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『うちの勇者がすいません。』「魔王退治?視聴者?知らんな!」~詩忍にくちなし~  作者: ふるなゆ☆


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壱陸肆、雷忍・デイルタ

【罠】ワテルが仕掛けていたトラップ。


 棘が地面から現れるというトラップや棘が入った落とし穴、爆発する床トラップなどがゾンビから逃れ、こちら側に向かってくる敵兵士を尽く葬り去っていく。


 しかし、その罠を全て瞬間移動で避けながら進む一人の男。それが敵勢力で最強のワム。



 対するは、元翡翠の国の王にして、元翡翠の国最強の名を手にした男デイルタ。



【デイダラボッチ!】



 雲を突き抜ける程の巨大な生き物に変身したデイルタ。


 ついに、二人が衝突する。



◆——◆


 五忍の一人——

『雷忍』最強生物のデイルタ


◆——◆



 デイルタが雲を掴んだ。それを持って殴りにいく。



【電気】——電雷



 雲は黒雲に変わり、強烈な雷を周りに繰り広げていった。



【ワープ】



 強烈な攻撃は空振り、地面に向かって壮絶な雷を放った。


 一方で、ワムは彼の頭上へと瞬間移動していた。そのまま真下へと向かって大剣を振り下ろす。



【割れろ!】——消滅——【デリート】



 ワムの技をデイルタの技で消した。

 ただの大剣による一振が超巨大な大男の後頭部にぶつけられた。


「最強生物……名だけじゃないんだね。」


「こちらも返そうか……。一対一(タイマン)最強……名ばかりじゃないようですね。」


 立ち上がり、左手でフックをしかけるデイタラ。


【ワープ】


 が、攻撃は避けられる。



 伸ばされた左腕を走り抜けていくワム。

 大剣が縦に振られた。


【割れろ!】


 大きく斬られた。肩から大きく肩甲骨のある箇所ぐらいまで縦穴が開く。



「くっ。痛ぇ。強ぇ。」


「俺もそのまま返すけど、君、強いね。俺の攻撃を喰らって死なないのは君だけだよ。さすが最強生物ってところだね。」



 そこに、ネヌから【念話】だ。



『何を棒立ちしてるの? あの人は一対一最強。二人で立ち向かわないと勝てないのよ。今すぐ参戦して!』



【バネ】



 急いで戦いに参戦する。


【泥岩(でいがん)!】


 デイルタが召喚し投げつける岩。


【ワープ】


 それをワープを利用しながら、避けるに留まらず足場に仕出し空中を進んでいくワム。



 ついに空中で横振りし出す。デイルタは防御が間に合わない。



 パンチ!



