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【第十三話 『破天荒の証明』】③

破天荒:ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。


    名前は、シェラ。太陽牡羊座月双子座。


    主人公のライバルチームの3人目のメンバー。


    性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。


    すさまじい運動神経を持っている。


    精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。


    通常時は、爆発ハンマーと爆発ハチェットで戦う。


    本気になると、両手持ちのリボルバーハルバードになる。


お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。


    主人公のライバルチームのリーダー。


    防御手段は、雷幕結界。近接すれば近接するほど相手は大ダメージ。


    長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。


    相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ


    精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。


幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。


    主人公のライバルチームのメンバー。


    アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的。


    武器は大弓、防御手段は高硬度の卵型のシェルターを使う。


    高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。


    陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。


    口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。




◆デバフ


 


肩に乗られた衝撃――


敵リーダーは、無言でその重みに耐えたものの、鎧の関節からわずかに軋みが漏れた。


 


(今のは……予想外だったか)


 


シェラの急旋回により、視界は一瞬、宙に舞う影と火薬の閃光に満たされた。


 


彼女はリーダーの肩口を“支点”にして、爆風で飛び、リボルバーハルバードを展開――敵サマナーを粉砕した。


 


だが、その直後だった。


 


「……視えた」


 


リーダーが低く呟く。


足元がまだ不安定なまま、右腕のワイヤーが素早く構えられる。


 


狙いは――上空。


 


(天井……!?)


 


ワイヤーが天井の穴を貫く。


そこに伏せていた影――アレッタの分身――が、反応する間もなく絡め取られた。


 


「しまっ――!」


 


引き寄せと同時に、反射魔力の逆流。


アレッタの分身は、一閃の光に包まれながら粉砕された。


 


「……そっち……!」


 


シェラの視線が、一瞬だけ逸れた。


 


その“刹那”――


 


床に伏していたはずの敵バッファーが、震える指先で強力な魔方陣を展開。


 


「ここまでか……なら――やれるだけ……!」


 


詠唱は、すでに完了していた。


全マナを使い切る覚悟の、渾身のデバフ魔法が放たれる。


 


薄く光る針のような魔力が、シェラの周囲を一気に包み――


数本が、彼女の関節部、防御フィールドの制御点、感覚フィードバック中枢へと突き刺さる。


 


「ッ……なに、これ……!」


 


膝が、地面に沈む。


肩の可動域に違和感。


呼吸のテンポも狂い、防御バリアの感触が、まるで“溶けて”いくような感覚を伴って消失していく。


 


「デバフ効果:機動力著しく低下+防御力減衰。」


 


視界が、ぐにゃりと歪んだ。神経の奥から冷たいものが逆流してくる。


 


「……あ、立てない……じゃなくて、“立てる気力”が、湧いてこない……?」


 


シェラが、肩で息をしながら歯を食いしばる。


 


敵バッファーは、マナの奔流に呑まれるようにその場に崩れ落ち――


魔力漏出によって、完全に戦闘不能となった。


◆本体到着


 


膝をついたままのシェラに、敵リーダーが歩を進めてくる。


 


「……終わりだな」


 


鎧の底部がきしみ、右手のワイヤーが鋭く巻き上げられる。


それは、もはや“牽制”ではない。殺意を伴った一撃――。


 


動けないシェラの瞳に、絶望ではなく、冷静な分析が宿る。


ワイヤーの収束角度、敵の踏み込み速度、肩の捻り。


 


(次……避けられない)


 


その瞬間――


 


バチィンッ!


