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【第十三話 『破天荒の証明』】①

破天荒:ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。

    名前は、シェラ。太陽牡羊座月双子座。

    主人公のライバルチームの3人目のメンバー。

    性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。

    すさまじい運動神経を持っている。

    精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。

    通常時は、爆発ハンマーと爆発ハチェットで戦う。

    本気になると、両手持ちのリボルバーハルバードになる。

お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。

    主人公のライバルチームのリーダー。

    防御手段は、雷幕結界。近接すれば近接するほど相手は大ダメージ。

    長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。

    相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ

    精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。

幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。

    主人公のライバルチームのメンバー。

    アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的。

    武器は大弓、防御手段は高硬度の卵型のシェルターを使う。

    高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。

    陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。

    口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。




◆模擬戦直前――控室にて(雷撃を封じる提案)

控室の空気は、わずかに張り詰めていた。


電子パネルには、今日の模擬戦カードが浮かんでいる。


本日はキャンセルが出たため、ライサたちは運よく最終枠で急遽模擬戦をすることになったようだ。


 


【模擬戦最終枠:女子三人 vs 模擬戦登録枠チーム】


廃墟フィールド。形式は3on3の制圧型。


制限時間は15分。制圧点のコントロール、または敵チームの全滅が勝利条件。


 


転送装置の起動準備音が、空間の隅でかすかに唸っていた。


 


「さて……準備はいいかしら」


 


ライサが言う。


その手には、いつも通り――雷の鞭……ではなく、彼女の精霊・ユニコの角に莫大なマナを供給していた。


左手で一度、長いウェーブの髪を後ろへとかし上げる。


指先の動きはあくまで優雅で、それでいて、戦闘前の集中を始める合図のようでもある。


 


「では、開幕は私の雷で――」


 


「ストップストップ!」


 


乾いた声が跳ねるように入る。シェラだった。


制服の上に重ねたアバターの装甲が、微かに振動していた。


その両手には――左手のハチェットと、右手にハンマー。


それらを軽く持ち直しながら、彼女は口角を上げる。


 


「今日はさ――その“ドッカーン開幕”、ちょっとナシにしない?」


 


「は?」


 


ライサが眉を動かす前に、もう一人の声が続いた。


 


「うんうん! わたしも今日は、ちょっと試したいことあるから、ちょうどいいかも!」


 


アレッタが言いながら、ニワトリのとさか付きフードを深く被る。


その表情は、いつもの緩さと楽しさが混ざった笑み。


けれど、瞳の奥にはちゃんと“戦う顔”が宿っていた。


 


「……理由を聞かせてちょうだい」


 


ライサの声が少しだけ低くなる。


その場に、ピリッとした雷の匂いが走った。


だが、シェラは構わず、くいっとハチェットの柄を指で弾く。


音が金属のように高く、乾いて響いた。


 


「そっちが“制圧で勝ちに行く”ってんならいいけどさ。あたしは――今日は、この子たちで暴れに来たんだよ」


 


彼女は言う。


右手に爆発系の片手ハンマー、左手にも刃付きのハチェット。


その武器構成が、彼女の“言葉より正直な主張”だった。


 


「まあ、つまりは“仕掛け”があるってこと?」


 


ライサが訊ねると、今度はアレッタが手を上げた。


 


「ライサだってあるでしょ? ちょっと“違う形”でやってみたいこと」


 


その言葉に、ライサの瞳がわずかに揺れる。


髪を整えた手をゆっくりと引き、腰元に添える。


 


「……まあ、言葉にせずとも見透かされている気分ね」


 


彼女の口元に、うっすらと笑みが浮かんだ。


 


「いいでしょう。確かに――今日は“試すには最適な相手”ですもの」


 


「んじゃ、決まりね!」


 


シェラが、ハンマーでハチェットを軽く叩く。


 


「開幕雷はナシ。いきなり制圧なんかしないで――今日は派手に遊ぼうぜ」


 


アレッタが軽く跳ねるように前に出る。


 


「“羽伸ばしていこー!”って感じだね!」


 


「そういう雑な言い方はやめてちょうだい」


 


ライサが一応たしなめるが、声には毒はなかった。


 


「ただし。今日は“練度を見る試合”よ。勝敗より、内容を見極める」


 


「そっちのほうが燃えるわ」


 


シェラがニッと笑って言い、肩の上の白猫・しろっこが「キャッ」と小さく鳴いた。


まるで、戦闘前の“ゴング”だった。


 


アレッタは自分の胸元をぽんと軽く叩き、ニワトリのこっこちゃんがそこからくちばしを覗かせる。


 


「主よ、よかろう。またそれも一興。」


 


「こっこちゃんも準備オッケーだって」


 


「……じゃあ、見せてもらいましょうか。“貴女の戦い方”を」


 


ライサが静かに言う。


その瞳には、挑発でも好奇でもない、“同盟者としての真剣さ”が宿っていた。


 


シェラはハチェットを肩に担ぎ、軽く指を立てる。


 


「初めて見るなら、目、離すなよ。あたし――舞台の上じゃ、ちゃんと魅せるタイプだから」


 


その言葉に、アレッタが「かっこいー」と肩をすくめる。


ライサはそれには応じず、ただ一歩、転送装置の中心に足を踏み入れた。


光が、彼女たちの身体を包み込む。


 


廃墟フィールド。


誰も知らない三人目の戦いが、今――幕を上げる。


 


 


◆戦闘開始


 


転送が終わると、そこは風の止まった都市の残骸だった。


崩れたビルの谷間に、人工照明の青白さがほのかに残る。


砂埃が舞う中で、三人の影が静かに輪郭を持ち始める。


 


「攻撃サイド……制圧エリアは中心広場、か」


 


