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『うちの勇者がすいません。』「魔王退治?視聴者?知らんな!」~詩忍にくちなし~  作者: ふるなゆ☆


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壱漆伍、人魔終焉戦争、参

「これで魔族四天王を一人撃破。残すは三人だね。」


「あ、僕が一人やつつけたから残りは二人かも。」


「おっ。そうか。それはいいね!」



 戦争は佳境へ。

 終わりが近づいているのが分かる。つまり、そろそろ僕らは——



「俺はカゲトを追っていく。また、魔王城で会おう。」



 ワムはそのままカゲトが進んだ方向に向かって走っていった。



 取り残された僕は、魔王城へと向かうことにした。



 行く手を阻む魔族。



【爆発】



 爆発を起こして、魔族を一掃していく。


【爆炎】


 炎を出して、行く手を遮る草諸共、炎で消し去った。



 行き来しやすくなった道を進んでいく。



◆



 緑の階段を進み、自然のアスレチックを突破した。


 残すは魔王城へと続く石段の階段のみ。



「ようやく来たのぅ。」

「待っていましたよ。」


 エポンとデイルタがそこに座っていた。


「待たせてすみません。」


「気にするでない」と返される。



 今度は頭上からネヌが空を移動してきた。念力で浮いているのだろう。そのまま石段に降りる。


「やっぱり夫婦だねー。到着が一緒!」


 そんなことを言うネヌに対して、デイルタは苦笑いを浮かべながら、

「ずっと前から待ち伏せていたの見えてましたけど……」と小さく呟く。


「うるさい!」と小さく返していた。



 僕は階段を数段だけ上った。



 その時、ワムが遅れてやってきた。



「遅れて、申し訳ないね。大切な門下生との別れの挨拶を済ましてきた。これで俺も準備は整ったよ。」



 ワムも石段へと上る。



「ウチのヘイムが一人、俺らで協力してさらに一人の魔族四天王を殺した。しめて……」


「四人全員倒したってことだね。じゃあ、残すは——」



 魔王のみ。



 目の前に聳(そび)え立つ巨大な魔王城。

 白漆で塗られた壁は美しい景観している。まさに新しく建てられた城にさえ見える。

 その巨大さが見るものを圧倒させる。


 人間側にある古都の城と真っ向から対抗できる程の立派さだった。



 石段の上にいる僕ら五人。

 僕、エポン、ネヌ、デイルタ、ワム。


「覚悟はできてる?」


「もちろんじゃよ。」「うん。もちろん。」「ええ、そのために来てますから。」「同じく。」


「じゃあ、行こうか——。」

 

 魔王城へも向かって進んでいった。



◆



 向かうもの……敵なし。


 すれ違い襲ってくる魔族はみな僕らの手によって倒した。



 そのまま三階にある魔王の部屋へと難なくたどり着いた。



 奥にある椅子へと座る魔王。

 その巨体は見るものを圧倒する。



「よく来たな。まさか我が部下共を滅ぼしにかかるとはな……。だが、我を殺せば、この世界は滅ぶ。それでも尚、立ち向かうというのだろう。なら、我が直々に相手してやろう。全てを破壊し尽くしてやろう。」



 魔王が椅子から立ち上がりこちらへと近づいてきた。


 真ん中に立つ僕と真正面で目と目があう。



「向こうの世界にいた二人がいて、お互いに敵対してたのは知ってるよね?」


「何の話だ?」


「"近藤孝太郎"は分かるよね?」


「当然だ。」


「もう一人——"りりりりり"って人もいたんだ。僕は彼の仲間として一緒に孝太郎とも敵対した。驚くかも知れないけど、一応一番最初は孝太郎とも仲間だったんだよ。」


 懐かしみに耽りながらも、僕と魔王が対峙し合う。


【念力】


 ネヌは浮いて、魔王の斜め後ろ側に移動した。



「"りりりりり"さんと孝太郎は戦いもしたけど、最終決戦では直接戦うことはなかったんだ……。"りりりりり"さんは自分から死を選んで、勝つことに託したから。」



 エポンとデイルタが魔王を挟むように壁際へと移動する。



「何が言いたい?」



「"りりりりり"さんの光り輝く玉『天使の勇気』を持つ僕と、近藤孝太郎の光り輝く玉『神の知恵』を持つ魔王。僕らは彼らの代わりとなる存在。奇しくも、似たようなことが起きるみたいだ。」



