー」


投影機に手を伸ばそうとして、ライサにさっと止められる。


「触らない」


「わかってるってば!」


サダルは奥の台座に据えられた大型望遠鏡にまっすぐ向かい、そっと接眼部に顔を近づけた。


「このタイプ……かなり古いけど、補正レンズはきれいに整備されてる。

こんな精度のまま残ってるなんて……」


その瞳には、少年らしい好奇心がはっきりと浮かんでいた。


ハクは、その隣のガラス棚をじっと見ていた。

中には隕石の断片がいくつも並び、それぞれの重さや密度、金属光沢の違いが丁寧にラベルで記されている。


「これ……ほんとに宇宙から来たやつか」


ひとつの標本の前で立ち止まり、小さくつぶやく。


「ちょっと焦げたみたいな匂いがする……鉄隕石って、こういう匂いなんだ」


「わたし、それ苦手~」


とアレッタが顔をしかめると、ハクは少し笑って「俺は好き」と返した。


リゲルは、中央の机の上に置かれた古い天球儀を手に取っていた。


その側面に刻まれた記号――まるで古代文字のような、丸に十字、曲線に矢印、円に点。

どこか意味があるようで、けれど読めない。


「……これ、地図のマークと似てる」


「どれどれ?」


サダルが覗き込み、アレッタが紙の地図を広げる。

その端にも、同じような記号が並んでいた。


「……占星術記号だ。多分、これは……火星、金星、それから……これは月と太陽」


サダルの指が、ひとつずつ記号をなぞっていく。


「古典的なやつ。天文学と占星術が分かれる前の、惑星記号だね」


「じゃあこれって……あれ? 地図じゃなくて、星の配置ってこと?」


「いや、両方かもしれない。星の配置を基準にした地図、あるいは……座標を示す羅針盤のようなもの」


リゲルはふと、天井の星空を見上げた。

銀河の帯が、ゆるやかに流れている。


「……宇宙って、すごいよな。こんなにも広くて、何万年も変わらないのに……

俺たちの時間って、ほんの一瞬なんだな」


そのつぶやきに、誰もすぐには返さなかったが、言葉の重みは確かにそこにあった。


ライサが壁の星図に目を向ける。


「となると……次、調べるのは天球図、かな」


「で、その“場所”っていうのは……何なの?」


アレッタが問いかける。


誰も答えを持っていなかった。

けれど空気の中には、何かが動き出した気配が確かにあった。


夜空の投影が静かに流れる中、六人は互いに視線を交わす。


「……私、ちょっと占星室、行ってみる」


ライサがふと口にした。


「占星室? そんなのあったっけ?」


アレッタが首をかしげる。


「あるわよ。南棟の三階の奥。昔、天文部と一緒に使ってたらしいって聞いたことある」


「へぇ、詳しいじゃん」


シェラが茶化すように言う。


「……まあ、嫌いじゃないから。昔、ちょっとだけ本読んでたし」


そう言ってライサが歩き出そうとした、そのとき――


床のケーブルに足を取られて、バランスを崩す。


「きゃっ……!」


そのまま前のめりに倒れ、手のひらと膝をついてしまった。


「ちょっ……ライサ!?」


アレッタが慌てて駆け寄る。


「……だ、大丈夫。ちょっと……油断しただけ……」


顔を赤らめながら立ち上がるライサ。

その後ろで、シェラがくすくす笑った。


「うっそ、ライサが転ぶなんて……ありえなーい」


「う、うるさいっ」


