壱漆参、人魔終焉戦争、壱
魔族の集団が四つの束あり。
忍が侵攻を遅らすも突破されるのは時間の問題。
ついに、忍では抑えきれなくなり、侵略スピードが上がる。
そんな時、その四つの束に戦えない村人がそれぞれ突撃していった。
「起爆——。」どこからか放つネヌの一言によって村人は自爆した。
侵略する魔族のスピードがガタ落ちした。
南側に固まる魔族の群れへと立ち塞がる二人の影。近くにある湖が揺れている。
「さて、よろしく頼みますよ。」
「久しぶりに暴れるとしようかのぅ。」
【液体操作】
エポンが湖の水を操り、魔族の群れに大量の水を叩きつけ、水浸しにした。
【デイダラボッチ】
雲を突き抜ける巨人がそこに現れる。
デイルタが雲を掴みにいった。
【電気】——電雷
黒雲と変わった雲が真下へと叩きつけられる。真下にいた魔族は近くに放たれた雷の餌食となった。
さらに、エポンの操る水を通電して広範囲の魔族が雷の餌食となっていた。
【遠雷】
すかさずエポンが雷を放ち、追い討ちをかけていく。
巨人デイルタに比べれば魔族はまさに蟻に等しい。
ただの踏みつけも魔族にとっては致命的だ。
象と蟻というより、蟻に殺意ある人間がそれを殺すのと同じ。一方的に蹂躙する。
【エリア】【衛星】——スプートニク
エポンは氷の怪物を召喚した。
大雑把で倒し損ねる魔族は、その怪物が持っていた槍で突き殺した。
デイルタとエポンにより、南側の魔王軍は壊滅状態へと陥っていた。
◆
【バード】【爆弾】
北側から戦況を見下ろせる位置にいる僕は、若干北と東に勢力が傾くのが分かった。
作戦通りだ。
ここで僕が北側から押し込むことになっている。
そのために召喚した、大量の鳩。その中には爆弾が入っている。
【バードストライク】
魔族の群れに向かって真っ直ぐ進んでいく鳥の群れ。ぶつかった瞬間、周りを巻き込んで爆発を起こした。
ネヌの用意した自爆人間によって魔族の指揮系統は混乱した。そこに同じ爆発系統の攻撃を加えれば混乱は必須。
北側の魔族は東側の侵略経路へと進んでいった。
◆
北と南も攻められて、東側への侵略集団へと集結していく魔王軍。
が、そこに立ち塞がるのはネヌだ。
【ネクロマンサー】
待ち伏せしていた大量の死霊人が魔族を襲った。
死霊人……即ちゾンビ。
首が取れてもすぐにくっつけて元通り。殺されても、何度でも生き返っていく。
「っ♡ 魔族で死霊人の実験をしたかいがあったかも。人間型の魔族は人間と同じように死んだら死霊人になる。これでネヌ将棋の真骨頂が見せれるわ!」
多くの魔族が殺されていく。
その中で人間型の魔族のみ死霊人の仲間入りをして、魔族を襲い始めた。
死霊人の数は増えていき、進む魔族を消し去っていく。
「そーれーとー。人体実験も沢山したんだよねー。違法だけど……。まっ、お陰で、ここからさらに追い詰めちゃうよ。」
【ネバネバ……】
援軍にきた魔族や逃げ惑う魔族の動きが鈍る。そこを狙われて魔族の数は減っていく。
「自爆した人間はただ自爆して混乱させただけじゃないんだー。あたしの能力"ネバネバ"の"粘土"を入れ込んで動きを鈍らせる。そして、より一層の混乱を与えるの!」
一部の魔族は西側——魔王城のある方角へと戻っていく。
が、そのせいで指揮系統が余計に崩れ魔族が追いやられていく状況を作り始めた。
戦況は僕らの圧倒的な有利。
それが覆るとしたら、まだ姿を見せていない魔族四天王の活躍だろうか。
つまり、まだ油断はできない。
◆
「さて、俺らも動こうか。」
【ワープ】
まるで風に舞うように鮮やかに移動しながら、魔族を斬り消し去っていく姿。
その後ろから四人の門下生がついていった。
「ここからは各自で分かれて残党狩りさ。」
「はいっ!」
ワムとそこにいた四人が分かれて進んでいく。
動きやすい状況下での追い討ちが、魔王軍をさらに混乱の渦へと巻き込んでいく。
僕は一度、高いところから降りた。
そこに一人の強敵が現れたからだ。
「そのオーラの強さ……魔族四天王だよね。」
「ええ。よく分かりましたね。私が魔族四天王のグリゴリよ。」
グリゴリ……?
