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【第十九話「摩天楼の罠」】①


主人公:名前はリゲル。太陽双子座、月魚座。孔雀のような雰囲気を持つ少年。

    戦闘スタイルは、①しなる剣、②複数の種類の孔雀目ビット、③鋭利な大量の羽根

    戦術家だが感情に流されやすい。

    この世界の外側の異形と関わり合う職業のアバター使いを進路に志望している。

    今は、自分の目指すべき「誠」という人格態度を磨いている。


 親友:名前はハクラビ愛称はハク。太陽天秤座、月蠍座。すごく顔がいい。

    戦闘スタイルは、①軽弓、②双剣、③分身

    知らない物の値段を当てる特技がある。

    裏表のない性格、深刻な場面でも軽口を叩く。育ちが良くて挫折知らず。


 仲間:名前はサダル。太陽水瓶座、月蟹座。早生まれで少し体が小さい同じ学校同級生。

    戦闘スタイルは、①氷の双銃②魔方陣型迫撃砲③自律型bot④ガジェットの作成

    リゲルとハクのアバター戦の3人目ののチームメイト。

    万能支援をやってくれる。現在はやや二人より実力は上。 

    最低限の単位だけ取ってゲームセンターに入り浸っている。

    あまり仲のいい人がいないが、すごい才能をもっている。

    一度リゲルの誘いを拒絶した。

◆空を歩く者たち


風が唸り、雲の切れ端が視界を横切る。

強化ガラスのような足場が、空中でぼんやりと発光していた。


踏めばわずかにたわむ板状の素材は、強度があるはずなのに、ひどく心許ない。


「……高い、なあ」


リゲルの呟きに、誰も返さなかった。


視界を支配するのは空と光、そして錯覚だ。

見慣れたはずの“地面”が存在しない。


透明な足場のその先、遥か下には霞んだ地表――いや、正確には“地表に似た何か”が広がっている。


空を歩くという体験。

だがそれは、自由とは程遠い。


重力の常識がぐらついている。

脳の奥でバランス感覚が崩れ、身体が宙に浮いたような錯覚すら覚える。

まるで世界そのものが斜めに傾いているかのようだ。


視線を落とすと、足場の外に“落ちる”空間が広がっている。

強化ガラスのような素材には、足音すら反響しない。


今戦の舞台は、《摩天楼フィールド》。

百階を超える高層ビルが互い違いに林立し、それぞれ「上層・中層・下層」の三階層に分かれている。


各階層は、隣接するビルの同じ高さにある空中通路によってのみ繋がれている。

地上は“即脱落”のエリア外。

垂直方向の移動は昇降装置を使うしかない。


つまり、視界に映る通路がどれほど近く見えても、階層が違えば行き来はできない。


視覚と物理の齟齬。

目の前にあるのに、そこには届かない――この「錯覚の断絶」こそが、このフィールドの本質だった。


そして、風圧。

突風が吹けば、足場ごと体を持っていかれそうになる。

足元に柵はない。支えはない。安全の保証は何もない。

ただ、命綱のない空中を、強制的に歩かされるだけだ。


「この構造、俺、苦手かもなあ」


ハクが、らしくない声でぽつりと呟いた。


彼は本来、戦場を縦横無尽に駆け回るスタイルを得意とする。

反応速度と機動力を活かし、包囲や奇襲を繰り返す軽戦士型の戦法。


だがこのフィールドでは、その強みがことごとく削がれる。

足場は狭く、逃げ道も少ない。しかも、誤って落ちれば即終了だ。

乱戦になれば、真っ先に危険域に置かれるのは前衛である彼だ。

ハク自身、それを強く理解していた。


リゲルは、そんな彼の横でビットを起動する。

孔雀の羽の”目の模様”を模した形状の中距離用ビットが、ゆっくりと宙に浮かぶ。


本来ならば、反射と拡散を利用して中距離から敵を撃ち抜く高精度の戦術が通用する。

