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【第二十話『校内散策』】①

主人公:名前はリゲル。太陽双子座、月魚座。孔雀のような雰囲気を持つ少年。

    戦闘スタイルは、①しなる剣、②複数の種類の孔雀目ビット、③鋭利な大量の羽根

    戦術家だが感情に流されやすい。

    この世界の外側の異形と関わり合う職業のアバター使いを進路に志望している。

    今は、自分の目指すべき「誠」という人格態度を磨いている。

 親友:現在スランプ中

    名前はハクラビ愛称はハク。太陽天秤座、月蠍座。すごく顔がいい。

    戦闘スタイルは、①軽弓、②双剣、③分身

    知らない物の値段を当てる特技がある。

    裏表のない性格、深刻な場面でも軽口を叩く。育ちが良くて挫折知らず。

 仲間:名前はサダル。太陽水瓶座、月蟹座。早生まれで少し体が小さい同じ学校同級生。

    戦闘スタイルは、①氷の双銃②魔方陣型迫撃砲③自律型bot④ガジェットの作成

    リゲルとハクのアバター戦の3人目ののチームメイト。

    万能支援をやってくれる。現在はやや二人より実力は上。 

    最低限の単位だけ取ってゲームセンターに入り浸っている。

    あまり仲のいい人がいないが、すごい才能をもっている。

    一度リゲルの誘いを拒絶した。

◆水曜日のぴーちゃん


昨日までと同じ部屋。昨日までと同じ目覚まし。

でも、布団の中で浮かんでくる考えの数が、少しだけ多い気がした。


何を変えれば、ハクが活躍できるのか勝てる。

何を足せば、チーム全員が対等に活躍できるのか。


昨日までは、そんな問いを思い浮かべるだけで、胸が軋んでいた。

けれど今は、それを少しだけ、冷静に見つめられている気がする。


ピッ、と端末の角が光った。


「おはよう、リゲル。今日は水曜日のぴーちゃんだよ」


ふわりと現れたのは、孔雀の羽を模した精霊――ぴーちゃん。

火曜日の快活さとは打って変わって、今朝の彼は落ち着いた声で話しかけてくる。

図書室の静けさみたいな空気をまとっていて、穏やかに、でもどこか好奇心に満ちていた。


最近の水曜日のぴーちゃんは、ミステリーとサスペンスにハマっているらしい。

おかげで、朝から“謎の話”ばかり振ってくる。


「昨日さ、夜中まで読んじゃったよ。やばかった。最後の一行でぜんぶが繋がるタイプのやつ!」


リゲルがまだ布団の中でぼんやりしているうちに、ぴーちゃんの声が、突然加速する。

水曜日のぴーちゃんは、色が他よりも水色で、知的好奇心が一番高い。

そして、いわゆるオタク特有の早口、否、早嘴である。


「ねえリゲル、ミステリーって結局、“誰がいちばん自分を守ってるか”の話なんだよ。

真っ先に動く人より、何もしないのに情報だけ持ってる人の方が、よっぽど怪しいって、気づく瞬間があるんだよね」


「……あー、うん? おはよう?」


「聞いて! つまりね、犯人って、最初から“手を汚さないように”動いてるの。なんでかって言うと、自分のことが大好きだから!

自分が傷つくの、すっごく嫌なの! だから他人にやらせる。ルールの裏をかく。でもそれが逆に、ばれる!」


ぴーちゃんは羽をふわっと広げて、講義モードに突入した。


「でね、“なんかこの人やけに中立っぽい”とか、“全然動かないのに情報だけ持ってる”とか、そういう人がいると、読者は思うわけ。“おかしい……この人だけ、汚れてなさすぎる”って!」


