第9話 初めての戦闘
セリム商会から出て街から出る門へ向かう。
「なぁ、戦闘になる前に聞いておきたいんだが
お前さんのスキルは何だ?」
「空間操作と錬成、隠蔽がFランク
魔力弾と鑑定がEランク
翻訳がAランク」
「戦闘向きのスキルがねぇな」
スキルは隠しておくのがいいかとも思ったがランク低いし
この世界のこと知らないし教えても大した問題はないだろう。
「空間操作だが俺のパーティーメンバーが言ってたんだが
異空間収納に上限以上にに空気を入れ続けたら
Dランクまで上がったらしいぞ」
「そんな情報教えていいものなのか?」
「なーにスキルのランクアップなんてたまにある。
ただ、なんでその行為でランクが上がるかは
解明されてないがな」
スキルランクを上げるのはこの世界の住人も普通にしているらしい。
「スキルランクを上げる方法は2種類。
そのスキルのランクアップにあった特定の行動をする。
もう1つがダンジョンで手に入るスキルの書を
使うことだ」
「スキルの書?」
「ああ、スキルの書ってのは
ものすごい莫大な種類がある。
例えばお前さんの《空間操作》で例えるが
《空間操作》を持ってないやつは
《空間操作Fランク》の書ってやつでスキルを取得して
《空間操作》のE~Sランクの書でスキル上げをする。
お前さんはFランクを持ってるから
E以上のスキルの書を
手に入れられればそのランクに
見合ったランクに上がる」
「スキルの書は簡単に手に入るのか?」
「ダンジョンの最深部でボスを倒して
その先にある宝箱に確定1つ入ってる。
が、何のスキルでどのランクかはランダムだ」
そう簡単にはいかないらしい。
そうこうしている内に門についた。
「今から依頼か?」
「ああ」
「気をつけろよ」
ユントにギルドカードを見せて街から出た。
「スライムはその辺の草むらとかに隠れているから
後でいいとして問題はオークだな」
「何が問題なんだ?」
「少し森の奥まで入らないといけないから
めんどくさいだけだ」
あんたがこの依頼持ってきたんだろ!
と思ったが言わないでおこう。
そのまま帰るわけにもいかないので森の奥に進む。
するとすぐにオークが見えてきた。その数2体。
ちょうどいい数いて探す手間が省けそうだ。
「ちなみに戦闘経験は?」
「あるわけねーだろ」
「なら俺が足止めするからこっそり後ろから
近づいて斬りかかれ」
そう言ってジイドは駆け出していった。
俺はどうしようか。せっかくだし隠蔽スキルを自分にかけてみよう。
よし、オーク2体の背後に回り込めた。
目の前でジイドがオークの振り回す棍棒を器用に躱している。今のうちに斬ってしまおう。
剣を抜き、上段に構える。
そして上段から一気に振り下ろす!
……あれ?頭を狙ったのに肩に刺さった。
そう、刺さってしまったのだ。
「馬鹿野郎!早く下がれ!」
剣の刺さったオークが振り向きながら棍棒を横薙ぎに払ってくる。思わず剣を放してしゃがむ。
頭上ギリギリをブン!と棍棒が通り過ぎる。
武器がなくなってしまった。
しかしオークは棍棒で追撃をしてくる。
避ける避ける避ける。
俺は危うい動きで避け続ける。いつまでも避けられそうにはない。そろそろ打開しなければ。
考えろ、考えろ。
ジイドはこっちをみてニヤニヤしている。
あの野郎覚えてやがれ。
そして、俺は武器を失った。戦闘向きのスキルは魔力弾のみ。
持ち物は下級ポーション2種、ポーチ、水筒。
………水筒?そういえば異空間収納に水が入れっぱなしだ。
だがポーチ1つ分の水でオークをどうこうできそうもない。
待てよ?錬成スキルで水を氷にしてオークの頭に落としたら気絶したりしないだろうか?
打つ手もないし試してみよう。
異空間収納に手を突っ込む。そして、全てを氷に変換。
よし!うまくいった!
狙いを定めてオークの頭上に異空間収納の穴を出現させる。
そのまま氷が重力に従って落ちてくる。
――――――ゴン!
氷はオークの頭に直撃し真っ二つに割れた。
オークは頭を抱えてうずくまる。相当痛かったらしい。
だがゆっくりしてはいられない。
オークに飛び乗り剣を握り思いっきり引っこ抜いて首めがけて振り下ろす。
―――――ザシュッ
首は落ちなかったが太い血管は切れたようで大量の血が吹き出す。
ジイドは何をしているかと思ったらオークはとっくに倒していたようで
オークの下に腰掛けてこちらをニヤニヤと見ていた。
「いやーエグい倒し方するねー」
腹が立ってきた。
落ちている氷を1つ手に取り異空間収納の取り出し口を手元に1つ作る。そして半分ほど穴に入れジイドの頭上にも取り出し口を1つ作る。するとジイドの頭上に氷が出現した。
俺が氷を上下させるとジイドの頭上の氷もそれに合わせて上下した。
「今頃になって恐怖心がでてきたなー
体が震えて力が抜けそうだなー」
ジイドは最初俺が何をしているか理解できていないようだったが氷が溶け始め、頭に雫が落ちたことで理解した。
「すまなかった、落ち着いて話をしようじゃないか」
ジイドの頭上の氷を少し出したまま異空間収納の穴を閉じる。すると氷が切断され、取り残された氷がジイドに落ちた。
―――――コツンッ
「いった!」
「次やったらオークと同じ末路を辿らせてやる」
こうして俺の初めての戦闘は幕を閉じた。
「復讐要素出てこねぇじゃねぇか!」
とお思いの方が大半だと思いますがすみません、復讐要素は1章の終盤からです。
主人公がこの世界に馴染んでから復讐は絡んできます。




