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『うちの勇者がすいません。』「魔王退治?視聴者?知らんな!」~詩忍にくちなし~  作者: ふるなゆ☆


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壱漆肆、人魔終焉戦争、弐

 キングことアザゼルと対峙するのはカゲト。戦いは中盤といったところだろうか。


 カゲトが持っている刀とアザゼルの持っている薙刀がぶつかりあっていく。



「まだまだだな。同じ《具現化系》として言ってやるよ。」



「風遁【風(かぜ)】波(は)——」



 刀が振られるところに薙刀が衝突し、刀をへし折った。それにより、カゲトの発動しようとした技は不発に終わった。



「アンタにゃ、すげぇセンスがある。光る原石って感じだ。だがな、生きてる時間が違ぇ。残念すけど、アンタにゃ俺には勝てねぇんだ。」



 薙刀が消えた。


【鋼鉄(アイアン)の槍(・ランス)】



 召喚された鉄の槍がカゲトの横腹を貫いた。



「戦歴が違ぇ。」


 真後ろに移動することで、体に刺さった槍を引き抜き、体勢を整えるカゲト。


 しかし、依然として勝ち目は見えない。



「だからって、諦めなきゃ勝てるかも知れない。なら、諦めないだけだ。」


「諦めめるのも肝心っすよ。命がありゃ、何度でもチャンスは巡る。だが、命がなけりゃそこでお終いっすからね!」


【刀】


 カゲトが刀を召喚した。


「忍法【影分身の術】」


 そして、カゲトは三人のカゲトを召喚して、一斉に敵へと切り刻みにいった。



「一理あるが、次のチャンスなんてない。俺は目指すべきものの目標を下げる気はないからな。」


「後悔しても遅いっすよ。」


「後悔しないために、やるんだ!」



【鋼鉄(アイアン)の鞭(・ウィップ)】



 まるで蛇腹のようにうねりながら、周りを回転していく棘のついた鞭(むち)。そして、それらが分身を消し去り、本体を吹き飛ばした。


 さらに追い討ちで縦に振られた。

 勢いよく地面へと打ち付けられる。


 カゲトは地面を横に転がって攻撃を避けた。



「風遁(ふうとん)【鎌鼬(かまいたち)】旋風(せんぷう)」



 カゲトがかまいたちを召喚した。

 いくつかの斬撃がアザゼルに向かって進んでいく。



【鋼鉄(アイアン)の盾(・ランス)】



 しかし、召喚された大きな鉄の盾によって斬撃は防がれた。



 斬撃がおさまった。

 すぐさま斬りに向かうカゲト。


 盾が消えた。



【鋼鉄(アイアン)の棍棒(・カジェル)】



 刀が鉄の棍棒によって防がれた。

 隙だらけのカゲトへと、腹蹴りをお見舞いするアザゼル。そのまま後ろに向かって飛ばされてしまった。



「武器の召喚を得意とする俺には隙はねぇ。けど、技の召喚を得意とするアンタは隙だらけだ。——そうだろ?」



「くっ。」カゲトが立ち上がった。



「技の威力や効果は最高だぜ。なかなか強ぇのに、まだまだ成長余地があるんだもんなっ。その分、技を出すスピードは遅いのがネックなんだよなぁ。ほんと同情するぜ。……相手が悪かったな。」



 彼の言う通りだ。

 カゲトは十分強い。特に、技の精度は使う程によくなっている。

 

 ただ、技の発動には時間がかかるため、敵の攻撃を受けないために遠くから攻撃せざるを得ない。


 そして、距離が開けば、アザゼルは鉄の盾を攻撃前に召喚し、技を防いでしまう。


 

【鋼鉄(アイアン)の剣(・ソード)】

 