「……ぴーちゃん、それ昨日の小説の話だよね?」


「もちろん。でも、“構造”って日常にも隠れてるからね。

ちょっとした会話とか、空気の流れとか――ぜんぶ、手がかりだよ」


でも大体そういう構造なの! “疑われたくない”って気持ちが強い人ほど、自分の代わりに誰かを動かそうとするんだ。


**その方がバレにくいから。でもその“清潔さ”が逆に不自然で、読者には引っかかる――**っていう仕組み!」


くるくると空中を旋回しながら、ぴーちゃんの語気がどんどん上がっていく。


「だってさ、自分で手を動かすとバレるでしょ? だから誰かにやらせる。

でもその分、“都合よすぎる進行”とか“偶然すぎる一致”が出てくるんだ。

つまり、“犯人が何かを隠してる”っていうより、“舞台が誰かに整えられてる”って感覚。

**読者はそこに気づくと、急に“あいつ怪しい”ってなるの ――つまりさ、“見えなくなる”から、謎解きが好きな読者が喜ぶんだね!」


「……朝からそれって、けっこう重くない?」


「でも面白いでしょ? “わかる人だけわかる”って構造があると、読者は“自分だけが気づけた”って思えるの。

それって、自分が登場人物より賢くなれる瞬間なんだよね。

**だからサスペンスって、“謎”じゃなくて“認識のズレ”を楽しむものなんだよ!」


リゲルは顔をしかめ、ようやく布団から起き上がる。


「……いや、朝からテンション高すぎ。しかも、学校で殺人事件なんて起きるわけないし」


「べつに“死体”が出る話だけがミステリーじゃないよ? “鍵がない”とか、“何か変”とか、そういう違和感から始まる“空白”をどう埋めるかが、サスペンスなんだから!」


