第十五話 闇に光る
現在俺はアリスと待ち合わせをした洞窟へ向かった。
洞窟まではそれほど遠くなく10分足らずで着く事ができた。
あとはアリスが来るのを待つだけなのだが
「待ち合わせじゃなくて一緒にくれば良かったな……」
リチャードにアリスのことを任せているからこうして安心して洞窟へと辿り着く事ができた。
しかし、普通蝙蝠になる吸血鬼の従者など存在しないので、一般の人間を装うなら一緒に来た方がいいのだろう。
『ところでリチャード、そっちは大丈夫そうか?』
『ええ、なんとか大丈夫そうです。ただ、先程から同じ所を行ったり来たりしているのですが、』
完全に道に迷ってるじゃねぇか。
暗いとはいえどうして舗装されている道で迷うのだろうか。
『わかった。取り敢えずそっち行くよ』
そう言い、アリスを探す。
来た道を戻ってアリスを探していると何やら繋がりのようなものを感じ取った。
その繋がりを辿るとアリスを見つける事ができた。
良かった、見つかって。見つからなかったらテッドになんて言われるか……たまったもんじゃない。
アリスの下へと向かおうとすると、ふと思った。
俺はアリスを飛び越え、後ろからアリスの下へと向かう。
「あ、アリス様早いですね」
そうアリスの背に呼びかけるとすごい速度で振り向く。
「そ、そう? これから向かうつもりなのよ。ついさっき支度が終わったばかりだからあまり早くないと思うけど」
凄く戸惑っている。道に迷っていることを知られたくないのだろう。
それにして戸惑いすぎだ。俺がそのことを知っていなくとも気づけそうなくらいに。
と、そんなことは一旦置いておくとして。俺は来た道を戻って再び洞窟の前へと辿り着いた。
「これが洞窟というものですか」
そう言うアリスと一緒に眼前の洞窟を眺める。
所々蔦が絡まっていて、苔むしている。なんとも神秘的な雰囲気を漂わせていた。
まぁ、既に知っていたことだけれども。
「なんだか汚いですね」
「汚い!? 確かに汚いけど、」
だけど、もう少し何かあっただろ。
そんなアリスの感想を聞いて頭の中でずっこけてしまった。
「そんなことよりも、アリス様この洞窟は一体どんな所なのですか?」
「どうやら幾らか魔物が出るらしいですよ。あまり人が寄り付かないので本当かどうかわかりませんけど」
人が寄り付かないって、大丈夫なのだろうか。洞窟の中で魔物が溢れかえっているなんてオチは望んでないぞ。
まぁアリスの身分からしてその方が都合が良いのだろうけど。だが心配だ。
「そんな事訊いて一体なんになるんですか? ほら行きますよ」
そう言うとズカズカと洞窟の中に踏み込んで行った。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
なんだかいつもアリスと居ると調子が狂わされる気がする。
そんなこんなで洞窟の中へと這入った。
「さぁ、どんな魔物に出会えるのか楽しみですねハヤト様!」
「そうですかねぇ……」
魔物とかいう生物にはなかなか会いたくないとは思うのだが。
そんなやり取りをしながら十数分進んだが魔物は一向に現れなかった。
「あれ? おかしいですね。あまり人が来ないからいっぱい居るものだと思ったんですけど」
おかしい。確かにおかしい何故こんなに魔物がいて一体も現れないのだろうか。
まさか、俺の体質が。弱い魔物を寄せ付けないこの体質のせいで……
そんな時だった。一つの気配が動き出す。
岩を砕くような音がした後に大きな足音が聞こえる。
俺は咄嗟に身構えた。
「やっとですか、やっと出てきてくれましたか。まったくまたくたびれたわ」
やれやれといった雰囲気でゆっくりと剣を構えた。
恐らくこの敵が弱いと踏んでいらのだろう。
しかし、俺がいながら現れるということはそれなりに強い可能性が高い。
しかし、その事をどうやってアリスに伝えれば良いんだ?
そう考えているうちに魔物が姿を現していた。
単眼に大きな身体一本の角を持っている。それぞまさしくサイクロプスといった感じだったが左手には大きなボウガンのようなもの。
右手に盾を持っていた。
頓珍漢な装備に疑問が尽きないが、そんな事はどうでも良い。と、その考えを押し殺す。
そうしてサイクロプスを見つめ直し、
「先ずは私から行きますね」
「待て! 早まるな!」
言った頃にはもう遅くアリスはサイクロプスに攻撃を仕掛けていた。
まさか、アリスのせっかちな性格がこんな所で裏目に出るとは思わなかった。
アリスは胸の前に構えていた剣を左の腰辺りに構える。
サイクロプスがそれに反応して矢を放つが上体を反らしてギリギリで回避する。
すると、回転をしてその遠心力を利用してサイクロプスに切り込んだ。
しかし、その一撃を盾で防ぐとそのままアリスを吹き飛ばす。
アリスは強烈に岩壁に叩きつけられる。
「ゲホッ、ゲホッ」
口に手を当てると口から吐瀉物を吐き出した。
相当な衝撃だったのだろう。アリスはまだ立たないままでいた。
そしてサイクロプスは不敵な笑みを浮かべる。
ふと、ボウガンを再装填していることに気がついた。
「くっ!」
サイクロプスが矢を放つ刹那、俺はアリスの下へと駆けた。
瞬きも許さない程の速度で駆ける。
そして、矢がアリスへと到達する半ば程で掴み握り潰した。
その事を信じられないようにサイクロプスが見つめている。
俺はサイクロプスの方に向き直し
「おい、一つ目。俺に会って生きてられると思うなよ」
そう言い放つと同時に目で、腕で、脚で、体の全ての部位で、サイクロプスを全力で威嚇する。
サイクロプスは体を震わせ硬直した。
俺はその刹那を狙った。
一瞬でサイクロプスの下へと行く。サイクロプスはそれに反応して盾とボウガンを持った左腕で身体を守った。
しかし、俺は腕と盾の隙間を射るように右腕を差し込み、喉元へと突き刺す。
サイクロプスの身体を蹴り飛ばし宙返りをして後方に着地する。
サイクロプスは脚がおぼつかず千鳥足になっていた。
そしてボウガンをこちらに向けて矢を射る。
初撃を右手で弾くと右肩あたりにある矢筒から口で器用に装填して放ってきた。
俺は矢を鷲掴みにし、そのままサイクロプスへと投じる。
矢はサイクロプスの頭を裂くように突き抜け後ろの壁を崩した。
サイクロプスの頭から様々なものが次々と飛び出し最終的に倒れて息をしなくなった。
俺は倒した事を確認するとアリスの下へと急ぐ。
「アリス! 大丈夫か!」
しかし、返答は無かった。が、脈はあり胸が上下しているのを確認できたので気を失っているだけだと確信し安心する。
そしてそのまま束の間の休息に入った。
想像力不足と文章構成能力不足で短くなってしまいました。なんとかしたいものですねこれは。
ま、そんな事はさておき、これからも応援や誤字報告よろしくお願いします。