だが、ここでは通路の影、高低差、風圧、素材の透過率などが複雑に絡み合い、通常の戦場よりも高度な計算が要求される。


サダルはその後ろで、淡々と準備を進めていた。

地面に薄氷の板を幾重にも重ね、風の振動を視覚化していく。

botによる索敵範囲の補強、温度差による空気流の測定……

彼の手の動きはすでに、支援役としての役割を超えつつあった。


「……索敵、右斜め下。第二塔・中層、通路の影に一体。動きなし」


その報告に、リゲルとハクの視線が一斉に向かう。


見えた。

薄暗い通路の奥。

建物の影に、明らかに“異物”として浮かび上がるシルエット。


敵。


だが、そのアバターはまるで像のように動かない。

威嚇も、挑発も、臨戦態勢すらない。

ただ、そこに“在る”。


「……挑発……か?」


リゲルの眉がひそむ。


すぐ隣で、サダルが淡々と告げる。


「通路が狭すぎる。あの位置で止まっているということは、高低差の支配権を持ってるってことだ。下手に近づけば……詰む」


「でも、ここからならビットが――」


そう言いかけたリゲルは、すぐに判断し、試射を放つ。


孔雀の羽から射出された光が、風を切り裂くように一直線に飛び――


敵の肩口を、正確に撃ち抜く。


……はずだった。


瞬間、奇妙な“反発音”が響いた。

光が逸れた。


撃ち込まれたはずの光線が、まるで弾かれるように外殻で跳ね返され、隣接するガラス壁へと散っていく。


「……反射装甲?」


サダルが眉を潜める。


「あるいは、光熱を屈折させる特殊装備。熱量の波形が不自然に低い。吸収型か、変換フィールドの可能性がある」


リゲルの指先が止まる。


――遠距離が、通らない。

削り合いすら成立しないタイプだ。


「じゃあ、近づいて斬るしかないってことか」


その声は、ハク。


彼は双剣をゆっくりと抜いた。

透明な足場に映る自身の影を見つめながら、前へ踏み出す。


慎重に、一歩。

足場の端に、その足がかかる。


「斬るのは、俺の役目だ」


その瞬間――サダルが、顔を上げた。


何かを言おうとした口元に、わずかな緊張が走っていた。


◆用意周到な罠

「近接戦闘は、俺の役目だ」


その瞬間――サダルが、顔を上げた。


「待て、ハク。あれ、囮だ。伏兵に気をつけろ」


ハクは立ち止まることなく、双剣を構えたまま小さく答えた。


「分かってるよ。でも今は、あそこしか活路がない」


リゲルはすぐさま背後からビットを展開し、支援モードに切り替える。

一対の防御ビットがハクの両肩に滑るように並び、加速用の羽型ビットが背中に付いた。

光がスパークし、ハクの動きが一段鋭くなる。


さらに、サダルも即応する。

彼の背後に控えていたbotたちが滑るように飛び出し、風圧に耐えながら中層の両翼に展開。

索敵と妨害のプログラムが次々と実行されていく。


その中に、燕尾服を模した黒い外套にモノクルを輝かせた小柄なペンギン型の精霊がいた。


――「トバナイ」。

サダルの従者にして、砲撃支援を一手に担う忠義の執事。


彼は一礼するように軽く頭を下げ、杖型の砲身を前方へと掲げた。


「ご命令通り、足元補強と視界攪乱、同時に開始いたします」


魔方陣が重ね描かれ、氷結属性のデバフ弾が滑らかに着弾。

敵の踏み込みをほんのわずかに遅延させる。


続けて、トバナイはスナップの効いた動作で支援射撃のタイミングを調整し、

ハクの踏み込みの直前に重力支援フィールドを展開。

脚部への負荷を最小限に抑えた。


「ご主人様のご友人であれば、支援に手抜かりはございません。ご武運を」


遠隔バフ砲台が自動照準で魔方陣を描き、ハクの脚部と武器に強化バフを付与。