「……わかったから。ご飯食べさせて……」


それでもぴーちゃんは嬉しそうだった。


「じゃあ今日は、何か“空白”が埋まるといいね!」


ぴーちゃんの言葉が、どこか脳の奥に残っていた。


“認識のズレ”――そんなの、自分たちの戦いにも、あった気がする。


ぼんやりとした感覚が、リゲルの中で、ゆっくりと動き出していた。


◆ハクの改良


訓練棟の奥、作戦会議用個室。白を基調とした壁と、透明なマップスクリーンだけが設置された簡素な部屋。

窓のないその空間には、ほんの少しだけ空調の音が漂っていた。


ハクは丸椅子に沈み、何も言わずにテーブルの縁を指でなぞっている。

リゲルも隣に座り、何度か言葉を探し、それでも出ないまま、手元のログ映像を眺めていた。


その静寂を、サダルが破る。


「……ねえ。ハクが“強いのに活躍できなかった”理由、ちゃんと考えたことある?」


ふと投げられた言葉に、ハクの肩がぴくりと動いた。

だが本人は何も返さない。

サダルは端末を操作し、ログ映像の一部を切り抜く。


ハクが攻撃を受けてもビクともせず、味方のカバーに入ろうとするもタイミングが遅れ、何もできずに終わる一連のシーン。


「……このログ、さ」


サダルが言葉を切りながら、再生スピードを落とす。


「攪乱分身で牽制して、軽弓でカバー射撃して、双剣は最後のとどめにしか使われてない。これってさ……」


リゲルが小さく息を呑む。


「――つまり、“全部が補助用”ってこと?」


「そう。どれもメインになれてない。

前衛にしては火力が足りなくて、後衛にしては射線が浅い。

結局、中途半端なまま後ろで耐えて終わってる」


ハクの肩が小さく揺れた。


「……でもさ、今回の相手、近距離しか有効打がないタイプだったんだよね。

それを見て、開幕から双剣で前に出て――先に落ちた。

でも、それってほんとに“ミス”なのかな?」


サダルがログを一時停止する。


「おとりだった? いや、ちがう。

ハクが戦線を維持してくれたからこそ、俺たちは戦術を組み立てる時間を得られた。

もし、開幕で誰も前に出てなかったら、戦線ごと崩壊してたよ。」


リゲルが息を呑む。


「……つまり、“双剣前衛”は、俺たちの構造の前提ってこと?」


「……そもそも、タンクって“おとり”じゃないからね」


サダルは言葉を切り、指を折りながら続けた。


「①まず“戦線の維持”――崩させないこと。

②それから“最大火力の引き受け”――敵の一番ヤバいやつを止めること。

③“陣形制御”――こっちのフォーメーションを守って、あっちを乱す。

④“意識誘導”――敵の目と手を、自分に向けさせる。

⑤そして最後に、“構築の時間稼ぎ”――リゲルや俺みたいな奴に、戦術を組ませるための前提をつくる」


「ハクには、このチームの時間を担当してもらう。

俺が、空間担当、リゲルが、思考、いや因果担当。」


白を基調とした訓練棟の作戦会議室。

天井の空調音だけが微かに響く中、ログ映像の再生が終わり、短い沈黙が落ちた。


「……何か、“使ってないのに持ってるもの”ってないかな」


◆余剰


沈黙を割るように、サダルが言った。


「火力は足りてる。構築時間も、まあギリギリ及第点。

でも、たぶん――まだ余ってる。贅沢に」


「余ってる?」


リゲルが反応する。サダルは頷き、端末を操作して別の試合の映像を呼び出した。


唯一、リゲルとサダルのHPが大きく削られた接戦――敵がアタッカー主体だった試合だ。


画面の右下には、三人のHPバーが表示されている。

サダルとリゲルは中盤で半分以下にまで削られていたのに対し、ハクのバーは――


「でも、あのとき――ハクだけ、ほとんど減ってなかった」


サダルが映像を巻き戻しながら言う。


画面には、炎撃の弾幕が飛び交う中、前衛で斬撃を繰り出しつつも耐え抜くハクの姿。

リゲルは背後で戦術展開を行い、サダルは魔法陣を重ねて味方を援護している。


「……HP、八割残ってる」


リゲルが呟いた。

その声には驚きよりも、わずかな“違和感”が滲んでいた。


「俺とリゲルが削られて、やっと押し返せたのに、ハクは……受けてすらいないように見える」


「違うよ」


サダルが指を動かし、映像の一部を拡大する。