ライサが地形を一瞥しながら呟く。


その眼差しは冷静そのもので、すでに最短ルートと制圧ルールを頭に入れていた。


 


が――


 


「じゃ、軽く行ってくる! あとよろしく!」


 


軽く声を張ったのは、シェラだった。


転送直後、彼女はもう身体を前方へと滑らせていた。


靴から爆発を上手に噴射しながら軽く地を蹴り、瓦礫の上を跳ねるように走っていく。


右手にハンマー、左手にハチェット。


火薬噴射の小さな爆風が、彼女の足元でパッと花火のように弾ける。


 


「ちょ、もう!? いきなり?!」


 


アレッタが目を丸くしながら、ニワトリのフードを深くかぶり直す。


肩元でこっこちゃんが「……ふむ、元気よのう」とぼやいた。


 


「前線確認も……連携も……初動フェイントも何もナシですか……」


 


ライサが額に手をやりながら小さく嘆息する。


 


だが、すぐに口元を引き締め、鞭の柄に指をかけると、


 


「とはいえ、あの速さで突っ込まれたら――敵も前傾姿勢になる。好都合ではあるわ」


 


「ん、回り込む?」


 


「当然。正面の敵がシェラを止めようとするなら、背後が甘くなるのは戦術の基本」


 


「えー、でも、さっき“数的不利は各個撃破されるリスク”とか言ってなかったっけ?」


 


「……言ったけれど、“なんとかなる”とも言ったわ」


 


ライサの口調には、呆れと期待がないまぜになっていた。


 


「まあ、アレッタ。どうせあなた、射線が通ってないから後から着いていっても狙撃できないでしょう?」


 


「……まあね」


 


ニワトリのフードの奥で、アレッタがニッと笑う。


 


「強ポジ探しながら、いい感じの斜線、通しとくね!」


 


二人はすでに、防衛エリアの裏手への移動に着手していた。


 


一方そのころ――


 


シェラは、すでに開けた通路を爆風と跳躍で次々と突破しながら、防衛エリア正面へと接近していた。


ハンマーの柄を軽く打ち直しながら、風を切って笑う。


 


「さーて。お手並み拝見ってヤツ、始めようか」


 


爆風一閃。


音速のごとく前線に切り込む姿は、まるで戦場に舞い降りた火花のようだった。


◆天井破壊+奇襲突入(続き)


 


ドーム状に展開された防衛エリアは、廃墟フィールドの中央にそびえる灰色の人工建築だった。


かつて観測ステーションとして機能していた建造物の名残は、外壁のシールドプレートと入り口の厚いガードバリアに象徴されている。


周囲は瓦礫で囲まれ、侵入経路は前面の狭い通路のみ――通常であれば。


 


だが、シェラの行動原理は、常に「通常」の外側にある。


 


「……じゃ、上から行くか」


 


そうつぶやくと、彼女は爆発系のブースターを靴の底から短く噴射。


次いで、まるで猫のように空中で両足を閉じるようにしてハンマーを足場にマナ噴射し、反動でさらに上昇する。


ドームの天井へ向けて、煙すら出ない静かな跳躍。


 


再度ハンマーを具現化し回収。


そのまま、彼女の姿は音もなく屋根の傾斜にしがみつく。


 


瓦礫の影と光の反射の間に溶け込んだその身体は、まるで空気の一部になったかのようだった。


 


天井の継ぎ目に指をかけ、小さく息を吐く。


 


「……いた」


 


シェラの視線の先、天井の格子越しに見えたのは――三人の敵。


ドーム内中央に、鎧を纏った屈強なリーダーが立つ。


その背後、やや控えるようにして、もう一人。


 


両手を広げて淡く魔力を展開中のその姿は――バッファー。


マントの紋章、手のひらの魔法陣、味方へと伸びる光糸。すべてが「支援役」であることを告げていた。


 


(こいつからだな)


 


ごく小さく笑ったその瞬間、ハチェットにマナが宿る。


反対の手にはハンマー。


両者の柄に魔力が集まり、青白い光が滲む。


 


そして、次の刹那――


 


「――――っ!!」


 


両手を交差して天井を爆破。


天井が一部、内側へ向けて音を立てて崩れ落ちる。


爆風の中を、シェラの身体が回転しながら矢のように落下していく。


 


「なっ――上!?」


 


敵側が気づいたときにはもう遅い。


空中から放たれるハチェットが、展開中の防御魔法を一枚だけ貼ったバッファーの肩口に突き立つ。


爆発。マナのバリアが即座に破壊され、爆風が魔力を削り取る。


 


続けざまに、ハンマーが腹部へ振り下ろされ――接触爆発。


バッファーの身体が軽く跳ね、吹き飛ばされて床に転がった。


 


「うっ……! ぐ、はっ……!」


 


魔力の糸がぷつりと切れ、展開しかけていた支援魔法が霧散する。


ローブの裾から、青白い光が断続的に漏れ、マナの制御が不能に近づいている証を示す。


 


(マナ漏れ開始――よし、次)


 


シェラは両足を柔らかく畳み、床に着地。


ドーム中央、三人の敵の真ん中に降り立ったその姿は、まさに火薬の舞姫。


 


バッファーは呻きながら倒れ込んでおり、すでに戦線復帰は不可能な状態。


リーダーと召喚型の補助要員――残る二人が警戒の構えを取る。


 


「うわ、派手に来たな……!」


 


召喚士の声が揺れ、魔法陣を展開する手が震える。


 


シェラはそれを片目で流し見た。


 


「こっからが本番だよ。お楽しみは――これから」


 


彼女の視線には、まだ余裕があった。


真に“本気”になるのは、これから。


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