その名前を聞いて、あることを思い出した。
「あんたがグリゴリなのか……。じゃあ、少し質問がある。」
「なにかしら?」
「村を守ってくれてることには感謝してる。けど、どうして生贄を必要としてるんだ? 僕はその理由が知りたい。」
キング及びアザゼルは若返りかどうとか言ってたけど、結局詳しく知ることはできなかった。
だからこそ、それに救いの余地があるのかどうかとても気になっていた。
「簡単よ。美貌のためよ。若い女の肉体を体に取り込むと、その美のエキスが取り込まれて若さを維持できるの。私が守ってあげてるんだから、それぐらいの対価は求めて当然よね?」
「その対価を人の命じゃなくて、別のものにすることはできないの? 例えば物とかさ……。」
「無理ね。そんなものに価値はないわ。」
やはり「救えはしないか——。」
「なに……。偉そうに。」
【魔導書】
周りに無数の英文字が浮かび始めた。
「聞いたわよ。アザゼルとクヴァシルと対等にやり合ったのよね? けど、私は二人のようにはいかないわ。」
一つの『F』の文字が桃色に光り出した。
そこからピンクの線が流れていき『I』に触れて、それを光らせる。そのまま『R』と『E』も同様にピンクの線で繋がり、光る。
『FIRE』——火
火が現れて、僕に向かって進んでいく。
【爆炎】
同様の威力を誇る炎で相殺させる。
「私はね、魔族四天王の前身——"グノーシス"っていう魔王の側近をやってたの。言いたいこと分かる? あなたよりも経験も実力も上ってことよ。」
文字が連なり、『NEEDLE』の文字を彩る。
無数の針が襲ってきた。
それを走りながら避けていく。
「自意識過剰だね……。お陰で勝てそうだよ。」
「はぁ?」
【バネ】
バネで飛び跳ねていく。
木や地面へと着地しては跳ねて進み、撹乱していく。お陰で定められないグリゴリは攻撃できずにいる。
「馬鹿言わないで。あなたが私に勝てるとでも?」
「もちろん、そうだよ。口だけの君には分からないと思うけど。」
「ふざけるのも大概にしなさいよ。」
『THUNDER』——雷。
雷が進んでいく。
【倍】
進む勢いを早くして軽々と避ける。
敵は僕のすばしっこさに目が追いついていないみたいだ。
彼女の目の前へと降り立った。そこで思いっきりバネを収縮させる。
さらに、腕にバネを召喚した。そのバネも能力で収縮させていく。
「本当は村を守ってくれてるから倒したくはないけど。——もう倒すしかないからね。」
インパクト——。
バネの跳ね返りで勢いつけて飛びつつ、腕につけたバネの跳ね返りでグリゴリを吹き飛ばす。
二重の威力。
僕の目の前の木々は倒れ、真っ直ぐに道ができた。
殺したか殺せていないかは分からないけど、多分殺したんだと思う。
ひとまず僕の勝ちだ。
僕は戦線の前線へと戻る。
その時、ふと魔族四天王の姿が遠くで見えた。
——アザゼルだ。
そして、それと戦っているのはワムの門下生の一人であるカゲトだった。