そこには、爆発の中心にいたハクが、肩口を抉られながらもその場に踏みとどまり、味方の退避ラインを死守する姿があった。


「これ、“受けた上で残ってる”んだよ。回避じゃない」


サダルの声は静かだが、はっきりと響いていた。


「ダメージを受けて、なお耐えてる。……つまり、ハクのHPは“使われてないリソース”になってる」


「……言い換えれば、“資産”が死んでる状態か」


リゲルが呟く。


「持ってるのに、活かされてないってことだよね」


サダルは頷きながら言葉を重ねた。


「普通のプレイヤーなら、一撃で沈む場面だよ。

でもハクは――生きてる。反撃できる。

“HPが多い”ってレベルじゃない。“明確な異常値”だよ」


そう言って画面を閉じ、サダルはハクに向き直る。


「だからさ。そのHPを、“対価”として使える構造に変えよう。

“受ける”だけじゃなく、“差し出して使う”。その方が、よっぽどハクらしい」


しばらく黙っていたハクが、少し首を傾げた。


「……俺が、HPを代償に能力を発動する……?」


その言葉に、サダルがゆっくりと微笑んだ。


「うん。大富豪が、自分の資金を市場に流すのと同じ。

君は、このチームの“時間”と“耐久”における――大口投資家なんだよ」


サダルは、ホログラムに浮かぶステータス一覧の一項目を指差した。


「……この数値、ずっと気になってたんだ。

ハクのHP、俺たちの4倍以上ある。しかも、回復もなしでこれ」


リゲルも目を細める。


「……普通、マナが多いとかならまだわかるけど……HPって、生まれつきの差じゃないの?」


「うん。生まれつき高HPでアバター化してる人間って、マナ高位者よりずっと少ない。

しかも、最大HPを“対価”にして発現させる能力って、どれも一級品ばっかりなんだよ」


「それって……つまり?」


「つまり――ハクは“アバター設計における大富豪”なんだよ」


その言葉に、ハクは一瞬、ぽかんとした顔をした。


「大富豪……って俺が?」


「そう。

“全員が何かを一つだけ買える店”にいる時、ハクは“どれでも好きなの二つどうぞ”って言われてるようなもん。

……なのに、今は一つも使ってない。持ってるだけで“無利子で貯金してる”状態」


サダルは目を伏せ、静かに続けた。


「HPってさ、確かに、失えばまずい。

でも、“使い切れずに終わる”なら、それって“何もしなかった”のと同じだと思わない?」


「……!」


「だったらいっそ、使うという選択肢を設計段階から組み込めばいい。

たとえば、“最大HPをコストにして、開幕から特殊効果を得る”とか。

“一定HPを消費して味方全体を回復”とか、“受けたダメージを敵に跳ね返す構造”とか」


「戦闘の中で“耐える”だけじゃなくて、戦闘の前から“準備として切っておく”ってこと?」


「そう。

君のHPは、ただのバリアじゃなくて、運用可能なリソースなんだ。

だったら、“最初から戦いを有利にするための先行投資”に変えればいい。

装備に付与してもいいし、試合開始時のバフスキルでもいい。

君のHPは、“時間を買える貨幣”なんだよ」


しばし沈黙が流れる。


やがて、リゲルがぽつりと呟いた。


「……本当は、俺とサダルが考える“時間”を稼いでくれてたんだよな。

気づかずに、その大きさを見落としてた」


サダルが小さく頷いた。


「だから、もう一度言うよ。

君は、“このチームの時間”を買える人間だ。

そのリソースを、“残して勝つ”んじゃなくて――“使って勝とう”」


サダルは、改めてハクの顔を見据える。


「だったら――

君の役割は、“戦線に残り続けること”じゃない。

“時間を作ること”なんだ。」


ハクが小さく瞬きをする。


「時間……?」


「そう。

君のHPが、俺たちより何倍もあるってことは――

他の誰よりも長く戦場に“いられる”ってこと。

つまり、“長期戦を前提とした戦術”が組めるってことなんだ」


リゲルが、ぽつりと付け加える。


「時間が経てば、“ビット”は増える。

“バフ”や“デバフ”も蓄積する。

“読み合い”の精度も上がる。

だから……このチーム、時間が経てば強くなるんだよ。確実に」


サダルが頷き、構図図を空中に描きながら言葉を続けた。


「だったらさ――

“時間を生むキャラ”って、誰がやるの?

