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1機目 原因①

「……い。お……い。おい、リョート!」

「んあ~、した?」


 俺の名前は伏見(ふしみ)一騎(かずき)。ベンチャー企業『EternalRice』の社長をやっている。

そして、さっきまでソファでミノムシになっていたこいつは清水旅人。俺の会社で開発部長をさせている。

させているって言っても、2人だけの会社だから、お互い名ばかりと言えば名ばかりなのだけれど。


神武(じんむ)の傘下に入ることになったぞ!」

「は? マジで? あの神武重工?」

「そうだよ、秋津洲グループの神武重工だよ!」

「なんでまたこんなわけのわからんベンチャー企業と?」


 旅人の気持ちも分からなくもない。

 正直、話を取り付けてきたおれですらまだ信じられていない。


 東アジアのあらゆる物流を完全に支配しているといわれる国際企業グループ『東亜連合』。そこに唯一所属している日本企業グループ『秋津洲(あきつしま)グループ』の根幹を担っていると一定も過言ではない超巨大企業。それこそが神武重工なのだ。


 神武重工の技術力は、その点においてだけならアメリカの『M.G.A.N.(ムゲン)』と呼ばれる四大企業と同等、もしくはそれ以上と呼ばれている。

 島国ならではのガラパゴス化だけでは説明できず、陰謀論者たちの間では別世界とつながっているといわれるほどだ。


 そんなところの傘下に入れるのだ。

 もう一度言おう、信じられない。


 社員は社長の俺を含めて2人。仕事場は雑居ビルの一角。しかも事業内容と言えばゲームやアプリ開発。そして、宇宙開発事業にてをだす”予定”だけ。

 とはいえ、独特の世界観を持っている旅人のおかげでどのゲームもかなりの売り上げを出せている。

 そして、俺が神武重工の傘下になるためにもっていったのは旅人が書いた新兵器とその設計図案。


 宇宙開発事業もやらないとなあ~、とか言っていた時に突然渡されたから何の冗談かとは思っていた。けど、旅人が書いただけはあって現実的かつほぼ実現可能なものになっていた。


 そんなときにちょうど神武重工へプレゼンのチャンスが回ってきた。時間も案も特になかった俺は迷うことなく旅人の案をもとに「衛星軌道上における兵器の有用性及びその設計案」を基にプレゼンし──


「結果、傘下に入れることになったと。いやいやいや、あれ酔った勢いで書いた落書きだぞ。それをおまっ、ほんと、よくそこまでもっていったよな」

「だろ~。で、今日の13時から向こうの社員さんが来るから」

「あー、つまりちゃんとした資料を作ればいいのか?」

「いや違う、片づけな」


 えー、と言いながらまた掛布団に顔をうずめる旅人から掛布団をはぎ取り、代わりに市指定の空き缶空き瓶回収の箱を渡す。


「あと1時間くらいしかないんだから、ゴミだけでもさっさとまとめとくぞ」


 事務所兼、キッチン兼、リビング兼、作業場のため、足元には書きなぐった後のメモや空き缶空き瓶が散乱している。


「ここの地区って、アルミとスチールって分けなくて良いんだっけ?」

「あー、たしかそうだったと思うけど……。あー、間違ってたらめんどくさいから念のために分けといて」


 なんだかんだ話しながら掃除の手を進め、斑時間後には部屋は見違えるようになっていた。


「これをシュレッダーにかけたら終わりだよな? 寝起きで腹減ってるから、隣の喫茶店行ってくるわ。時間になったら呼びに来てくれ」

「りょーかい。ああ、そうだ」

「ん、どした?」


「落書きだったとはいえさ、勝手に持っていってごめんな。でも、おかげでこの会社も1年足らずで大きくするめどが立ったよ」


「ああ、そんなこと気にするなって。むしろあれで話をつけてきたお前がすごいんだから。そんなことより、このツケはいつか返してもらうからな。具体的には次の夏コミ3日目一緒に回れ」


おかげで冬コミの原稿作り直しじゃん、とぼやきながら旅人は事務所から出ていった。


「まじかー、3日目臭いきついから嫌なんだよなあ」


 そうこうしながら、時間までの間に今日使うかもしれない資料とかを作り直しながら、同じ時期に神武重工の傘下に入った会社の株価と実績リストに目を通す。


 前々回から徐々に軍需関連の企業が増えてきており、今回に至ってはうち以外は海上関係か軍需関係しかない。うちが採用されたのも恐らくは衛星機動”兵器”をプレゼンしてきたからだろう。俺自身が過去に中二病をこじらせて政府のシステムをハッキングして捕まった、というのも関係しているのかもしれない。


「でもまあ、そんなことないよな~。考えすぎだよな、ははは」


 だけど、もし──

 気にすればどんどん気になってしまう。

 もし仮に戦争をするとしたらどうなる?


 東亜連合の経営理念はWW2時代の日本が掲げていた『大東亜共栄圏』がもとになっている。だから、もしやるなら東亜連合軍VSアメリカだろう。


 まあ、核兵器とかで圧倒されてすぐにおわ──いや、東亜連合にシンガーポールのほうにたしか対サイバー犯罪に特化した会社があったはず。

 今の核兵器は昔と違って、衛星の補正を受けて必中させるものしか残存していないから、サイバー攻撃をかけて制御を奪えるからアメリカ……というか、その気になれば世界中の核兵器を完全に無力化させることができて、核兵器を使える軍はないものとして考えられるのか。


 M.G.A.Nはアメリカ企業の癖にアメリカ政府と敵対関係にあるから、きっと攻めては来ないだろう。いや逆か。アジア市場はほぼ奪うこともできるから、手を組んで東亜連合をつぶす可能性もあるんだよな。


 そんなことに思考を巡らせていると、約束の時間になった。


「なったな……じゃないな、やっべ、旅人呼びに行くの忘れてた!」

面白そうだなと思っていただけたら、迷わずブクマ等で支援してくださるとうれしいです

処女作ですので、つたないところはあると思いますので感想等で教えてください

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