 


地面を這うように、紫電が走った。


粉塵の中から伸びてきたそれは、雷をまとったマナで2倍以上に延長された一本の鞭。


ワイヤーがシェラの目前に迫った瞬間、その中間を弾くようにして絡みついた。


 


「……ッ!」


 


敵リーダーの動きが、一瞬だけ、鈍る。


鞭の柄を握っていたのは、戦場の背後から合流したライサだった。


表情は静か。だがその目は、明らかに怒気を孕んでいる。


 


「そこまでですわよ――貴方」


 


雷鞭は、生き物のようにしなる。


実体を超えてマナで延長されているにもかかわらず、それは強靭だった。


敵リーダーの右腕に巻き付き、感電によって筋肉反応と魔力経路を一時的に狂わせた。


 


「くっ……! この……!」


 


リーダーが無理やり腕を振り解こうとした刹那、第二波の雷が走る。


――爆ぜる音。


雷が一点に集中され、装甲の継ぎ目から魔力の干渉波が入り込む。


それは、精密な反射魔法回路すら一時的に停止させる。


 


「今しかありませんわ」


 


ライサが、視線だけで合図する。


 


その背後から、アレッタ本体がひょこっと姿を現す。


 


「いっけー! こっこちゃん、フルチャージ!」


 


大弓の弦にかけられていたのは、普段とはまるで違う“本気”の矢。


矢尻は桜色に輝き、精霊こっこちゃんの魔力を帯びた特殊構造。


溜められた魔力は飽和しており、射出されればドームそのものを破壊しかねない威力を持つ。


 


シェラが、雷鞭の拘束によって動きが止まっている敵リーダーの足元を見据える。


 


(……マナ、残りは一撃分)


 


再び立ち上がる。


デバフによって足は重い。魔力の流れは鈍い。


けれど、その一瞬――全身の魔力を、敵リーダーの足元に集中させた。


 


「……爆発魔法はこういう使い方もあるのよ」


 


右足の裏から、地面に向けてすさまじい勢いで魔法爆発が噴出する。


 


ドォン!!


 


床が砕ける。


指向性の爆風が、敵リーダーの足元から突き上げた。


リーダーの重装甲が浮かび上がる。


その身は、空中で一瞬――何もできない。


 


「アレッタ! 今ですわ!」


 


ライサの声に、アレッタが目を輝かせて叫ぶ。


 


「こっこちゃーん! いっけぇぇーー!!」


 


大弓が軋みを上げる。


その一声に、敵リーダーの目が鋭く光る。


 


「来るか……この角度……ならば――《最終障壁》」


 


鎧の胸部、魔力コアが異音を立てる。


空中に浮かんだまま、リーダーは胸元に魔力を一点集中させた。


 


瞬間――紫黒の光が収束し、数層に折り重なる球体のようなシールドが展開される。


それは、かつて模擬戦トップ層のザビが放った全力の一撃すら弾いた、“絶対防壁”。


 


「これで通るものか……!」


 


だが、その“防げるはずだった”障壁に――アレッタの矢が迫っていた。


極限まで引き絞られた弦は、まるで鳴き声のように空気を震わせる。


アレッタの矢には、精霊こっこちゃんのマナがほとんどすべて込められていた。


 


矢が、放たれた。


その瞬間――


 


空気が、止まった。


時間が凍ったかのような静寂。


爆音も雷鳴も、魔力のうねりすらも沈黙する。


 


視界に映るのは、矢――


ただの飛翔体ではない。


尾を引くのは“光”ではない。“圧”だった。


重力すら逆らうような、見えない圧力の槍。


風を割き、空間を歪ませ、一直線に空を裂く。


 


そして――


 


矢は、紫黒に包まれた鎧の中心――


心核のわずかな継ぎ目に、吸い込まれるように突き刺さった。


 


――ズドォォォォォォン!!!


 


地面が揺れる。


大気が震える。


爆風が三方向へと拡散し、ドームの上部が、きしむ間もなく粉砕される。


装甲が砕ける音は、金属ではない。


圧縮された魔力が臨界を超えて一気に解放され、炸裂音と共に四散していく。


 


敵リーダーの重装鎧は、ひとつの装飾も残さず、空中で四肢のように砕け散った。


 


 


◆ドーム崩壊


 


アレッタの高威力の矢が、空中に浮かんだ敵リーダーの心核を正確に貫いた瞬間――


魔力の奔流が炸裂した。


心核に溜められていた反撃用の魔力が暴発し、鎧の中心から紫電の閃光が四方に走る。


 


その余波は、すぐ後方に控えていたドーム構造体へと突き刺さった。


金属が撓み、支柱が軋む。


魔力が断絶された箇所から、空間が歪むように崩れ始める。


 