けれどライサの目は、どこかきらきらしていた。


これから向かう占星室に対する、静かな期待と高揚が、その仕草の端々ににじんでいた。


六人はそのまま、南棟へと向かい始めた。


◆占星室


南棟の階段を上がった頃には、窓の外の光が少しずつ赤みを帯びはじめていた。


細い廊下の突き当たり。飾り気のない木の扉に「占星室」と書かれた金属のプレートがかかっている。


ライサがそっと取手を回すと、ぎい、と静かな軋みと共に扉が開いた。


中に一歩足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。


少し乾いた空気。けれど天文室のような金属や油の匂いではない。

ここに満ちていたのは、木の粉末と古い蝋、それにハーブのような、どこか懐かしい香りだった。


天井から吊るされた天体模型が、空気の流れに合わせて、かすかに揺れている。


蝋燭の残り香と乾いた書物の繊維質が混ざりあい、

昼と夜の狭間にだけ存在するような、柔らかな魔法の匂いを作り出していた。


模型は、太陽と月を中心に、黄道に沿って並んだ十の惑星――水・金・地・火・木・土・天・海・冥――に加えて、

**新たに発見された「龍神星」と「蛇神星」**の二つの球体が、天井のZ軸方向から緩やかに角度をつけてぶら下がっていた。


どちらも、従来の黄道に乗っていない斜め軌道に設定されており、

他の惑星とは明らかに違う“異質さ”を漂わせていた。


球体の表面には、蛇を思わせる曲線の記号と、竜の爪を模したような尖った刻印が刻まれており、

わずかに発光する淡い藍色と赤紫色の光が、その姿を際立たせている。


「……これ、もしかして……」


サダルが小声でつぶやく。


「うん。最近話題になってるやつだ。太陽系の極軸に沿って好転してる――“龍神星”と“蛇神星”。

まだ学会じゃ名称が定まってないって聞いてたけど……ここには、もう入ってるんだな」


リゲルは息を呑んだ。


まるで異物のように浮かぶふたつの星は、天井の秩序を乱すでもなく、

どこか象徴的なバランスを保ちながら、静かに宙に留まっていた。


「……わあ」


アレッタが小さな声を漏らした。


その視線の先、土星の模型が天井の中央付近で、ひときわ存在感を放っていた。


美しく湾曲した環が、ちょうど夕日色の照明を受けてきらりと反射し、

金の輪がゆっくりと回転しているようにも見えた。


「うわ、これ……本物みたい」


ハクがぽつりと漏らす。


「綺麗……なんでこんなに繊細にできてるの?」


ライサが、手を伸ばしそうになりながらも、ただ静かに見つめる。


「土星って、輪っかのせいで人気あるけど、こうして見ると、確かにわかる気がするな」


サダルも感心したように首をかしげた。


一瞬、全員の呼吸が止まったようだった。


無言のまま、その淡い光の輪を眺めながら、

それぞれが――理由は違っても――同じように「惹かれている」ことを、言葉にせずに感じ取っていた。


占星室は、まるで小さな劇場のようだった。


天井には、太陽と月を中心に、十二星座を囲むようにして10の惑星モデルが円形に配置されている。

球体にはそれぞれ占星術の記号が刻まれており、支柱でわずかに浮いた状態で固定されていた。


模型の中央には、やや古びた丸テーブルがあり、その上にあの「宝の星図」が広げられている。


「これ、全部占星術のやつ……?