【ワープ】



 ワムが魔王の斜め後ろへと移動した。


 そして、僕らは不思議な道具を取り出した。



 僕らを結ぶ床に現れた線。それが星型を表し、魔王をその中へと閉じ込める。



「僕と仲間の死と引き換えに、魔王……あなたを封印する。これが僕の決断で、僕達の覚悟だよ。」



「なぜ、動けん。何が起きてるのだ!」



「『透明な梔子(くちなし)』って分かるよね?」


「神に捧げてきたのか。」


「その通り。魔王を封印する代わりに、僕ら五人も同様に封印される。その条件でね。」



 星型の線が浮き出た。


 不思議なオーラが周りに充満していく。



「戦わずして、僕は君に勝つ。」


「ふざけるなぁ!」


「さよなら——。」



 "封印"——!



 不思議な力が部屋目一杯に広がった。



 魔王の体が足から順に石に変わっていく。



「まだだ。まだ終わらせない。」



【シールド】——聖譚曲(オラトリオ)



 石が胴体、腕へと広がり、ついには全体を包み込んだ。



 魔王は石となった。——封印されたのだ。



 道具が光の粉となって消えた。

 僕らはまだ何事もなく立っている。



「僕達は何事もなかったのかな——?」


「いや、そうでもないみたいだよ。」



 ワムが手を前に出した。指の当たりが徐々に石になってきている。



「魔王は即効性があったけど、俺らは遅効性だったみたいだ。」



 僕らの戦いは呆気なく終わった。

 デイルタが魔王の周りへと来て空気を叩いた。


 コンコン。



「シールドが張られているみたいですね。これでは魔王に触れもできない。」


「それはそれでいいんじゃない? 魔王が死んじゃったら、あたし達が石像となってる理由もなくなっちゃうしねー。」


「まぁ、その通りかも知れませんね。」



 封印された魔王を守るシールド。

 それが触れる者や攻撃を防いでいる。


 これ以上、僕らがすべきことはない。



 石化は本当にゆっくりだった。



「僕達はいずれ魔王みたいに石に変わる。その場所は選べるみたいだ。奇跡的にできた残り僅かな時間を後悔しないように使おう。」



 魔王城を後にする。



 魔族を殲滅(せんめつ)できた訳ではないが、もう敵対する魔族はここにはいない。


 僕らはゆっくりと進んでいく。



 人類と魔王軍との対決——。



 それは人類側に軍杯が上がった。




◆◆



 魔王の封印により、魔王軍は敗北を喫した。

 向こうの世界とこちらの世界を分かつ壁も破壊されずに済んだ。


 ただ、九割の壁——即ち一割空いている状態ではある。それでもシステム的に、向こう側からこちらの世界への関与はできない。



 はずだった——。



 その一割の隙間と、その隙間から関与を防ぐ特殊なシステムによって、とあるエラーが起きる。



 それが"バグ"だった。



 バグを用いて、この世界と本物の人間が済むあちらの世界を行き来する人間が一人現れることになる。

 その人間——神宮(じんぐう)朱音(あかね)、この世界でのネームは"ジュリネ(・・・・)"、の活躍はまだまだ先の話で、この物語とは別のお話。


 



 僕らが魔王城から戻り、ハイヒロの町へと着いた時に聞いたとある噂。


「魔族四天王の一人を見かけた。」「女の魔族四天王が生きてた。」


 その噂が嫌な予感を思わせた。

 が、僕らはその噂を半信半疑で捉えていた。


 

 そこで見られた魔族四天王の生存の事実が、ジュリネの物語に深く関与していくが、それもまた別のお話。



 ここから先は、僕らが石像になるまでの物語が始まっていく。

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