第十六話 漆黒なる……
今回はかなり遅くなってしまいました。なるべく週一投稿にしたいのですがなかなか難しいですね。
座ってアリスの目覚めを幾分、幾時か待っていた。
それにしても洞窟の中というのは時間の感覚がなかなるものだ。
今どれくらい時が経ったかという感覚がだんだんと失せていくのが分かった。
そんなことを永遠と考えていたかったが、状況はそうはいかなかった。
アリスが目を覚さないから? 違う。
掌を覗いて見ると先程のサイクロプスとの戦いの最中でついた矢傷が残っていた。
遅い、遅すぎる。もうほとんど吸血鬼としての不死生というものが失われつつある。
その事に危機を感じながらじっととかを待つ。
今か今かとアリスを見つめて、手を伸ばして、手を手を伸ば、口を、伸ば……。
すると、アリスがみじろぎを始めた。
その光景を見て思わず胸を撫で下ろしてしまう。
しかし、油断は禁物だ。ここからアリスを生かしながら先に進まなくてはならない。
ならば、アリスよりも強い俺がアリスを守らなければならない。
そういう契約であるしそういう義務が俺にはある。
そして、アリスは目を覚ました。
何度か瞬きをした後ハッとした表情でこちらを向く。
「そうだ! 先程の魔物は! 魔物はどうなりましたか?」
「魔物? あぁ、それなら俺が倒しておきましたよ。なんとも強い魔物でしたね」
と、一応だが付け足しておく瞬殺だったなんて言ったら疑われてしまうからな。
「そうですか、ならあの魔物がアレを……」
「あれ?」
そう言うとアリスが後ろを指差すのでそちらの方へ向く。
するとそこには外壁が崩れ先へ進む道が塞がれていた。
「あそこにあの魔物の矢が落ちています。それにしてもまさかここまでとは思いませんでした。私達は命を拾えただけでも幸運でしたね」
「あぁ、」
やっべぇ先進めないじゃん。あの矢って俺が投げたやつじゃね? あれ? って事は俺のせい?
と、今になって重大な事実に気づいた。
こんな時は秘奥義責任転嫁を使う時だ。
あれはサイクロプスのせいサイクロプスのせい。
よし、自己洗脳完了!
「って、こんな暗い雰囲気になってしまいましたね」
アリスは自分の頬を平手で弾く。すると、甲高い音が洞窟内に響いた。
「よしっ! 気を取り直していきましょう!!」
それもそうか、こんな暗い話をしても仕方がない……か、確かにな。
「そうですね、それじゃあどうしますか? 引き返しますか?」
そう訊くとアリスは数瞬首を傾げた。
「せっかくここまで来たのですから進みましょうよ」
「それもそうですねでも、どうしますか?」
先へ進む道は落石で塞がれている。他に道は戻る他ないのだから。
また、俺との間に静寂が訪れてしまった。
一体どうしたものか、と深く深く考え込む。
「!? あ、あれ……」
唐突にアリスが声を震わせた。
一体どうしたのだろうか、アリスの指先が指し示す場所を見る。
すると、そこには小さな隙間があった。
だが、もともとあった道とは違く、崩れた所から垣間見いていた。
「行ってみましょう」
そうしてその隙間に近づくと。そこは人1人がやっと通れるくらいの小さな隙間だった。
アリスが先に入り、俺も後に続く。
するとそこには体育館程の大きな空間があった。
「ここは……」
周りを見渡すとある事に気づいた。
「あれは……剣?」
目を向けたその先には鞘のまま地面に突き刺さっていた禍々しい雰囲気を纏った黒い剣が。
何故だかその剣に惹きつけられる感覚があった。
その感覚に答えを出す前に剣に近づき、掴み取ろうと、
した途端唐突に剣が何者かの手に奪われた。
不意をつかれた事に驚き後ろに大きく飛ぶ。
剣を奪い取ったその相手、そいつの顔を覗く。
それはなんの変哲もない骸骨だった。
しかし、その骸骨が自分の意識を持って動いている。
「んなことありかよ……」
まあ今目の前で起きているのだからありなのだろう。
どちらにせよ、
「あの剣がなんなのか、この感覚がなんなのか、理解するためには取るしかない!」
「わかりました! まずは私が」
俺などの声に反応したのかわからないがまたしてもアリスが飛び出していってしまった。
「待て! アリス!」
言ったところで時すでに遅、またこれかよ。
今はそんなことを言っている場合ではない。
アリスが先走ったのなら、そのアリスを援護すれば良いだけだ。
「アリス! 左だ!」
アリスを左から回り込ませ、俺は右から回り込む。
そうして手刀を首筋に叩き込む。
「我⬛︎⬛︎⬛︎……汝……素質、を、みき、」
手刀が首に叩き込まれる寸前、骸骨は頭をポロリと外して回避する。
そうして、訳の分からないことを言ったかと思うと、アリスの腕を鷲掴みにした。
「汝、素質、な、な、ない。い、いいいい、要らない、排除……する」
排除などとおぞましいことを言い出すと同時に全身に悪寒が走った。
俺は感覚の赴くまま、骸骨の腕をへし折ってアリスを離脱させた。
そして、そのまま骸骨の方に向き直す。
「汝、素質、素質素質素質。あ、あああある、あるあるあるあるある! これで、我が、やくや、役、役目もおわ、終わる」
と、言ったと思うと骸骨は塵となって消えてしまった。
あの黒い剣を残して、
俺は残された剣の下へ向かう。
恐る恐る剣を掴む。もう骸骨が襲ってくるようなことはないようだった。
「な、何とかなりましたね、ハヤト様」
そう言うアリスの額には脂汗が滲んでいた。
恐らく、先のことが相当応えたのだろう。
「じゃあ、戻るとするか。洞窟もここで終点のようだし」
「それも、そうですね。ふぅ、こんなに疲れるものなのですね冒険というのは」
今回がかなり特別だったような気もするが、それは心の中に留めておく事にしよう。
来週分こそは早く投稿したいです! 頑張ります! 乞うご期待!