本物の惑星と違って、こっちは“どう見えるか”の位置で並んでるんだよね?」


リゲルが言うと、サダルが頷く。


「うん。天球を内側から見た“黄道十二宮”のモデル。

天文学とは考え方が違うけど……構造は、むしろ占星術のほうが整ってるくらいだよ」


「で、どの惑星が好き?」


アレッタが、ふと思いついたように振り返った。


「私は……金星」


ライサが言った。


「美しいものって、理由もなく惹かれるでしょ。

金星は、見た目も意味も、きれいだから好き」


「私は火星かなー。赤くて、危険っぽくて、でもカッコいい。探検って感じでワクワクする」


シェラは拳を握って言った。


「木星って、ちょっと可愛くない? このシマシマ。でっかいけど、なんかぼーっとしてる感じ」


アレッタが無邪気に言って、全員が思わず笑った。


「男子は……?」


ライサが問いかけると、なぜか三人はほぼ同時に同じ名前を口にした。


「天王星」


「……なんで一致すんのよ」


シェラがあきれたように笑う。


「いや、だってさ、なんか……見た目が地味なのに、軸がすっごい傾いてるっていう。

性格が変わってるやつ、みたいな?」


ハクが言うと、リゲルとサダルも黙って頷いた。


「この惑星配置……ちょっと待って」


サダルが星図と天井の模型を見比べはじめた。

リゲルとライサも、模型の真下に回り込むようにして見上げる。


「……合ってる。天井の惑星記号、宝の星図とぴったり一致してる」


「え、本当に?」


アレッタが覗き込む。


「ここ、天王星の位置」


リゲルが天井を指差す。


「こっちは……月。月のところにだけ、鍵穴みたいな窪みがある」


皆の視線が天井へと集まる。


天王星の模型の根本に、小さな金属の枠が埋め込まれていた。

確かに、取り外せるような仕組みに見える。


「ちょっと梯子、ある?」


ハクが室内を見回すと、隅に折りたたみ式の脚立が立てかけてあった。


「登ってみる」


リゲルが脚立を展開し、慎重にステップを上がっていく。


ようやく手が届く位置に達し、リゲルは慎重に天王星の模型に手を伸ばす。


支柱の根本をわずかにひねると、かすかに「カチリ」と音がして、模型が台座ごと外れた。


「……取れた。軽い、けど中に何かある」


リゲルはゆっくりと模型を降ろし、地上に降り立つ。


天王星の模型の内部には、小さな紙切れが一枚だけ、折りたたんで入っていた。


緊張の面持ちで開く。


「……あー……」


リゲルの肩が、ほんの少しだけ落ちた。


「なんだった?」


サダルが問いかける。


リゲルは紙を掲げた。そこには、丸い手書きの文字でこう記されていた。


「ざんねん! はずれだよ!」


間の抜けた一行に、室内に苦笑とため息が混ざった笑いが広がった。


「やっぱり、何もないじゃん」


シェラが、天王星の模型を見上げて肩をすくめる。


「謎解きっぽい雰囲気だったのに、ただのジョークオチって……ちょっと拍子抜けなんだけど」


そんな言葉に、ライサはふっと微笑む。


「でも、いいんじゃない? こういうの、誰かと一緒に体験すること自体が楽しいんだし」


天井を見上げながら、穏やかな声で続ける。


「ちょっとだけ、現実じゃない場所に入り込んだみたいな……そういうの、悪くなかったわ」


「うん……なんか、秘密基地みたいで楽しかった」


アレッタが素直に頷く。


「みんなで、こうやって天井見上げて、誰が好きとかって話して……

なんか、ちょっとだけ、宇宙と仲良くなれた気がした」


誰もすぐには言葉を返さなかったが、

自然とゆるやかな沈黙がその場に流れた。


薄明かりのなか、天井の天体模型が音もなく揺れていた。


そのとき――


リゲルは、ふと眉をひそめた。


「……ねえ、ちょっと、この星図……おかしくない?」


宝の星図をもう一度手に取って、光にかざす。


「ホロスコープの形式で、12個の天体がひとつの円に並んでるのはわかる。

見た目はちゃんと“らしい”んだけど……」


ホロスコープは地球から見た黄道を基準にする。


太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、龍神星、蛇神星――12個。


リゲルの指がなぞったのは、太陽、金星、水星の並びだった。


「水星と金星が……これ、明らかに離れすぎてる」


そこだけ、明確に50度以上の開きがあった。


「占星術って、金星も水星も太陽の近くにしか現れないはず。

どっちも、せいぜい太陽から離れても45度とか47度くらい。

でもこの図だと……90度以上ある」


「ほんとだ……」


ライサが覗き込みながら目を細める。


「完全に正面と左端。水星が西、金星が北みたいな感じね」


サダルがハッとしたように顔を上げた。


「……あ、あれ……」


急いで胸ポケットの端末を取り出し、何かを検索しはじめる。


「どうしたの?」


アレッタがのぞきこむ。


「いや、思い出したんだ。前に南棟と薬草棟の間の通路、ほら、壁に変なマークが彫られててさ。

占星術の記号っぽいやつ。金星と火星とか、あと双子座の記号もあったと思う。

……でも、古い落書きと一緒にあったから、ぜんぜん気にも留めなかった」


サダルは頭を押さえて、軽くため息をついた。


「なんで、俺、あのとき気づかなかったんだろ……」


ハクが、ぽつりとつぶやくように言った。


「つまり――この星図って……学校そのものの建物の位置関係を表してるってことじゃない?」


全員の視線が、もう一度テーブルの上の星図に集まった。


今度は、“宇宙”ではなく、“足元”を照らす光として。


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