「……って、ちょ、待って! あれ、壊れすぎじゃない!?!?」


 


アレッタが弓を構えたまま絶叫する。


矢の反動でひっくり返りそうになりながら、急いでその場を離れる。


 


「……どこ狙ってるのよ、あなた!」


 


ライサの声が飛ぶが、既に瓦礫は落下を始めていた。


空中で弾け飛んだ敵リーダーの装甲片が雨のように舞い、その下ではドーム天井の一部が、まるごと崩壊して落ちてくる。


 


「シェラ!」


 


ライサが叫び、視線の先には、地面に膝をついたまま動けないシェラの姿があった。


先ほどの打ち上げと魔力消費で、既にマナは底をつき、筋肉の反応も鈍っている。


 


「っく……これ、避けるのは……無理かも……」


 


顔をしかめながら、シェラは上空を見上げた。


その瞳に映るのは、降ってくる巨大な瓦礫。


 


「下がって!」


 


ライサが即座に判断し、左手を前へと差し出す。


残された魔力の全てを、一点に凝縮してユニコの角へと流し込む。


 


「お願い……ッ!!」


 


紫電が疾る。


ユニコの角から放たれた高エネルギーが、一瞬だけ空を裂き、落下中の瓦礫へと巻き付いた。


 


直後、雷撃が炸裂。


その衝撃で瓦礫の軌道が逸れ、シェラの頭上からわずかに外れる。


 


「間一髪、ってやつ……」


 


シェラが地面に背をつけたまま、ふっと息を吐いて笑う。


 


その直後。ドームの反対側、まだ崩れていなかった一角で、何かが“ぽこん”と弾けた。


……何か、丸いものが、地面を転がっている。


 


「……アレッタ……?」


 


ライサが目を細める。


その丸い物体の外殻が、パキンと音を立てて割れた。


中から、ニワトリのフードを被ったアレッタが、のそのそと這い出てくる。


 


「へっへー……こっこちゃんの卵型シェルター、やっぱ最強ぅ~!」


 


「……ほんとにもう、あんたって子は……」


 


ライサが額に手を当てる。だが、その口調は呆れよりも安堵が強かった。


 


「だってさー、瓦礫、絶対ヤバかったし! あれ、リーダーの爆発だけじゃなくて、ライサの雷も混ざってたでしょ?」


 


「……ええ、そりゃもう最大出力で行ったからね。感電死しなかっただけ、感謝してちょうだい」


 


アレッタは立ち上がりながら、にっこりと笑った。


その表情は、いつもの“おバカ”な笑み――に、ほんの少しだけ、誇らしさが混じっていた。


 


「こっこちゃん、ありがとー!」


 


「ふむ、我が主に死角はない。まあ、一人用なのだが」


 


ニワトリの精霊が、どこからか再び姿を現して、誇らしげに胸を張る。


 


ライサは視線を少しずらし、地面に座り込んだままのシェラを見やった。


 


「シェラ、大丈夫?」


 


「マナ、ゼロ。筋肉、悲鳴。全身、ダルい。……でも、勝った気分はまあまあ最高」


 


「ふふっ、良い答え」


 


ライサがようやく鞭を下ろし、空を仰ぐ。


その先で、電子パネルが自動的に浮かび上がる。


 


――《模擬戦、終了。攻撃チームの勝利》


 


試合終了のブザーが、静かに会場に鳴り響く。


観戦していたギャラリーから、どよめきと拍手。


 


「……いやぁ、やっぱり派手な女三人ってのは、こういうとこで強いのかもねぇ」


 


「今のハルバードの使い方、見た!? あれ普通、審判止めるレベルでしょ……」


 


「アレッタの矢、フィールド貫通してたぞ!? あれ、マジで本気だしてた?」


 


様々な声が飛び交う中、


転送光が、三人の身体を包み込む。


 


フィールドが揺らぎ、瓦礫と埃に包まれた廃墟の光景が徐々に淡くなる。


 


試合は終わった。


だが、勝利の余韻は、しばらく三人の心の中で燃え続けていた。





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