さらに敵周囲には微弱な氷結干渉を行うデバフが散布され、行動速度をわずかに遅らせる仕組みが作動していた。


足元の氷床には、魔方陣のような薄氷のラインが走り、重力バフがハクの脚部にかかる。


「二秒後、左側面からバフ射撃。右からは視覚妨害。行け!」


ハクが加速する。

防御ビットの加護を纏い、加速ビットの風圧に乗りながら一直線に敵へ迫る。


敵との距離が十メートルを切る。


敵の武器――巨大な鈍器のようなコンボウが、ハクの突進に合わせて振り上げられる。


だが、ハクは止まらない。


サダルの支援により、足場の振動と敵の肩の筋肉の収縮から軌道を予測する。


「そこだっ!」


ハクが身を低くしてスライドし、コンボウの軌道を紙一重で回避。

そのまま足元へと切り込む。


敵は即座に体勢を立て直し、横殴りの一撃を放つ。


リゲルが反応する。

防御ビットが射出した光壁が、ハクの背後に立ち上がる。

その一撃は光壁を裂きながらも、わずかに軌道が逸れ、ハクはその隙間からすり抜ける。


「反撃入れる……!」


両手の双剣が、刃の軌道を交差させながら敵の脇腹を狙う。


サダルのバフが最大まで上がるそのタイミング――

ハクの剣閃が、まさに装甲の弱点を捉えた瞬間だった。


その瞬間。


敵の装甲が、呼吸するように波打つ。


硬質だった金属質の表層が、銀灰色の弾性素材に変化し、

柔らかな粘弾性の表皮が、双剣の刃を吸い込むように包み込む。


「……なっ!?」


手応えが消える。

剣先が呑み込まれ、引き抜こうとした瞬間には、すでに両腕の可動域が制限されていた。


「拘束――っ」


リゲルが声を上げるよりも早く、足場の中央に微細な亀裂が走る。


「ハク、離脱を――!」


リゲルがビットに反転命令を出し、ハクの背面に光の楯を展開する。

同時にサダルが支援botを再配置し、敵の背後から砲撃を仕掛ける。


だが間に合わない。


通路の中心、ハクと敵の立つ一点が一斉に爆ぜた。

床が崩壊し、粉砕音と閃光が響き渡る。


「ハク!!」


リゲルの叫びが、風と爆煙に呑まれる。

砕けた床と共に、二人の姿が吸い込まれるようにして中層の影へと落ちていった。


だが、落下音がなかった。

破砕後の空間には、妙な静寂があった。


サダルの手元のパネルが光を放つ。

即座に下層のスキャンが走る。


「落下先に、吸収フィールド……着地直前に発動した記録あり。物理衝撃ゼロ。ハクも敵も、無傷だ」


「じゃあ……これは計画された――」


「分断だ。徹底的に、三人を崩す構造」


リゲルは歯を噛み、すでに再配置を始めていた。


敵は無能ではない――戦術より、構造そのものを“武器”にしている。

そしてその武器に、確かな知性と計画性がある。


吹き抜けを越え、下層の霧の向こうに、ハクの姿はもう見えなかった。


◆孤立


最初に襲ったのは、無音だった。

転落の衝撃はなかった。


敵が張り巡らせていた吸収フィールドが作動し、落下による加速度すら丸ごと吸収されたのだろう。


だが、同時に巻き起こった爆発の余波が、視覚と聴覚を遮断した。


――白い光。破裂音。強制された沈黙。


数秒後、ハクは薄暗い下層で目を覚ました。


そこは、天井の見えない空間。

霧と白煙が重なり、視界はほぼゼロ。


高層建築特有の自動消火装置が作動したのか、冷たい霧状の消火剤が辺りに漂っている。


誰の姿もない。

誰の声もしない。


つまり、分断された。


「……まだ、僕はフィールドに残ってる……?」


呟きとともに、ハクは片膝をついて起き上がる。


身体に痛みはない。けれど、何かが確かにズレていた。

地形でも、戦術でもなく、自分の役割が、戦線から一歩外れてしまったという感覚――。


「リゲル……サダル……どこだ……?」


今の状況を伝える手段はない。

