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2機目 原因②

 約束の時間まで残り1分。ここから隣の喫茶店までは窓から飛び降りて急いで呼びに行っても往復に3分以上はかかる。

 呼び戻せないのなら、()()()()()()ようにすればいい。

 そう考えた俺は急いで旅人にメッセージを送る。

 送信が終わるとほぼ同時に事務所のベルが鳴った。


「はじめまして、神武重工株式会社の中村です」


 扉を開けると、今風のさわやか系の男が──


「って、え、琢磨?」

「そうだよ、一騎久しぶり~」


 人事の人が来るとは聞いていたが、まさか高校時代の友達が来るとは思っていなかった。

 中村琢磨。俺や旅人と同じ高校出身で、高校時代は一緒にゲームを作ったりしていた。


「海外の大学に行ったっきりだから」

「この3人で集まるのも7年ぶりになるんだよな~」

「ん、3人? 旅人はたしか・・・・・・」


 隣の喫茶店にいる。そう言おうとしたら、琢磨の後ろから旅人が出てきた。


「俺ならここにいるよ。ったく、呼びに来るって言ったのはどうなったんだよ」

「ごめん、完全に忘れて時間になってた。てか、2人とも一緒に来た感じ?」


「ああ、旅人とは隣の喫茶店で会ってさ。いやあ、まさか2人が起業して、しかも俺が入社して最初の仕事がこれだとは思わなかったよ」

「それはこっちも同じだよ。ああ、立ち話もなんだしまあ入れよ」


 雑居ビルのワンフロア、狭い社内だが、一応応接室は作ってある。

 そこでようやく旅人がスマホを置いていっていたことに気が付いた。もし、来ていたのが琢磨でなく、話しているときに帰ってきていたらと思うと少しゾッとする。


「積もる話とかもあるけれども、今はお互い仕事中だしね。ビジネスの話を優先しようか」

「ああ」「そうだな」


 仕事の話をするからだろうか。今まで俺たちに見せたことがないような険しい顔つきをしながら、琢磨は2つの資料を差し出してきた。


 1つ目の資料は、先日神武重工の説明会で見せてもらったパンフレットを詳しくしたようなものであった。参加企業になれば、他の傘下企業だけでなく、秋津洲グループの系列企業と気軽に業務提携やなどが結べる。そして、なんといっても最大の目玉は東亜連合の企業協定を結んでいる企業ともパイプができるということだ。

 特に、うちの会社のようないわゆるシステム屋にはこれはとても大きい。


 そして2つ目の資料。こちらは1つ目と違い少し分厚く、表紙に社外秘と大きく書かれている。


「え、これ見ちゃっても良いの?」


 開く前に旅人が琢磨に尋ねた。

 たしかに、社外秘と書かれているものを勝手に見るのは少しやばい気もする。


「でも、琢磨が出してきたってことは呼んでも良いんだよね?」

「ああ、むしろそっちが本編だ」

「お、おう」


 声のどこかに謎の緊張感が見え隠れする。旧友とはいえ、このような風な声で返されると思わず少し身構えてしまうが、気にせず資料に目を通した。


 中に書かれていたのは東亜連合とヨーロッパ連合、そしてM.G.A.Nの3大企業グループ、共産主義団体、イスラム原理主義団体の5つの勢力が各国相手に戦争を起こす計画、その足掛かりとなる協定が水面下で結ばれたということ。そしてその大まかな概要についてまとめられていた。


「琢磨、とりあえずこれだけ言わせてくれ。これから何が始まるんです?」

「第3次世界大戦だ。じゃなくて、いや、ネタじゃなくて本当にね」

「もしかして、俺がプレゼンした衛星機動兵器が原因だったりするのか?」

「ああ、その点については安心してほしい。第3次世界大戦を起こすのはもう決定事項(・・・・)なんだよ。問題はそこから先なんだ」


 そう言うと琢磨はまた別の書類を出してきた。


「俺から言えることはそんなにないけど、ここに俺が言いたいことはまとめてあるから見てほしい。それじゃあ、俺はこれで」


 書類の束を1つとUSBメモリーを机に置き、琢磨はそそくさと部屋から出て行こうとする。


「おい、ちょっと待てよ。第3次世界大戦ってなんだよ。問題ってなんなんだよ!」


 とっさに琢磨の腕をつかむ。大体の予想はついていたが、まさかこんなにも早く関わることになるとは思ってもいなかった。

 つかんだ琢磨の腕は震えており、顔もどこか青ざめている。


「あのな、一騎。俺が今やってるのは会社に対する反逆なんだ。うちの会社だけでなく、世界中の企業が政府をつぶして世界をつくりかえようとしている。それにお前らが巻き込まれるのは見たくないんだよ。このままだったら、衛星兵器は作られるだろう。そうしたら少なくとも運用に一騎たちが使われる。そこまではいい、もし何かがあればお前たちは宇宙の藻屑だ。そうでなくても戦後の戦犯として処刑されるんだよ」


「だから、俺らはお前が何を言っているのかが「それはあの書類とUSBにまとめてある。ああ、あと次の土曜日。うちの会社に来るように言えと上司に言われている。その場で今回の傘下企業になる話をけってくれ。俺はこれから会社にばれないように工作しないといけない。頼むから、断ってくれよ」


 それじゃあ、と言って琢磨は事務所を後にした。


「なあ、旅人。俺たちもしかしてやばいことに首を突っ込んじゃったのかな」

「いや、今さら後戻りなんてできないし。それに詳しくはあいつが置いていった土産(データ)を見てからにしよう」


 急に気が変わったようになった旧友が残していったUSBには5大グループの暗黙の協定。そして、第3次世界大戦の概要と目的が詳細に記されていた。これだけなら俺たちは信用しなかっただろう。彼はそういう人間だったから。

 だが、調印会議や実際のデータ。そして幹部にしか渡されていないとするIDとパスワード、それからログインしてみることができる東亜連合の極秘ファイル、それらすべてに目を通し終えた後、俺たちの考えは変わった。


「なあ、一騎。次の土曜日まであと何日だっけ?」

「あと3日後だけど……。旅人、これから何をする?」

「とりあえず、作戦会議といこうじゃないか」

次回以降、毎週日曜日更新にする予定です


面白そうだなと思っていただけたら、迷わずブクマ等で支援してくださるとうれしいです

処女作ですので、誤字等つたないところはあると思いますが、感想等で教えてください

これからもよろしくお願いします!

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