「っ!」カゲトが刀で斬りへと進む。


 しかし、刀は召喚された剣によって塞がれた。


 刀と剣のぶつかりあい。

 一枚上手なのはアザゼルだった。


 カゲトの体に当たる剣先。それを受けて、距離を置く。



 近づいたとて、一瞬にして武器を召喚されてしまう。接近戦において、カゲトとアザゼルでは、アザゼルに分がある。


 走り続けて、ようやく一定距離感までたどり着けた。ここなら能力の範囲内だ。



 "自動(オート)能力(スキル)"——【バフ】×【倍】



 仲間全体にかけている僕の能力上昇。その効果をカゲトに対して、一時的に効果を倍にした。



 刀が振られ、それを剣で守られる。

 アザゼルは異変に気づいたみたいだ。



「何が起きたか分からねぇが、今の攻撃は一太刀まともに受けりゃひとたまりもなさそうだな。」


「火事場の馬鹿力って奴さ。」


「面白ぇ。……が、関係ねぇ。元々、手は抜いてねぇしな。」



 動きが速くなったカゲト。攻撃の威力も上がっている。


 それなのに、二人の戦いはアザゼル優先で変わりなかった。



「土遁【瓦】手裏剣!」



 召喚される瓦でできた手裏剣。



【鋼鉄(アイアン)の盾(・シールド)】



 それが容易(たやす)く守られる。


 遠距離技は、距離が開く分、守られやすく、かつ遠くなるにつれて若干威力も下がっていく。


 バフがかかっても倒せない。



【鋼鉄(アイアン)の鉄球(・ボール)】



 鎖のついた鉄球が振り回されてカゲトへと投げられた。


 それに衝突して吹き飛ばされていく。


 それ相応のダメージだ。



 何とか立ち上がって戻ってきた。



「楽しいぜ。アンタの諦めない目を見ると、俺まで熱くなれる。喜べ。どれだけ年月が経とうと、俺はアンタのことを忘れずにいてやるよ。好敵手(ライバル)としてなぁ。」



 走り続けて、もうすぐ彼らの元へとたどり着く。早く合流しないと彼が死んでしまう。


 少し走る速度を上げようか。



「待ってくれないかな。」



 僕は人に走るのを止められた。

 止めた人はカゲトの師範であるワムだった。



「このままでは彼が!」


「いや、カゲトなら倒せるさ。これ以上(・・・・)、君が関与しなくてもね。」


「でも!」


「安心してくれ。アイツなら絶対に勝てるさ。信じないか、カゲトの勝利に。」



 僕はカゲトとアザゼルの対決を見守ることにした。




【鋼鉄(アイアン)の斧(・アックス)】




 鉄の斧が振り回され、カゲトは大きく吹き飛ばされ、木へと衝突した。


 それでも立ち上がる。



《強化的超常》



 今、カゲトが一瞬にしてパワーアップした。

 多分、彼はそのことに気づいていないだろう。



 強化的超常。いわゆる、ゾーン。

 余分な思考が削ぎ落とされ、全ての神経が研(と)ぎ澄(す)まされ、動きに磨きがかかる状態。



 その状態をアザゼルも認知していた。



「面白れぇ。……が、それで実力差が埋まるほど甘くはねぇよ。」



【鋼鉄(アイアン)の剣(・ソード)】



 刀と剣が衝突し合った。



 膝蹴りがカゲトの顎(あご)にクリーンヒットした。


 すかさず振られる剣。それを刀でガードする。


 今度は腹に向かって思いっきり蹴られて、後ろへと飛ばされた。



 それでも立ち上がる。



【刀】



 刃毀(こぼ)れした刀を消して、新たな刀を召喚する。



「次で終わりにする——。」


「へぇ。面白ぇ。やってみろ。」



 空気が静まっていく。



「火遁【火炎】烈火(れっか)!」



 剣が炎で包まれた。技により、この刀は炎をまといつつ威力が上がっている。



「《言霊系》の技か? にしては、威力が大きい。どういう絡繰(からくり)っすか?」



 驚くのも無理はない。

 刀を炎で纏(まと)うという行為は言霊系。

 具現化系の能力者であるカゲトには、"言霊系"の技では微かな火しか纏うことはできない。


 しかし、これは"言霊系"ではなく——"具現化系"。同系統故に、威力は十分。



 なぜなら、炎を纏うのではなく、炎を召喚し続ける。



「まぁいいや、くるなら、返り討ちにしてやるだけだぜ。」


 上から下へと振り下ろされる剣。

 一方で横向きに振られる炎の刀。



 烈火の炎が、剣を真っ二つに割った。



「ちっ——。やるじゃん。」



 アザゼルは後ろに向かって下がろうとした。距離を置こうとしている。



「まだだ!」


 そのまま刀を彼へと向けた。



「火遁【火炎】烈火!」



 炎の刀がアザゼルを斬り裂いた。



「マジかよ——。俺様も本気だったんだけどな。ったく。ここで終わりかよ。」



 斬られ、光の粉になって消えていくアザゼル。

 その勝負はカゲトに軍杯が上がった。



 ボロボロになりつつも、カゲトは次なる戦場へと向かっていった。



「なっ、言った通りだろ?」



 ワムがドヤ顔で言い放ってきた。

 僕は「そうだね」と返しておいた。



 戦争も終盤へと入った。



 魔王との対峙も、近づきつつある。

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