通信は完全に遮断されていた。


どこかで二人もまた動いているのだろうが、それを確かめる術もない。


ハクは、床に左手を置いた。

指先から透明な魔力を流し込み、光の膜が静かに隣に立ち上がる。


水面のように歪んだその像が、やがて一人の“ハク”として形を結ぶ。


――分身。


「……最初から、使っておけばよかったな」


肩越しに幻影の背を見る。


これまでは支援があった。

サダルの氷の索敵、リゲルのビット光線。

自分は、それに守られていた。


だから、分身の使用すら“無駄”だと思っていたのだ。


今、頼れるのは、自分の気配と直感だけだった。


「甘かったな……」


分身は静かにうなずくように動き出す。


ハクは左目を軽く覆い、魔力を通して視界の一部を分身と共有する。

完全な同調ではない。だが、霧の奥での気配や閃光を一瞬でも早く察知するための、最低限の連携だった。


そして、視界は最悪だった。


消火剤による霧と白煙。

床は濡れて滑り、足元からも光が吸い取られるようだった。


まるで空間そのものが、敵のために用意された罠のような気配すらある。


「……あれ、意外と静か……?」


ふと、ハクは鼓動が少し落ち着いたような錯覚に囚われた。


だが、すぐに気づく。


――違う、これは待ち構えてる。


見つけたのではない。見られているのだ。


だから、敵は動かない。

霧の奥で、こちらの動きを――試している。


「まだバレてない……はず。でも、わざと動かないで、様子を見てるかもしれない――」


心臓の音が、耳の奥で鼓膜を叩いた。


動けば、狙撃されるかもしれない。

でも、動かなければ、霧が晴れた瞬間に終わる。


――動くしかない。


「落ち着いて、ハクラビ様」


優しくも厳かな声が、頭に響く。


白銀の羽衣を纏ったシラサギの型の精霊――

水鏡の精霊ルミレナが、霧の中から現れる。


その清らかな瞳の奥には、静かな意志が灯っていた。


「あなたは、選ばれし器です。この状況でも、正しさを見失わぬ者……」


その言葉に、呼吸が整う。


不安はある。けれど、それでも進める。


「……ありがと。じゃあ、行くよ」


分身が左右に展開する。

視界の端にそれぞれの動きがかすかに映り、互いの気配が同調する。


ハクは剣を構え直す。

そして――わざと音を立てながら、一歩を踏み出した。


自分が囮になる。

この状況で敵を引き出せるのは、それしかない。


霧が敵の索敵を妨げているなら、こちらの足音が唯一の誘引になる。

敵が本当に待ち構えているなら、それで反応するはず。


緊張と焦燥が混じる。

だが、止まらなかった。


「……いいよ。俺が動く」


視界の奥、白煙の向こうで、何かが動いた。


咄嗟に、ハクは跳び退く。


そして――閃光。


次の瞬間、火花が霧を裂く。

砲火か、刃の光か――正体はまだ見えない。


だが確かに、それは殺意だった。


「斜め後ろから回って! こっちには来させるな!」


ハクの叫びに応じ、分身が霧の中を駆ける。


交差する気配。反響する呼吸音。濡れた床の摩擦。


白煙の帷の中で、孤立した一閃が、静かに火を灯す。


◆永遠のような3分間


「……まだ、脱落してない」


サダルの声が、端末越しに低く響いた。


モニターの片隅に、ハクのアイコンが表示されたままだった。

フィールド外への転送も、緊急ダウン判定も――どちらも起きていない。

つまり、ハクはまだ戦場に残っている。


「位置は……第二塔、下層。完全に孤立してる」


確認したリゲルの指先が、静かに震えた。


あの高さからの落下。普通なら即リタイアのはずだった。

だがハクは、寸前で何かを掴んだか、受け身を取ったか……

いずれにせよ、まだ“中”にいる。