 そこにバネで空中を跳んできた僕が特攻するも【ワープ】で避けられた。



 空中に身を投げ出した僕に向かって大剣が振られる。



【爆発】



 間一髪、繰り広げた爆発で危機を脱し、地上に降り立った。



 ワムがこちらへと向かってくる。



【電波】



 デイルタが地面を殴り、その勢いが周りへと電波していき地面が波打っていく。



 ワムは【ワープ】で空中へと距離を置き、その攻撃を避けた。



 まだ、目は死んでいない。

 身を構える。



 僕とワムが動く。



「戦争は終わりよ——。」



 その言葉を伝えた後、ゆっくりと真ん中に現れたネヌ。



 杖によって映像が浮かんだ。



「『上人』のキッシュはこの通り、敗北を宣言したわ。これ以上は無用の戦いよ。」



 映し出される映像には、国王と思しき男が負けを認めていた。



「そうか、国は陥落したのか……。」



 ワムは大剣を背中にしまい、僕らに背を向けてゆっくりと帰っていった。



「君達の国に命を尽くす義理は俺にはない。俺はゆっくりと余生を過ごさせて貰うよ。」



 彼はそう言い残して、森の中へと消えていった。



◆



 蒼の国の勝利——。

 全ての手柄はネヌが手にした。


 戦地となった土地——通称ラグナロク(Ragnarok)はいつしかラグン(Ragn)と言う名前に変わり、そこにネヌの建物が建てられた。

 そこには戦争で使われた死霊人が閉じ込められているという。



 蒼の国の王は歴代ソフィスという名を得ていた。現王もまたソフィス十二世と言う名である。

 さらに、蒼の国はフィロ人という民族が主となってできた国。



 そこから蒼の国は翡翠の国、炎の国を合併し、名を変えた。



【フィロソフィス】という国名に——。



◆



「ほへー。報奨金が足りなさ過ぎてお金の工面が大変だよー。」


 ネヌを先頭としたアルカナギルドの面々は戦争の勝利で手に入れた報奨金を半分以上失っていた。


 ……というのも、


「私って優しいでしょ? だから、約束通りステルス特攻する人の親族に多額のお金を支払わなきゃ。」


 優しいかどうかは別として、彼女は自殺願望や金がなく死んでも金を得る必要がある人を集めて、爆弾を埋め込み、特攻させて爆発させたみたいだ。


 今、その対応に追われているらしい。



「痛たたた……。」



 左肩に亀裂が入った傷のある男。そんな彼が回復する空間の中に入った。


「随分と怪物ですね。その傷で、治るとは……。」


 周りで見ていた人が困惑している。


「ワシの"エリア"でも元通りにはならないと思っていたんだけどのぅ。」


 回復空間を作り出したエポンも困惑していた。



「完全に治った訳じゃないですよ。ほら、傷がついてる。まっ、勲章(くんしょう)にしかならねぇが……。」



 その男——デイルタはもう復活を果たした。

 最強生物……言い得て妙だった。



「ふと思い出したことがあります。バム君。さらに強くなりたいとは思いませんか?」


 唐突な質問。

 僕は英雄という立場がある。このままじゃ魔王相手に何も出来ないかもしれない。


 まず人間である風忍


 だからこそ、「強くなりたいです」と胸を張って言った。



「そうか。なら、俺が鍛えましょう。君は《超常》の力を知っていますかい?」


「超常……?」


「文字能力に頼ることのない特殊能力のことです。」



 言ってる意味が理解できなかった。頭の上にはてなを浮かべる。


「能力向上と基礎体力の修行は詰めて行っていたのがのぅ。超常は蔑(ないがし)ろにしとったからのぅ。いい機会じゃな。」


 そうエポンは頷いていた。


「簡単に言うと、人間本来の力というものです。相応の鍛錬を積めば、誰でも習得可能な能力。ちなみに、超常は三つありますよ。そのうち、自由に扱えるのは二つだけですが……。」



 つまり、鍛えれば身につく能力。



「ちなみに、ワムとの戦いの中で、バム君は超常の一つ《回避的超常》を掴みかけていましたよ。」


「そうなの?」


「説明も兼ねて図書館へと参りましょうか。」



◆



 都市にある巨大な図書館。

 そこにはこの世界ではない別の世界の本が入り込んでいる。多分、その別の世界とは"りりりりり"や"近藤孝太郎"の住んでいた世界だろう。



「三つあるうちの一つが《回避的超常》です。本の中では"第六感"、"氣"、"オーラ"、"見聞色の覇気"などと呼ばれたりもしますね。」



 デイルタが渡してきた漫画本。

 そこには麦わら帽子を被った海賊が、《回避的超常》を使って攻撃を先回りして避けているシーンがあった。



「回避的超常を極めれば、敵の位置や攻撃などをすぐに察知して、即座に回避に繋げることができます。」


 ワムとの戦いで、ここに現れるって思った直感がまさにソレだろう。頑張れば身につけるような気がした。


 

「続いて《攻撃的超常》です。この世界は回転をしています。その回転を利用して攻撃の威力を底上げするのです。ちなみに、回転のことを"黄金の回転比率"とも呼びますね。」



 渡された漫画本。

 馬に乗って大陸を横断するレース……と思いきや、スタンドと呼ばれる魔人を召喚して戦うバトルものの本だった。

 そこで鉄球を持った男が"黄金の回転比率"について説明している。



 なるほど、回転を利用すれば攻撃力が増すのか。と僕は頷いた。



「最後に《強化的超常》別名"ゾーン"ですが、これは自由に使いこなすことはあまり現実的とは思いません。」


 最後に渡された漫画本はバスケットボールの漫画だった。

 普通の現代をメインにしたバスケットボールの漫画。ただし、主要人物は物凄い特技を扱える。その中で赤髪の男が自由にゾーンを使っていた。


 使うと物凄くパワーアップできる。


 さらに言えば、その人物はゾーンの先にあるゾーンを発動して、それを見た青っぽい見た目の褐色肌の男が涙を流していた。



「これが《超常》です。理解できましたか?」



 僕は頷いた。



◆



 元翡翠の国の中心部——城、というよりも砦。

 そこでデイルタとの修行が始まった。

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