“HPを使って攻撃を受けながら生き残る”キャラにしか、これはできない」


「……俺、か」


「うん。

“短期決戦で勝つ”んじゃなくて、“長期戦で確実に勝つ”。

そのための“最初の土台”になってもらう。

たとえば――開幕時に最大HPの3割を支払って、味方全員に“徐々に強化されるバフ”を撒くとか。

あるいは、“自分が攻撃されるたびに、味方のMPが少しずつ回復する”とか。

“ダメージを喰らうこと”が、そのままチームの利益になる構造を作ればいい」


ハクは口を開きかけて、言葉に詰まる。

だけど、すぐに口元を引き締めた。


「……おもしろい。

“避けろ”って言われるの、昔から苦手だったから。

“耐えろ”って言われる方が、なんか納得できる気がする」


リゲルが少しだけ笑い、ぽつりと呟いた。


「……このチーム、“時間で勝つ”ってコンセプト、ありかもな」


会議室に静けさが戻る。

言葉がひと段落し、全員が沈黙しかけたその時だった。


サダルが、端末を軽く操作して一枚の静止画像を映し出す。

それは――前回の試合、ハクが一歩も退かずに炎撃を受け止め続けた、あの瞬間だった。


「なあ、ハク」


サダルの声は、珍しく静かで、真っ直ぐだった。


「……そのHP、今まで“守るためにある”と思ってた?」


ハクは一瞬、答えに詰まる。

その間を待たず、サダルが続ける。


「違うよ」


間髪入れず、彼は言い切った。


「“落ちた仲間を守れなかったら、お前のHPなんて、ただの観賞用だ”」


その言葉に、リゲルの目がかすかに揺れる。

ハクの口元から、軽く息が漏れた。


「だからさ――」


サダルの声に、ほんの少しだけ熱が混じる。


「先に削らせて、勝て。

それが、ハクの正しい使い方だ。」


しばらくの沈黙。

そして、ゆっくりとハクは頷いた。

それは、ただの肯定ではなかった。

“戦う理由”が、ここに一つ加わったということだった。

――作戦会議室。


全員が一度沈黙し、空気が揺れる。

ようやく、ハクが手を上げた。


「……鎧、とか、どうかな」


「鎧?」


「うん。HPを対価にして、防御力そのものを上げる。例えば、一定時間、ノックバック無効とか。盾になるっていうか……壁?」


リゲルが頬をかいた。


「でもそれって……受けるだけじゃない? 相手が強引に来たら一緒に潰されるし、そもそもハクがやる意味は?」


「……うーん」


すかさずリゲルが言う。


「じゃあ、武器を変えるのは?

双剣じゃなくて、もっと重くて……例えば、受け止めつつ反撃できる大剣とか。HPを削るたびに威力が上がるとか、さ」


「それって……新しい武器に慣れる時間が必要じゃん」


ハクが苦笑する。


「戦い方も立ち回りも全部変わる。下手したら、一時的に戦力が落ちるだけになるよ?」


「……そっか」


今度はサダルが、少しだけ首をかしげた。


「分身は?」


「え?」


「リゲルのビットに似た感じでさ。HPを固定量使って、自律型の分身を召喚する。攻撃や妨害に回してもいいし、目眩ましにもなる」


なるほど、と思いかけたが――


「サダル以外に使えないだろ、それ。」


ハクが言った。


「サダルの分身は、魔法で作ってるから精度も制御も凄い。でも俺が同じことやっても、操作が効かなくて終わるだけじゃない?」


「プログラムを簡略化すれば――」


「自動化が難しい。敵味方の判別だけでも複雑すぎる」


リゲルが遮った。


「それに、見方によっては“ただのHP消費デコイ”でしょ? 費用対効果が薄い気がする」


「ふうん……」


そして、空気を読まずにぴーちゃんがふわっと手を挙げた。


「はいっ。見た目、めちゃくちゃかっこよくするってのは?」


「見た目?」


「たとえばこう、背中に金の羽根を広げて、胸元に宝石が埋まってて、戦うたびにババーンって羽が舞い散って――」


「それ“観賞用HP”を強化するだけになってない!?」


全員が一斉にツッコんだ。


「うう、でもロマンは大事だよ?」


室内に、また沈黙が落ちる。

誰もが思いつき、提案し、そして否定されていった。

けれど、それは前に進むための紛糾だった。


その後も、いくつかの案が出た。

「HPでフィールドを展開する」「敵のバフを吸収する」「食らったダメージを参照して後で倍返し」――

どれも一理はあった。だが、決定打にはなりきれなかった。


行き詰まりの気配が、会議室に静かに沈んでいく。

その中で、サダルがひょいと立ち上がる。


「……こういうときってさ、ずっと考えてても出ないよね」


彼は軽く伸びをしながら、端末を閉じる。


「俺、わりと散歩してるとひらめくタイプなんだよね」


そう言って、さりげなくドアを指差す。


「ちょっと、外歩こう。全員で。今ここにいても、たぶん同じ案をぐるぐるするだけだし」


誰も反論しなかった。

全員が静かにうなずき、各自の端末を閉じ始める。


ハクが最後に立ち上がり、ぼそりと呟いた。


「……確かに、ちょっと詰まってたかも」


そして、3人は会議室を後にした。

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