「これ、間に合うか?」


「……間に合わせるしかないでしょ」


リゲルの声に、わずかな焦りが滲んだ。手段は限られている。

昇降機は使用不能。周囲の階段も封鎖。物理的に駆けつけるには、時間が足りない。


リゲルは、喉の奥を締めつけられるような感覚に襲われていた。


あのとき――屋上で、サダルに言われた言葉が頭をよぎる。


《ビットの制御、君が全部背負い込む必要ないんじゃない?》


そのときは応えなかった。

でもずっと考えていた。――その判断を、保留したまま戦っていた。


けれど今は――時間がない。


ハクはひとり。敵が動き出すのは時間の問題。

足を運ぶには遠すぎる。ならば、先に届くのは――


「……サダル」


リゲルは言った。


「手動制御、外すよ。こんな時でなんだけど。頼む、サダルのプログラム――入れてくれ」


一拍の沈黙。


そしてサダルが、わずかに目を見開いた。


「ずっと待ってた。屋上の時から。リゲルが自分の意思で俺を信じてくれることを。」


「実は、次の日には、もう出来てたんだ。といっても、戦闘ごとにデータ取って更新してたけど」


「転送開始するよ。これ、3分かかる」


サダルの声は静かだったが、画面の端に浮かぶ進捗バーが、無情なほどに遅々と伸びていく。


「いまリゲルのアバターに、直接組み込んでる。パーツ制御の根本を入れ替えるから、即応性が高いぶん、慎重にやる必要がある」


3分。


ただの180秒のはずなのに、リゲルにはその一秒一秒が永遠に思えた。


ハクはまだ動いていない。

転送も、ダウン判定もない。つまり、まだ生きてる。


……けど、それは今この瞬間にも、終わりに変わるかもしれない、という意味でもあった。


「……ハク、落ちたあとの位置、第二塔の下層って言ったよな」


リゲルは画面を睨みながら、かすれた声を漏らした。


「俺、知ってた。……掲示板、炎上してたのも。ハクが目立ってきたから、狙われる可能性あるって、最初からわかってたのに……」


画面の中で、バーはまだ半分に届かない。


喉の奥に、鉄の味がした。

それでも歯を食いしばるしかなかった。


ハクみたいないいやつに、挫折は似合わない。


「信じてたよ」


横でサダルが言った。


「リゲルが、最後まで自分で考えるって。無理強いは、したくなかったから」


彼の端末に、再び操作の光が走る。


残り1分30秒。


「このプログラム、あの屋上の翌日には、もう大枠は完成してた。

でも俺は“戦いながら学ぶ設計”にしたから、毎試合のデータを入れて、今朝まで調整してたんだ」


「……ずっと、準備してくれてたのか」


「当然でしょ。君の羽は、美しいから。

それを、もっと自由に飛ばせるようにするのが俺の役目だと思った」


残り30秒。


リゲルは、ただ画面を見つめていた。

こみ上げてくる苛立ちと悔しさを、無理やり押し殺して。


《今は、怒るときじゃない。助けるために、動け。》


《インストール完了》


その瞬間、足元の空気が変わった。


リゲルの背後で、ビットが静かに光を帯び、ふわりと浮き上がる。


次の瞬間、空間ソナーと光の乱反射を利用した環境スキャンが起動し、戦場の敵味方の座標が立体的に補正されていく。


さらに、各階層の空気流動・照度・壁面密度を解析した動的パスが、リゲルの視界にオーバーレイされる。


「これが、自律型ビット――?」


リゲルが声を漏らす前に、


新たなビットが、羽の配置と連動して、自動的に“生き物”として空中を駆けていく。


明確な意志も指示も与えていないのに――

羽と光を撒きながら、まるで「自分で考えている」ように。

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